うつ病で休職や退職を考える際、周囲の目が気になる方もいらっしゃるかもしれません。結論からお伝えすると、うつ病での休職や退職は労働者の正当な権利であり、決して「ずるい」ことではありません。厚生労働省もうつ病を治療が必要な疾病として認めており、休職や退職を選択することは、あなた自身の健康を守るために必要な判断です。
この記事では、なぜ「ずるい」という視線が生まれるのか、その背景と対処法、そして休職・退職時に利用できる経済的支援制度について、正確な情報をお届けします。一人で抱え込まず、まずは正しい知識を身につけて、あなたに合った選択肢を見つけていきましょう。
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。
うつ病で休職や退職は「ずるい」ことなのか?
結論|うつ病での休職・退職は労働者の正当な権利です
うつ病による休職や退職は、法律で認められた労働者の正当な権利であり、決して「ずるい」行為ではありません。なぜなら、うつ病は厚生労働省が認める疾病であり、治療が必要な病気だからです。骨折や入院が必要な身体疾患と同様に、うつ病も適切な療養期間が必要な医学的根拠のある疾患として認められています。
労働安全衛生法においても、事業者は労働者の心の健康の保持増進に努める義務があると定められており、メンタルヘルス不調により休業した労働者に対する職場復帰支援が推奨されています。つまり、うつ病で休職・退職することは、法律で守られた権利であり、適切な制度を活用することは何も後ろめたいことではないのです。
実際に、多くの労働者がうつ病を理由に休職や退職を経験しており、その後の生活を支援するための制度として傷病手当金や失業保険などが整備されています。制度の要件に該当する場合は、これらの支援を適切に受けることができます。
「ずるい」と思われる3つの理由とその背景
それでも「ずるい」と思われてしまう背景には、主に3つの理由があります。まず1つ目は、うつ病に対する理解不足と誤解です。うつ病は外見からは分かりにくい病気であるため、「本当に病気なのか」「単なる甘えではないか」と誤解されやすい特性があります。
2つ目の理由は、休職者の業務を引き継ぐ同僚への負担とそのしわ寄せです。一人が休職すると、その業務は残された同僚が分担せざるを得ず、人員補充がない場合は業務量が増加することになります。この負担感が不満として「ずるい」という感情につながってしまうのです。
3つ目の理由は、傷病手当金への誤解、つまり「働かずにお金をもらっている」という不公平感です。しかし実際には、傷病手当金は給与の約3分の2であり、社会保険料の支払いも継続する必要があるため、経済的な余裕があるわけではありません。これらの誤解が「ずるい」という視線を生み出す背景となっています。
うつ病は厚生労働省が認める疾病|治療が必要な医学的根拠
うつ病は、厚生労働省が正式に認める精神疾患であり、医学的に治療が必要な病気です。なぜなら、うつ病は脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで発症する疾患であり、「気の持ちよう」や「心の弱さ」といった精神論で解決できるものではないからです。
厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」においても、メンタルヘルス不調による休業者への適切な支援が重要であるとされています。また、労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度も、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐための取り組みとして位置づけられています。
医学的にも、うつ病は適切な治療と休養により回復が期待できる疾患です。しかし、無理をして働き続けると症状が悪化し、長期的な療養が必要になることもあります。そのため、早期に適切な対応をとることが、あなた自身の健康を守るだけでなく、職場への影響を最小限に抑えることにもつながるのです。
うつ病での休職・退職が「ずるい」と思われてしまう背景
うつ病に対する理解不足と誤解|「心の弱さ」ではない理由
うつ病が「ずるい」と思われてしまう最大の理由は、うつ病に対する理解不足と誤解にあります。なぜなら、多くの人が「うつ病は心の弱さが原因」「気合で治せる」といった誤った認識を持っているためです。しかし、これは医学的に正しくありません。
