体調不良による退職を検討されている方に向けて、法律上の根拠や手続き方法について正確な情報をお伝えします。まず始めに、体調不良を理由に退職することは法律で認められており、診断書の提出も必須ではありません。
この記事では、体調不良での退職に関する法的根拠から具体的な伝え方、退職後に活用できる制度まで、あなたが安心して次のステップに進むために必要な情報を丁寧にお伝えします。
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。
体調不良での退職は法律で認められている?診断書がなくても辞められる理由
体調不良を理由に退職することは、法律で保障された労働者の権利です。日本の民法では、労働者が退職を希望する場合、会社の承諾がなくても一定の手続きを踏めば退職できると定められています。そのため、体調が優れない状況で無理に働き続ける必要はなく、自分の健康を最優先に考えて退職を選択することができます。
また、診断書の提出についても法的には必須ではありません。一方で、診断書があることで退職理由を説明しやすくなる場合があり、失業保険の申請時に参考資料として活用できる可能性があります。結果的に退職手続きがスムーズに進む可能性もありますが、会社の対応や個別の状況により結果は異なります。
民法が保障する退職の自由|2週間前の申し出で退職可能
民法第627条では、雇用期間の定めがない労働契約の場合、労働者は退職を希望する日の2週間前までに申し出ることで、会社の承諾がなくても退職できると定められています。
この規定により、体調不良であっても、正式に退職の意思を伝えてから2週間が経過すれば、法律上は退職が成立します。
多くの企業では就業規則で「退職の1ヶ月前までに申し出ること」などと定めていますが、民法の規定が優先されるため、法律上は2週間前の申し出で退職が可能です。ただし、円満退職を目指す場合や、引き継ぎ業務を適切に行いたい場合は、できるだけ就業規則に沿った時期に申し出ることをおすすめします。このように、法律で保障された権利を理解しながら、状況に応じて柔軟に対応することが大切です。
やむを得ない事由に該当する体調不良|契約期間中でも退職できるケース
契約期間の定めがある有期雇用契約の場合でも、体調不良が「やむを得ない事由」に該当すれば、契約期間中であっても退職することが認められています。民法第628条では、やむを得ない事由がある場合、労働者は直ちに契約を解除できると規定されています。
体調不良により業務の遂行が困難な状況は、一般的にやむを得ない事由として認められる可能性があります。例えば、医師から就労継続が困難と診断された場合や、心身の健康状態が著しく悪化している場合などが該当します。
ただし、個々の状況により判断が異なるため、医師の診断書を用意しておくことで、退職理由の正当性を客観的に示すことができます。このように、有期雇用契約であっても、健康上の理由により退職を選択できる道が法律で用意されているのです。
診断書の提出は法的に必須ではない理由と提出するメリット
体調不良を理由に退職する際、診断書の提出は法律上必須ではありません。民法第627条に基づく退職の申し出には、診断書の提出に関する条件は定められていないため、診断書がなくても退職することは可能です。
一方で、診断書を提出することには複数のメリットがあります。まず、退職理由の正当性を客観的に証明できるため、会社側の理解を得やすくなり、円満退職につながる可能性が高まります。さらに、失業保険の申請時に「特定理由離職者」として認定されやすくなり、給付制限期間が短縮される可能性があるという点も大きなメリットです。
このように、診断書は法的に必須ではないものの、提出することであなたの退職手続きがよりスムーズに進む可能性があるため、医師に相談して診断書を取得することも検討してみてはいかがでしょうか。
体調不良を理由に退職する時の正しい伝え方|状況別の例文付き