うつ病は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンのバランスが崩れることで発症する疾患です。つまり、脳のエネルギー不足状態であり、骨折した足で走ることを強いられているのと同じような状態なのです。また、外見からは症状が分かりにくいため、周囲から「元気そうに見える」と誤解されやすい特性があります。
厚生労働省の調査でも、職場におけるメンタルヘルス対策の重要性が指摘されており、事業所全体の約63%がメンタルヘルス対策に取り組んでいるとされています。しかし、まだ十分に理解が広がっているとは言えず、偏見や誤解が残っている現状があります。このような理解不足が、うつ病での休職・退職を「ずるい」と見る視線につながっているのです。
休職者の業務を引き継ぐ同僚への負担とそのしわ寄せ
「ずるい」と思われてしまうもう一つの大きな理由は、休職者の業務を引き継ぐ同僚への負担とそのしわ寄せです。なぜなら、一人が休職すると、その担当業務は残された同僚が分担せざるを得ず、引継ぎが不十分なケースも多いため、業務負担が大きく増加するからです。
特に人員補充がないまま業務が割り振られると、残された社員は通常業務に加えて休職者の業務もこなさなければならず、長時間労働や過重労働につながることがあります。この負担感が不満として蓄積され、「なぜ自分たちだけが」という不公平感から「ずるい」という感情が生まれてしまうのです。
また、突然の休職で引継ぎが十分にできなかった場合、業務の進め方が分からず混乱が生じることもあります。このような状況は、本来は企業側が適切な人員配置や業務調整を行うべき問題ですが、現実には同僚への負担として現れてしまうことが多いのです。そのため、休職する側としても、できる限りの引継ぎや配慮をすることが、周囲との関係を保つ上で重要になります。
傷病手当金への誤解|「働かずにお金をもらっている」という不公平感
「ずるい」と思われる3つ目の理由は、傷病手当金への誤解、つまり「働かずにお金をもらっている」という不公平感です。なぜなら、傷病手当金の仕組みが正しく理解されておらず、「休んでいても給料がもらえる」といった誤解が広がっているためです。
しかし実際には、傷病手当金は健康保険から支給される給付金であり、給与の約3分の2の金額です。また、休職中も社会保険料の支払いは継続するため、手取り額はさらに少なくなります。つまり、決して経済的に余裕がある状態ではなく、最低限の生活を支えるための制度なのです。
さらに、傷病手当金を受給するためには医師の診断書が必要であり、労務不能と認められる状態でなければ受給できません。つまり、誰でも簡単に受け取れる制度ではなく、適切な審査を経て支給される制度です。このような制度の仕組みが正しく理解されていないことが、「働かずにお金をもらっている」という誤解を生み、不公平感につながっているのです。
うつ病で休職・退職する際に周囲への配慮として意識したいポイント
休職前の適切な引継ぎと診断書の提出
うつ病で休職や退職をする際、周囲への配慮として最も重要なのは、休職前の適切な引継ぎと診断書の提出です。なぜなら、突然の休職は同僚や上司に大きな負担をかけることになり、適切な引継ぎをすることで業務への影響を最小限に抑えることができるからです。
具体的には、担当している業務の内容、進行中のプロジェクトの状況、関係者の連絡先、締切や注意点などを文書にまとめて引き継ぐことが望ましいです。体調が優れない中での作業は大変かもしれませんが、できる範囲で整理しておくことで、残された同僚の負担を減らすことができます。
また、休職の必要性を会社に理解してもらうためには、医師の診断書を提出することが重要です。診断書には休職の必要性や推奨される休職期間が明記されており、これが休職の根拠となります。診断書は心療内科や精神科、かかりつけ医で取得できますので、まずは医療機関を受診して相談してみてください。
会社への状況説明|プライバシーに配慮しつつ伝える方法
会社への状況説明は、プライバシーに配慮しつつ適切に行うことが大切です。なぜなら、うつ病は要配慮個人情報に該当するため、本人の同意なく病名を公表されることはなく、あなた自身がどこまで伝えるかをコントロールできるからです。
具体的には、直属の上司や人事担当者には医師の診断書を提出し、休職の必要性を説明する必要がありますが、同僚や他部署に対しては「体調不良のため休職します」という程度の説明で十分です。病名を詳しく伝えるかどうかは、あなた自身が判断できます。
ただし、職場の理解と協力を得るためには、ある程度の情報共有が必要な場合もあります。その際は、「メンタル面での不調」「医師の指示による療養」といった表現を使い、具体的な症状まで詳しく説明する必要はありません。また、会社側も労働者のプライバシーを保護する義務がありますので、適切に情報が管理されるはずです。