体調不良を理由に退職を伝える際は、まず直属の上司に口頭で相談することが基本です。なぜなら、突然退職届を提出するよりも、事前に相談する形を取ることで、会社側の理解を得やすくなり、円満退職につながる可能性が高まるからです。
ただし、体調が優れず出社が難しい場合や、既に休職している場合など、対面での相談が困難なケースもあります。そのような状況では、メールや電話での連絡も適切な方法として認められています。大切なのは、あなたの健康状態に無理のない方法で、誠実に退職の意思を伝えることです。以下では、状況別に具体的な伝え方の例文をご紹介します。
直属の上司に口頭で伝える場合の例文と注意点
体調が許す範囲で出社できる場合は、直属の上司に直接口頭で退職の意思を伝える方法が最も丁寧で、会社側の理解も得やすい方法です。まず、上司の時間を確保するために「お話ししたいことがあるのですが、お時間をいただけますでしょうか」と事前に相談の場を設けるようお願いしましょう。
伝え方の例文としては、以下のような形で謝罪と感謝の気持ちを込めて丁寧に伝えることが大切です。
「突然のご相談で申し訳ございません。実は、体調不良が続いており、医師からも休養が必要と診断されました。大変心苦しいのですが、現在の業務を継続することが難しく、退職させていただきたいと考えております。ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、ご検討いただけますでしょうか」
その際、可能であれば診断書を持参することで、退職理由の正当性を示すことができ、理解を得やすくなります。また、引き継ぎについても「可能な範囲で引き継ぎをさせていただきたいと思います」と伝えることで、誠意ある姿勢を示すことができます。
体調がすぐれず出社できない時のメール・電話での伝え方
体調が悪化しており出社することが困難な場合は、メールや電話で退職の意思を伝えることも法律上認められています。労働契約法では、会社には労働者の安全に配慮する義務があるとされており、体調不良の労働者に無理に出社を強要することは、この義務に反する可能性があるためです。
電話で伝える場合の例文としては、以下のような形で簡潔に要点を伝えましょう。
「お忙しいところ恐れ入ります。体調不良が続いており、出社することが難しい状況です。医師からも休養が必要と診断されており、大変申し訳ないのですが、退職させていただきたいと考えております。詳細については後日メールでもお送りいたしますので、ご検討いただけますでしょうか」
メールで伝える場合は、件名を「退職のご相談」などとし、本文では同様に体調不良の状況と退職の意思を丁寧に記載してください。その際、「お電話でお話しできず申し訳ございません」と添えることで、誠意を示すことができます。
既に休職中の場合に使える丁寧な退職の伝え方
既に休職している場合は、復職を前提とした休職から退職へと意思を変更することになるため、より丁寧な説明が求められます。まず、休職期間中にお世話になったことへの感謝を伝えた上で、体調の回復が思わしくなく、復職が難しいと判断した経緯を説明しましょう。
例文としては以下のような形で、メールまたは書面で送ることが適切です。
「休職期間中、ご配慮いただきありがとうございます。療養に専念してまいりましたが、医師と相談した結果、現時点での復職は難しいと判断いたしました。このまま休職を続けることは会社にもご迷惑をおかけすることになるため、大変心苦しいのですが、退職させていただきたいと考えております。これまでお世話になり、本当にありがとうございました」
休職中の場合、会社側もある程度の状況を把握しているため、復職が困難である旨を誠実に伝えることで、理解を得やすくなります。また、退職日については会社と相談しながら決めることで、円満な退職につながります。
退職届の書き方と提出タイミング|何日前に伝えるべき?
退職の意思を口頭で伝えた後は、正式な書類として退職届を提出する必要があります。退職届は、あなたの退職意思を明確に記録し、会社との契約を正式に終了させるための重要な書類です。そのため、記載内容や提出タイミングを適切に理解しておくことで、スムーズな退職手続きを進めることができます。
特に、何日前に伝えるべきかという点については、法律と就業規則の両方を理解しておくことが大切です。また、退職届に記載する理由や、診断書を提出するタイミングについても、あなたの状況に応じて適切に判断する必要があります。以下では、これらのポイントを具体的にご説明します。
法律上は2週間前でOK|就業規則との違いと対処法
民法第627条により、雇用期間の定めがない労働契約の場合、退職を希望する日の2週間前までに申し出ることで、法律上は退職が成立します。一方、多くの企業では就業規則で「1ヶ月前まで」や「2ヶ月前まで」などと定めているケースがあります。
この場合、法律上は2週間前の申し出で退職が可能ですが、円満退職を目指すのであれば、可能な範囲で就業規則に沿った時期に申し出ることをおすすめします。ただし、体調不良が深刻で就業規則の期間を待つことが困難な場合は、法律で保障された2週間前の申し出を主張することもできます。
例えば、「体調不良により、就業規則に定められた期間をお待ちすることが難しい状況です。民法第627条に基づき、2週間後の退職をお願いしたく存じます」といった形で、法的根拠を示しながら丁寧に説明することで、会社側の理解を得られる可能性があります。
退職届に記載する理由の選び方|一身上の都合と体調不良の使い分け
退職届に記載する退職理由については、「一身上の都合」と記載する方法と、「体調不良のため」と具体的に記載する方法があります。どちらを選ぶかは、あなたの状況や会社との関係性によって判断することができます。
一般的には「一身上の都合により」と記載することが多く、この表現は退職理由を詳しく説明せずに済むため、プライバシーを守りたい場合に適しています。一方で、体調不良が退職の主な理由であり、会社にもその事実を明確に伝えたい場合や、失業保険の申請で有利になる可能性を考慮する場合は、「体調不良により業務の継続が困難なため」と具体的に記載する方法もあります。
診断書を提出する場合は、退職届にも体調不良を明記することで、退職理由の一貫性が保たれ、後の手続きがスムーズになります。このように、状況に応じて適切な表現を選ぶことで、あなたにとって最適な退職手続きを進めることができます。
診断書を提出するタイミングと活用方法
診断書を提出するタイミングは、退職の意思を伝える際、または退職届を提出する際に合わせて提出することが一般的です。診断書があることで、退職理由の正当性を客観的に示すことができ、会社側の理解を得やすくなります。
診断書の活用方法としては、まず退職理由の証明として会社に提出することで、円満退職につながる可能性が高まります。さらに、失業保険の申請時にハローワークに提出することで、「特定理由離職者」として認定され、給付制限期間が短縮される可能性があります。また、傷病手当金の申請にも診断書が必要となるため、退職後の生活を支える制度を活用する上でも重要な書類となります。
診断書を取得する際は、「就労継続が困難である」といった内容が明記されていることを確認し、必要に応じて医師に相談して複数枚発行してもらうことも検討してみてください。このように、診断書は退職手続きをスムーズに進めるための重要なツールとなります。
退職を認めてもらえない時の対処法|引き止めや拒否への対応
退職の意思を伝えたにもかかわらず、会社から引き止められたり、退職を認めてもらえなかったりするケースがあります。しかし、法律上、労働者には退職する権利が保障されており、会社が一方的に退職を拒否することはできません。そのため、適切な対処法を知っておくことで、あなたの権利を守りながら退職手続きを進めることができます。
特に体調不良を理由とした退職の場合、会社から「休職してみてはどうか」「部署を異動すれば続けられるのではないか」といった提案を受けることもあります。これらの提案が本当にあなたの健康回復につながるのかを冷静に判断することが大切です。以下では、具体的な対処法をご紹介します。
会社が退職を拒否しても法的に退職は成立する根拠