休職中の行動で気をつけること|SNS投稿や外出時の注意点
休職中の行動で特に気をつけたいのは、SNS投稿や外出時の配慮です。なぜなら、療養中であるにもかかわらず、旅行や飲み会の写真をSNSに投稿すると、「休職しているのに遊んでいる」と誤解され、周囲からの信頼を失う可能性があるからです。
うつ病の治療には適度な気分転換や外出も必要な場合がありますが、それがSNSで拡散されると、療養の必要性を疑われてしまうことがあります。そのため、休職中はSNSの投稿を控えるか、投稿内容に注意することが賢明です。特に、会社関係者とつながっているSNSでは、誤解を招く投稿は避けた方が良いでしょう。
また、休職中は会社との定期的な連絡を維持することも大切です。完全に連絡を絶つのではなく、主治医の診断や体調の経過を定期的に報告することで、会社側も状況を理解しやすくなります。ただし、頻繁な連絡がストレスになる場合は、担当者と相談して適切な頻度を決めると良いでしょう。
復職時に心がけたいコミュニケーションと感謝の伝え方
復職時には、周囲への感謝の気持ちを伝えることが、良好な関係を築くために重要です。なぜなら、休職中にあなたの業務を引き継いでくれた同僚や、サポートしてくれた上司への感謝を示すことで、復職後の人間関係がスムーズになるからです。
具体的には、復職初日に直属の上司や同僚に対して「お休みをいただいている間、ご迷惑をおかけしました。ありがとうございました」と一言伝えるだけでも印象が大きく変わります。また、可能であれば、特に負担をかけた同僚には個別にお礼を伝えると良いでしょう。
復職直後は無理をせず、段階的に業務量を増やしていくことも大切です。医師や産業医と相談し、時短勤務や業務内容の調整をお願いすることも、再発防止のために必要な配慮です。そして、復職後も定期的に上司とコミュニケーションをとり、体調の変化や業務負担について相談できる関係を築いていくことが、長期的な職場復帰につながります。
うつ病で休職や退職をする場合に利用できる経済的支援制度
傷病手当金|要件を満たした場合に給与の約3分の2相当額を受給できる可能性がある制度
うつ病で休職した場合、経済的な支援として重要なのが傷病手当金です。なぜなら、この制度は健康保険に加入している方が病気やケガで働けなくなった場合に、各種要件を満たせば給与の約3分の2相当額を通算で最長1年6ヶ月間受給できる可能性がある制度です。なお、支給期間は支給開始日から通算して計算されます。
具体的には、要件を満たした場合、標準報酬日額の3分の2が支給されます。例えば、標準報酬月額が30万円で各種要件を満たした場合、1日あたり約6,667円が支給される可能性があります。ただし、個人の状況により異なりますので、加入している健康保険組合にご確認ください。
傷病手当金を受給するためには、業務外の事由による病気やケガで療養中であること、労務不能であること、連続する3日間を含む4日以上仕事を休んでいること、休業期間中に給与の支払いがないことという条件を満たす必要があります。また、退職後も一定の条件を満たせば継続して受給できる可能性があります。申請には医師の意見書が必要ですので、まずは医療機関で相談してみてください。
失業保険(雇用保険)|うつ病の場合はハローワークの認定により給付制限が短縮される可能性
うつ病を理由に退職した場合、失業保険(雇用保険の基本手当)を受給できる可能性があります。なぜなら、医師の診断書等をハローワークに提出することで『特定理由離職者』として認定される可能性があります。ただし、認定可否はハローワークが個別の状況を総合的に判断するため、診断書の提出のみで必ず認定されるわけではありません。
令和7年(2025年)4月1日以降に離職した場合、正当な理由のない自己都合退職では、失業保険の受給開始まで原則1ヶ月間(5年間で2回まで。3回目以降は2ヶ月間)の給付制限期間がありますが、うつ病などの正当な理由による退職の場合は、ハローワークの審査により給付制限がなくなることがあります。また、精神障害者保健福祉手帳を取得している等の要件を満たし「就職困難者」として認定された場合、給付日数が延長される可能性があります。
ただし、失業保険を受給するためには「就職できる状態にある」ことが前提条件です。つまり、すぐに就職活動ができる健康状態である必要があります。もし療養が必要な状態であれば、まずは傷病手当金を受給し、回復してから失業保険に切り替えるという選択肢もあります。認定要件等の詳細はハローワークで相談し、あなたの状況に合った支援を受けることをお勧めします。
失業保険 総額シミュレーター
正確な金額・給付日数とは異なる場合があります。