民法第627条により、労働者が退職の意思を伝えてから2週間が経過すれば、会社の承諾がなくても法律上は退職が成立します。つまり、会社が退職を拒否したとしても、法的には退職する権利が保障されているのです。
ただし、実際には会社から「後任が見つかるまで待ってほしい」「今は繁忙期だから困る」といった理由で引き止められることがあります。このような場合でも、法律上の権利を理解した上で、「法律では2週間前の申し出で退職できると定められています。体調不良により、これ以上お待ちすることが難しい状況ですので、ご理解いただけますようお願いいたします」と丁寧に説明することで、会社側に法的根拠を示すことができます。
また、退職届を内容証明郵便で送付することで、退職の意思表示を正式に記録として残すという方法もあります。このように、法律で保障された権利を適切に主張することで、退職手続きを進めることが可能です。
休職や異動を提案された場合の判断基準
体調不良による退職を申し出た際、会社から休職や部署異動を提案されることがあります。これらの提案は、会社があなたの雇用を継続したいという意思の表れですが、あなた自身の健康状態と照らし合わせて慎重に判断する必要があります。
休職を提案された場合は、まず医師に相談し、休養期間を設けることで業務復帰が可能かどうかを確認しましょう。もし医師から「休養しても復職は困難」と診断されている場合や、職場環境そのものが体調不良の原因となっている場合は、休職しても根本的な解決にならない可能性があります。
また、異動を提案された場合も、異動先の業務内容や労働環境があなたの健康状態に適しているかを慎重に検討してください。判断に迷った場合は、「一度持ち帰って検討させてください」と伝え、医師や信頼できる人に相談してから決めることをおすすめします。あなたの健康を最優先に考え、無理のない選択をすることが何より大切です。
人事部や労働基準監督署への相談方法
直属の上司に退職を認めてもらえない場合や、不当な引き止めを受けている場合は、人事部に直接相談することも一つの方法です。人事部は労働法規に詳しく、適切な対応を取ってくれる可能性があります。
相談する際は、これまでの経緯(いつ、誰に、どのように退職を申し出たか)を時系列でまとめ、診断書などの客観的な証拠があれば持参しましょう。また、会社内での相談が難しい場合や、解決しない場合は、労働基準監督署に相談することもできます。労働基準監督署は、労働者の権利を守るための公的機関であり、無料で相談に応じてくれます。
相談方法は、最寄りの労働基準監督署に電話または直接訪問する形となります。相談の際は、「体調不良を理由に退職を申し出たが、会社が認めてくれない」という状況を具体的に説明することで、適切なアドバイスや対応方法を教えてもらうことができます。このように、公的機関を活用することで、あなたの権利を守ることができます。
退職代行サービスを活用する選択肢|どんな時に検討すべき?
体調不良が深刻で会社とのやり取りそのものが大きな負担となっている場合や、退職を申し出ても受け入れてもらえず、精神的な苦痛を感じている場合は、退職代行サービスを活用することも一つの選択肢です。退職代行サービスとは、労働者に代わって会社に退職の意思を伝え、必要な手続きをサポートしてくれる専門サービスです。
特に、ハラスメントを受けている場合や、上司と直接話すことが困難な状況では、退職代行サービスを利用することで、あなたの心身への負担を最小限に抑えながら退職手続きを進めることができます。退職代行サービスには、一般企業が運営するものから、弁護士や労働組合が運営するものまで様々な種類があり、それぞれ対応できる範囲や費用が異なります。
弁護士や労働組合が運営するサービスであれば、未払い賃金の請求や会社との交渉も可能です。ただし、利用する際は信頼できるサービスを選ぶことが重要です。
体調不良での退職後にもらえるお金|失業保険と傷病手当金の活用方法
退職後の生活に不安を感じている方も多いと思いますが、条件を満たした場合、失業保険や傷病手当金といった公的な支援制度を活用できる可能性があります。これらの制度は、退職後の生活を支えるための重要な仕組みであり、適切な手続きを行うことで受給できる場合があります。
特に体調不良による退職の場合、一般的な自己都合退職よりも優遇される可能性がある「特定理由離職者」として認定されることがあります。また、傷病手当金は退職後も一定の条件を満たせば継続して受給できる制度です。
※以下の情報は2025年11月時点の制度に基づくものです。受給可否や金額は個別の状況により異なります。必ずハローワーク・健康保険組合等の公的機関にご確認ください。
失業保険 総額シミュレーター
正確な金額・給付日数とは異なる場合があります。
| 雇用保険の加入期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職・特定理由離職者の場合
| 雇用保険の加入期間 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
| 29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35~44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60~64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
失業保険の受給条件|自己都合退職と特定理由離職者の違い
失業保険(雇用保険の基本手当)を受給するには、原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上あることが必要です。自己都合退職の場合、一般的には申請後1ヶ月間の給付制限期間があり、その期間が経過してから給付が開始されます(2025年4月1日以降。なお、過去5年間で2回以上自己都合退職している場合は3ヶ月)。
一方、体調不良による退職が「特定理由離職者」として認定された場合は、給付制限期間が適用されず、待期期間(7日間)の後すぐに給付が開始される可能性があります。特定理由離職者とは、「正当な理由のある自己都合退職」として認められる離職者のことで、体調不良により就業継続が困難となった場合などが該当します。
ハローワークでは、診断書などの客観的な証拠に基づいて判断されるため、医師の診断書があると特定理由離職者として認定されやすくなります。このように、同じ自己都合退職でも、体調不良という理由により受給条件が優遇される可能性があるため、退職時には診断書を取得しておくことをおすすめします。
診断書があれば給付制限期間が免除される可能性も
体調不良による退職で失業保険を申請する際、医師の診断書があることで、給付制限期間が免除される可能性が高まります。診断書には、就労継続が困難である旨や、具体的な病名、療養が必要な期間などが記載されていることが望ましいです。ただし、最終的な判断はハローワークが行うため、診断書があっても認定されないケースもあることをご理解ください。
ハローワークでは、離職票と診断書などの資料を基に、特定理由離職者に該当するかどうかを判断します。認定されれば、通常の自己都合退職で設けられる1ヶ月間の給付制限期間(2025年4月1日以降)が適用されず、待期期間(7日間)の後、すぐに給付が開始されます。給付日数については被保険者期間に応じて設定されますので、詳しい条件や日数については、ハローワークにご確認ください。
このように、診断書は失業保険の受給条件において重要な役割を果たすため、退職前に医師に相談して取得しておくことをおすすめします。
傷病手当金を退職後も受け取るための5つの条件
傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった場合に、健康保険から支給される給付金です。在職中に受給していた場合、一定の条件を満たせば退職後も継続して受給できる可能性があります。
退職後も傷病手当金を受け取るための条件は以下の5つです。
- 退職日まで継続して1年以上健康保険に加入していること
- 退職日の前日までに、連続して3日間以上仕事を休んでいること(待期期間の完成)
- その後も引き続き働けない状態が続いていること
- 退職日に出勤していないこと
- 失業保険などの他の給付を受けていないこと
これらの条件を全て満たした場合、退職後も傷病手当金を受給できる可能性があります。支給額は、標準報酬日額の3分の2相当額で、支給期間は支給開始日から通算して1年6ヶ月間です。退職を検討している段階で、これらの条件を満たせるよう計画的に手続きを進めることをおすすめします。
失業保険と傷病手当金は同時に受給できる?