| 雇用保険の加入期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職・特定理由離職者の場合
| 雇用保険の加入期間 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
| 29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35~44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60~64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
自立支援医療制度や精神障害者保健福祉手帳など他の支援制度
傷病手当金や失業保険以外にも、うつ病の方が利用できる支援制度があります。なぜなら、長期的な治療が必要な場合、医療費の負担を軽減する制度や、就労支援を受けられる制度が整備されているからです。
まず、自立支援医療制度は、精神疾患の通院治療にかかる医療費の自己負担を1割に軽減する制度です。通常は3割負担ですが、この制度を利用することで医療費の負担を大幅に減らすことができます。申請には医師の診断書が必要で、お住まいの市区町村の窓口で手続きができます。
また、精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害がある方を対象とした手帳で、税金の控除や公共交通機関の割引などの支援が受けられます。さらに、症状が重く日常生活に支障がある場合は、障害年金の受給対象となる可能性もあります。これらの制度は、条件を満たした場合に利用できる選択肢ですので、医師や自治体の窓口で相談してみてください。
うつ病での休職と退職|どちらを選ぶべきか判断する基準
まずは休職を検討|復職の可能性を残せるメリット
うつ病になった場合、まずは退職ではなく休職を検討することをお勧めします。なぜなら、休職を選択することで復職の可能性を残せるだけでなく、社会保険の継続や傷病手当金の受給がスムーズになるからです。
休職のメリットとして、まず雇用関係が継続するため、健康保険や厚生年金保険が維持されます。また、休職中に体調が回復すれば、そのまま元の職場に戻ることができ、新たに就職活動をする必要がありません。さらに、多くの企業では勤続年数に応じて休職期間が設定されており、一般的には3ヶ月から1年6ヶ月程度の休職が認められています。
厚生労働省の調査によると、メンタルヘルス不調による初回の休職期間は平均で約107日(約3.5ヶ月)とされており、適切な治療と休養により復職できる可能性が十分にあります。そのため、すぐに退職を決断するのではなく、まずは休職制度を利用して療養に専念することを検討してみてはいかがでしょうか。会社の就業規則を確認し、人事担当者や産業医に相談してみることをお勧めします。
退職を選ぶ場合|傷病手当金の継続受給の条件
一方で、職場環境が原因でうつ病になった場合や、復職が困難と判断される場合は、退職を選択することも一つの方法です。なぜなら、無理に復職しようとすると症状が悪化し、さらに長期的な療養が必要になる可能性があるからです。
退職を選ぶ場合に重要なのは、傷病手当金の継続受給の条件を満たすことです。具体的には、退職日までに継続して1年以上健康保険に加入していること、退職日に傷病手当金を受給しているか受給できる状態であること、退職日に出勤していないことという条件を満たせば、退職後も傷病手当金を継続して受給できる可能性があります。
ただし、退職日に出勤してしまうと、その時点で「労務可能」と判断され、退職後の傷病手当金が受給できなくなる可能性があるため注意が必要です。退職を検討する際は、まず人事担当者や健康保険組合に相談し、傷病手当金の継続受給について確認することをお勧めします。また、退職後の生活設計についても、社会保険労務士などの専門家に相談すると安心です。
休職期間満了後はどうなる?|解雇や自然退職の可能性
休職期間が満了しても復職できない場合、どうなるのか不安に感じる方も多いでしょう。なぜなら、就業規則で定められた休職期間を超えると、解雇や自然退職となる可能性があるからです。
多くの企業では、就業規則に「休職期間満了時に復職できない場合は、退職または解雇とする」という規定があります。勤続年数によって休職期間は異なり、一般的には勤続1年未満で1〜3ヶ月、勤続3年以上で6ヶ月、勤続5年以上で1年、勤続10年以上で1年6ヶ月といった基準を設けている企業が多いです。この期間は企業によって異なりますので、必ずご自身の会社の就業規則を確認してください。