失業保険と傷病手当金は、原則として同時に受給することはできません。なぜなら、失業保険は「働ける状態にあるが仕事が見つからない人」を対象とした制度であり、傷病手当金は「病気やケガで働けない人」を対象とした制度であるため、受給要件が相反しているからです。
ただし、状況に応じて使い分けることは可能です。例えば、退職後に傷病手当金を受給しながら療養し、体調が回復して就労可能な状態になった時点で失業保険に切り替えるという方法があります。この場合、失業保険の受給期間延長手続きを行うことで、傷病手当金の受給期間中は失業保険の受給期間をストップし、回復後に失業保険を受給できる可能性があります。
受給期間の延長は、原則として退職後30日を経過した日の翌日以降、できるだけ早期に申請することが推奨されていますが、延長後の受給期間の最終日までであれば申請可能です(2020年4月の制度改正により申請期限が緩和されました)。このように、両方の制度を適切に活用することで、退職後の生活をより安定させることができる可能性があります。
円満退職のために配慮すべきポイント|トラブルを避ける方法
体調不良により退職を決断することは、あなた自身の健康を守るための正当な選択です。一方で、これまでお世話になった会社に対して、可能な範囲で配慮を示すことで、円満な退職につながり、その後のキャリアにも良い影響を与える可能性があります。
円満退職とは、会社との関係を良好に保ちながら退職することを指します。将来的に同じ業界で働く可能性や、退職後の手続きをスムーズに進めるためにも、できる限りトラブルを避ける形で退職することが望ましいです。以下では、体調不良による退職でも配慮できるポイントをご紹介します。
引き継ぎ業務は可能な範囲で対応する姿勢を示す
体調不良で退職する場合でも、可能な範囲で引き継ぎ業務に協力する姿勢を示すことは、円満退職につながる重要なポイントです。全ての業務を完璧に引き継ぐことが難しい状況でも、「可能な範囲で協力します」という意思を伝えることで、会社側の理解を得やすくなります。
具体的には、担当業務の一覧や進行中のプロジェクトの状況、取引先の連絡先などを文書にまとめて提出する、後任者への引き継ぎ資料を作成する、体調が許す範囲で引き継ぎのための打ち合わせに参加する、といった方法があります。もし体調が優れず出社が難しい場合は、メールや電話で引き継ぎ情報を伝えることも可能です。
完璧を目指す必要はありませんが、あなたができる範囲での協力姿勢を示すことで、会社側も「できる限り協力してくれている」と感じ、円満な退職につながります。健康を最優先にしながら、無理のない範囲で対応することを心がけてください。
繁忙期を避けて退職時期を調整する配慮
体調不良が理由であっても、可能であれば会社の繁忙期を避けて退職時期を調整することは、円満退職につながる配慮の一つです。ただし、あなたの健康状態が最優先であり、無理に繁忙期を避けることで体調が悪化してしまっては本末転倒です。
もし体調が許す範囲で退職時期を調整できる余裕があるなら、上司に「繁忙期をできるだけ避けたいと思っていますが、○月頃の退職は可能でしょうか」と相談してみることも一つの方法です。一方で、医師から早急な休養が必要と診断されている場合や、体調がすでに限界に達している場合は、繁忙期であっても健康を優先して退職することが正しい判断です。
その際は、「体調が深刻な状況で、これ以上待つことが難しい状況です。繁忙期であることは理解しておりますが、ご理解いただけますようお願いいたします」と丁寧に説明することで、誠意を示すことができます。あなたの健康状態と会社の状況を総合的に判断し、無理のない選択をしてください。
会社への感謝と謝罪の言葉を添える伝え方
体調不良による退職を伝える際、会社への感謝と謝罪の言葉を添えることで、円満な退職につながりやすくなります。退職理由が体調不良であっても、これまで働く機会を与えてくれたことや、お世話になったことへの感謝の気持ちを伝えることは大切です。
例えば、「これまで○年間、様々な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。体調不良により、このような形で退職することになり、大変申し訳ございません」といった形で、感謝と謝罪の両方を伝えることで、会社側も「仕方のない事情だった」と理解しやすくなります。
また、退職後に会社から離職票や源泉徴収票などの書類を受け取る必要があるため、良好な関係を保っておくことは実務的にも重要です。感謝の気持ちは形式的なものではなく、あなたが本当に感じていることを素直に伝えることで、より誠実な印象を与えることができます。このように、丁寧なコミュニケーションを心がけることで、円満な退職を実現しやすくなります。
転職活動での体調不良退職の伝え方|面接で好印象を与える説明方法
体調不良により退職した後、次のキャリアに向けて転職活動を始める際、面接で退職理由をどのように説明するかは多くの方が悩むポイントです。体調不良という事実を隠す必要はありませんが、伝え方によって面接官に与える印象は大きく変わります。
大切なのは、現在は体調が回復しており、前向きに働く意欲があることを明確に伝えることです。過去の退職理由について正直に説明しつつ、そこから学んだことや今後の対策を具体的に示すことで、面接官に安心感と信頼感を与えることができます。以下では、転職活動での体調不良退職の効果的な伝え方についてご説明します。
完治してから転職活動を始めることの重要性
転職活動を始める前に、まずは体調をしっかりと回復させることが何より重要です。なぜなら、体調が不安定なまま転職活動や新しい仕事を始めてしまうと、再び体調を崩すリスクがあり、結果的にキャリアに悪影響を及ぼす可能性があるからです。
医師から就労可能と判断されるまで療養に専念し、規則正しい生活リズムを取り戻してから転職活動を開始することをおすすめします。また、面接では「現在は完治しており、医師からも就労に問題ないと診断されています」と明確に伝えることで、採用担当者の不安を解消することができます。
可能であれば、就労可能である旨の診断書を用意しておくと、より信頼性が高まります。焦って転職活動を始めるのではなく、まずは健康を取り戻し、万全の状態で次のステップに進むことが、長期的なキャリア形成において最も賢明な選択です。
ネガティブな退職理由をポジティブに言い換える具体例
面接で退職理由を説明する際は、体調不良という事実を隠す必要はありませんが、ネガティブな印象を与えないよう、前向きな表現に言い換えることが効果的です。例えば、「体調を崩して退職しました」とだけ伝えるのではなく、以下のような形で、前向きな学びを含めた説明をすることで、面接官に良い印象を与えることができます。
「以前の職場では業務に全力で取り組んだ結果、一時的に体調を崩してしまいました。そこで健康管理の重要性を改めて認識し、現在は完全に回復しております」
また、「前職では長時間労働により体調を崩しましたが、その経験から業務の効率化やタイムマネジメントの重要性を学びました。御社では、これまでの経験を活かしながら、健康管理にも配慮した働き方で貢献したいと考えております」といった形で、退職理由を成長の機会として捉え直すことも効果的です。このように、過去の経験をポジティブに転換して伝えることで、あなたの成長意欲や前向きな姿勢をアピールすることができます。
再発防止策と今後の意欲を伝える方法
面接では、体調不良の再発を防ぐために具体的にどのような対策を取っているかを伝えることが、採用担当者の不安を解消する上で非常に重要です。
例えば、以下のような具体的な対策を示すことで、同じ問題を繰り返さないという意思を明確に伝えることができます。
「現在は定期的に医師の診察を受けており、健康管理を徹底しています」
「ストレス管理のために運動習慣を取り入れています」
「業務の優先順位を明確にし、無理のない働き方を心がけています」
さらに、「御社の○○という事業に強い関心があり、これまでの経験を活かして貢献したいと考えています」「健康を維持しながら、長期的に御社で活躍したいという強い意欲があります」といった形で、今後の意欲を積極的にアピールすることも大切です。
過去の退職理由について正直に説明しつつ、未来に向けた前向きな姿勢を示すことで、面接官はあなたを信頼し、安心して採用を検討できるようになります。このように、再発防止策と今後の意欲を組み合わせて伝えることで、体調不良による退職というハンディを乗り越え、新しいキャリアへの道を切り開くことができます。
よくある質問|体調不良での退職に関する疑問を解決

体調不良での退職を検討する際、多くの方が同じような疑問や不安を抱えています。
ここでは、よくある質問に対して具体的にお答えします。これらの情報を参考にすることで、あなたの不安が少しでも軽減され、適切な判断ができるようサポートいたします。
体調不良でそのまま退職してもいいですか?