ただし、業務が原因でうつ病になった場合は、労働基準法第19条により、療養期間中とその後30日間は解雇できないと定められています。また、休職期間満了による退職の場合、多くのケースでは「自然退職」として扱われますが、ハローワークで「特定理由離職者」として認定されれば、失業保険の給付制限なしで受給できる可能性があります。休職期間満了が近づいてきたら、早めに主治医や会社と相談し、今後の方針を決めることが大切です。
職場・企業側が取り組むべきうつ病社員への適切な対応
メンタルヘルス研修の実施とうつ病への正しい理解促進
職場でうつ病の社員が「ずるい」と思われないようにするためには、企業側の取り組みも不可欠です。なぜなら、メンタルヘルス研修を実施し、うつ病への正しい理解を促進することで、偏見や誤解を減らすことができるからです。
厚生労働省の調査によると、事業所全体の約63%がメンタルヘルス対策に取り組んでいるとされています。具体的には、管理監督者向けの研修を実施し、うつ病の症状や対応方法、部下への声のかけ方などを学ぶ機会を設けることが効果的です。また、全従業員向けにメンタルヘルスに関する基礎知識を共有することで、職場全体の理解を深めることができます。
さらに、労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度を適切に運用し、労働者のメンタルヘルス不調を早期に発見することも重要です。このように、企業が積極的にメンタルヘルス対策に取り組むことで、うつ病の社員が安心して療養に専念できる職場環境を作ることができます。
業務負担を軽減するための人員補充や業務調整
休職者が出た際に周囲から「ずるい」と思われる大きな原因は、業務負担のしわ寄せです。なぜなら、適切な人員補充や業務調整が行われないと、残された社員に過度な負担がかかり、不満が蓄積してしまうからです。
企業側としては、休職者が出た場合、速やかに人員補充を検討する必要があります。具体的には、派遣社員の活用、他部署からの一時的な異動、業務の外注化などの方法があります。また、業務の優先順位を見直し、緊急性の低い業務は後回しにするといった業務調整も有効です。
さらに、休職前に適切な引継ぎ期間を設けることで、残された社員の負担を軽減することができます。管理職は、休職者と周囲の社員の双方に配慮しながら、業務の再配分を公平に行うことが求められます。このような対応により、休職者への理解が深まり、「ずるい」という感情を減らすことができるでしょう。
プライバシーへの配慮|病名の取り扱いと情報管理
うつ病は要配慮個人情報に該当するため、企業側は適切な情報管理を行う必要があります。なぜなら、本人の同意なく病名を公表したり、不必要に情報を共有したりすることは、個人情報保護法に違反する可能性があるからです。
具体的には、うつ病で休職する社員の病名は、本人の書面による同意がない限り、他の社員に開示してはいけません。必要最小限の範囲で、人事担当者や直属の上司のみが情報を共有し、他の社員には「体調不良のため休職」という程度の説明にとどめるべきです。
また、復職後も本人のプライバシーに配慮し、周囲の社員に対して病名や症状について詮索しないよう指導することが大切です。産業医や保健師などの専門職と連携し、適切な情報管理体制を構築することで、休職者が安心して療養できる環境を整えることができます。このような配慮が、職場全体の信頼関係を築き、メンタルヘルス不調の早期発見・早期対応につながります。
よくある質問|うつ病での休職・退職に関する疑問を解消

うつ病で休職すると何ヶ月でクビになる?
うつ病で休職した場合、「何ヶ月でクビになるのか」という不安を感じる方は多いでしょう。結論から言うと、休職期間は企業の就業規則によって定められており、一律に「○ヶ月でクビ」という決まりはありません。
一般的には、勤続年数に応じて休職期間が設定されています。例えば、勤続1年未満で1〜3ヶ月、勤続3年以上で6ヶ月、勤続5年以上で1年、勤続10年以上で1年6ヶ月といった基準を設けている企業が多いです。休職期間満了時に復職できない場合は、就業規則の規定により「自然退職」または「解雇」となる可能性があります。
ただし、業務が原因でうつ病になった場合は、労働基準法第19条により、療養期間中とその後30日間は解雇が制限されています。また、3年以上療養が続いている場合は、平均賃金の1200日分を打切補償として支払うことで解雇が可能とされていますが、実際にはこのようなケースは限定的です。まずはご自身の会社の就業規則を確認し、人事担当者に相談してみてください。
うつ病で休職と退職のどちらがいいですか?