はい、体調不良を理由にそのまま退職することは法律上認められています。民法第627条により、退職を希望する日の2週間前に申し出ることで、会社の承諾がなくても退職が成立します。体調が優れず、これ以上働き続けることが困難な場合は、無理をせずに退職を選択することは正当な権利です。
ただし、可能であれば直属の上司に退職の意思を伝え、退職届を提出するという正式な手続きを踏むことで、より円満な退職につながります。体調がすぐれず出社が難しい場合は、メールや電話で退職の意思を伝えることも認められていますので、あなたの健康状態に合わせた方法で手続きを進めてください。
体調不良の退職は甘えですか?周囲の目が気になる時の考え方
体調不良による退職は決して甘えではありません。健康は全ての基盤であり、体調が優れない状態で無理に働き続けることは、かえって症状を悪化させ、長期的なキャリアにも悪影響を及ぼす可能性があります。厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、メンタルヘルス不調により退職した労働者がいた事業所の割合は一定数存在することが報告されています(令和5年調査では約6.2%)。
周囲の目が気になる気持ちは自然なことですが、最も大切なのはあなた自身の健康です。他人はあなたの体調や苦しみを完全に理解することはできませんし、あなたの人生に責任を持つこともできません。医師から休養が必要と診断されている場合や、心身に限界を感じている場合は、自分の健康を最優先に考える判断が正しい選択です。退職後、しっかりと体調を回復させてから次のステップに進むことで、より充実したキャリアを築くことができます。自分自身を大切にすることは、決して甘えではなく、責任ある大人の判断です。
診断書なしでも退職できますか?必要になるケースとは
診断書がなくても退職することは法律上可能です。民法第627条に基づく退職の申し出には、診断書の提出に関する条件は定められていないため、診断書なしでも2週間前に申し出ることで退職できます。
ただし、診断書があることで以下のようなメリットがあります。まず、退職理由の正当性を客観的に証明できるため、会社側の理解を得やすくなります。次に、失業保険の申請時に「特定理由離職者」として認定されやすくなり、給付制限期間が短縮される可能性があります。さらに、傷病手当金を申請する際にも診断書が必要となります。
このように、診断書は法的に必須ではないものの、退職後の各種手続きにおいて有利に働く可能性があるため、取得できる状況であれば医師に相談して診断書を発行してもらうことをおすすめします。診断書には、就労継続が困難である旨が明記されていることが望ましいです。
体調不良を理由に即日退職することは可能ですか?
原則として、即日退職は法律上認められていません。民法第627条では、退職の意思を伝えてから2週間の期間が必要とされています。ただし、体調不良が非常に深刻で、民法第628条の「やむを得ない事由」に該当すると判断される場合は、即日退職が認められる可能性があります。
やむを得ない事由とは、例えば医師から即座に休養が必要と診断された場合や、就労継続が健康に重大な悪影響を及ぼすと判断される場合などです。この場合、医師の診断書を用意し、会社に対して「医師から即座に休養が必要と診断されており、やむを得ず即日の退職をお願いしたい」と説明することで、理解を得られる可能性があります。
また、会社と合意が得られれば、2週間を待たずに退職することも可能です。ただし、一方的に出社しなくなる「バックレ」は、会社とのトラブルや損害賠償請求のリスクがあるため避けるべきです。必ず正式な手続きを踏んで退職の意思を伝えることが重要です。
欠勤したまま退職の連絡をしても問題ありませんか?
はい、体調不良により欠勤している状態で退職の連絡をすることは問題ありません。労働契約法では、会社には労働者の安全に配慮する義務があるとされており、体調不良の労働者に無理に出社を強要することは、この義務に反する可能性があります。
欠勤中に退職を決めた場合は、まず電話やメールで上司に連絡し、「体調不良で欠勤しておりますが、医師と相談した結果、退職させていただきたいと考えております」と丁寧に伝えましょう。その後、退職届を郵送する形で提出することも可能です。退職届には退職日を明記し、内容証明郵便で送付することで、退職の意思表示を正式に記録として残すこともできます。
欠勤中であっても、適切な手続きを踏むことで、法律上は問題なく退職することができます。体調が優れない中で無理に出社するよりも、まずは健康を最優先に考え、必要な連絡を適切な方法で行うことが大切です。
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