うつ病になった場合、休職と退職のどちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。結論から言うと、まずは休職を検討することをお勧めします。なぜなら、休職を選択することで復職の可能性を残せるだけでなく、社会保険の継続や傷病手当金の受給がスムーズになるからです。
休職のメリットとしては、雇用関係が継続するため健康保険や厚生年金保険が維持され、傷病手当金も受給しやすくなります。また、適切な治療と休養により体調が回復すれば、元の職場に戻ることができ、新たな就職活動をする必要がありません。厚生労働省の調査でも、初回の休職期間は平均約3.5ヶ月とされており、多くの方が復職できています。
一方、職場環境が原因でうつ病になった場合や、復職が困難と判断される場合は、退職を選択することも一つの方法です。ただし、退職を決断する前に、まずは休職制度を利用して療養に専念し、その後の状況を見て判断することをお勧めします。主治医や産業医、人事担当者とよく相談し、あなたに合った選択をすることが大切です。
傷病手当金は退職後ももらえますか?
傷病手当金は、一定の条件を満たせば退職後も継続して受給できる可能性があります。なぜなら、この制度は健康保険の給付であり、退職前に受給していた場合は退職後も支給が継続される仕組みになっているからです。
具体的な条件としては、退職日までに継続して1年以上健康保険に加入していること、退職日に傷病手当金を受給しているか受給できる状態であること、退職日に出勤していないことの3つを満たす必要があります。これらの条件を満たせば、最長1年6ヶ月まで傷病手当金を受給できる可能性があります。
ただし、退職日の労務状況については、加入している健康保険組合により判断が異なる場合があります。退職後も傷病手当金の継続受給を希望する場合は、退職前に必ず健康保険組合に確認し、指示に従ってください。また、退職後の傷病手当金と失業保険は同時に受給できませんので、どちらを優先するかは慎重に判断してください。詳しくは退職前に健康保険組合や社会保険労務士に相談することをお勧めします。
うつ病の診断書はどこでもらえますか?
うつ病の診断書は、心療内科や精神科、またはかかりつけ医で取得できます。なぜなら、休職や傷病手当金の申請には医師の診断書が必要であり、適切な医療機関を受診することが第一歩だからです。
診断書を取得する流れとしては、まず心療内科や精神科を受診し、現在の症状や困っていることを医師に相談します。医師が診察の結果、休職が必要と判断した場合、診断書を作成してもらえます。診断書には、病名、休職の必要性、推奨される休職期間などが記載されます。
医療機関によっては、再診患者を対象としたオンライン診療でも診断書を取得できる場合があります。初診の場合は対面診療が必要となることが一般的ですので、事前に医療機関にご確認ください。通院が難しい場合や、すぐに診断書が必要な場合は、オンライン診療を検討してみるのも一つの方法です。診断書の費用は医療機関によって異なります。具体的な費用については、受診される医療機関に事前にお問い合わせください。診断書は休職や傷病手当金申請の重要な書類ですので、まずは信頼できる医療機関を受診することをお勧めします。
退職リトリート|退職・給付金に関する情報提供サービスという選択肢

退職リトリートは、社会保険労務士監修のもと、公的制度に関する一般的な情報提供を行っているサービスです。給付金の申請には複数の書類提出が必要となる場合があり、手続きに不安を感じる方もいらっしゃいます。
公式LINEより面談を予約し、オンライン面談で制度の仕組みや手続きの流れについて専門スタッフが説明します。その後、申請書類に関する一般的な情報をご案内します。申請書類の作成・提出は、ご本人自身でハローワークや健康保険組合に対して行っていただく必要があります。退職前1ヶ月頃のご相談をおすすめしており、1年間の情報提供期間を設けています。
公的制度の要件を満たし、適正に申請が認められた場合、各種給付金を受給できる可能性があります。退職後の生活設計や給付金に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
※実際の手続きはご本人様がハローワークで行っていただく必要があります。受給の可否及び金額は、ハローワークでの審査により決定されます。




