休職について不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際には、適切なサポートと準備により、多くの方が復職を実現しています。厚生労働省の調査によれば、休職後に約5割の方が職場復帰を実現しており、適切な準備とサポートがあれば復職も十分可能なのです。
この記事では、休職に関する最新のデータや制度、そして具体的な復職準備の方法について、詳しくお伝えします。経済的な支援制度である傷病手当金の活用方法から、休職中の過ごし方、復職のタイミング、そして職場での人間関係への対処法まで、実践的な情報をまとめました。また、休職と退職のどちらを選ぶべきか悩んでいる方にも、判断基準となる情報をご紹介します。
一人で悩まず、この記事で紹介する制度や方法を参考にしながら、あなたに合った選択を検討してみてください。
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。
休職したら本当に終わり?データから見る復職の可能性
休職は決して「終わり」ではありません。なぜなら、実際のデータを見ると、多くの方が職場復帰を実現しているからです。
ここでは、客観的な統計データをもとに、復職の可能性や年代別の傾向、そして休職が「終わり」と感じられる心理的な理由について解説します。まずは正確な情報を知ることで、不安を少しずつ解消していきましょう。
休職からの復職に関するデータ│個人差があることを前提に
独立行政法人労働政策研究・研修機構の2013年調査によると、過去3年間における休職者の復職率は平均51.9%となっています。つまり、休職された方の約2人に1人は職場復帰を果たしているということです。
また、株式会社KiteRaが2025年に実施した調査では、休職時点で復職意思を持っていた方が65.1%、実際に復職した方が68.0%という結果が出ています。ただし復職時に不安を感じた方は90.9%に上っており、多くの方が不安を抱えながらも職場復帰を選択している実態がわかります。
復職後に「ポジティブな変化があった」と回答した方は58.3%である一方、再休職される方も一定数いらっしゃいます。休職は自分自身を見つめ直し、働き方を改善する機会となる可能性がありますが、必ずしも全ての方に当てはまるわけではありません。
統計データは参考情報の一つですが、個人の状況や職場環境によって結果は大きく異なります。焦らず自分のペースで回復に努めることが最も大切です。
20代の退職率が高い理由│年代別に見る休職後の選択
休職明けの対応については年代によって傾向が異なることが明らかになっています。2025年の調査では、メンタル不調による休職後、全体の約5割が退職する一方で、20代では7割超が退職を選択しているというデータがあります。なぜ20代の退職率が高いのでしょうか。
その理由として、まず20代はキャリアの選択肢が比較的多く、転職市場でも有利な立場にあることが挙げられます。そのため、休職をきっかけに職場環境や働き方を見直し、新しい環境での再スタートを選ぶケースが多いと考えられます。また、年齢が若いほど「今の会社に戻るより新しいチャレンジをしたい」という前向きな気持ちで転職を決断しやすい傾向もあるでしょう。
一方で、30代以降になると家族や住宅ローンなど生活基盤が固まっていることが多く、現職への復帰を選択する割合が高まる傾向にあります。休職後の選択は年齢やライフステージ、そして何より本人の価値観によって変わるものです。どちらの選択が正しいということはなく、あなた自身の状況や希望に合わせて判断することが重要です。
休職が「終わり」と感じてしまう3つの心理的要因
休職を「終わり」と感じてしまう背景には、いくつかの心理的な要因があります。まず第一に、経済的な不安です。休職中は給与が支給されない、または減額されるケースが多く、「生活していけるのだろうか」という金銭面の心配が大きなストレスになります。
第二に、社会的な孤立感や職場での居場所を失う恐怖があります。同僚が働いている間に自分だけが休んでいることへの罪悪感や、復職したときに周囲からどう見られるかという不安が、「もう戻れないのではないか」という気持ちを強めてしまうのです。
第三に、自己否定感や自己評価の低下も大きな要因です。「自分は働けない人間だ」「期待に応えられなかった」と自分を責めてしまい、キャリアが終わったと感じてしまうケースが少なくありません。しかし、これらはあくまで休職中の心理状態が生み出す感情であり、客観的な事実とは異なります。実際には、前述のように多くの方が復職を果たしており、適切なサポートを受けながら回復すれば、再び働くことは十分に可能です。まずは、こうした心理的な要因を理解し、一人で抱え込まずに専門家や信頼できる人に相談することが、回復への第一歩となります。
休職中の経済的不安を解消│傷病手当金の制度と受給条件
休職中の最も大きな不安の一つが、収入の減少や途絶えです。しかし、条件を満たせば健康保険から「傷病手当金」という経済的支援を受けられる制度があります。一定の条件を満たし、健康保険組合の審査で承認された場合に限り、休職中も給付金を受け取れる制度があります。
ただし、申請しても要件を満たさない、または審査で不承認となるケースもありますので、まずは制度内容を正確に理解することが重要です。ここでは、傷病手当金の仕組みや受給条件、申請方法について詳しく解説します。
傷病手当金制度│審査により給与の約3分の2相当額が支給される場合が
傷病手当金とは、業務外の病気やケガで働けなくなった場合に、健康保険から支給される給付金のことです。一定の要件を満たし、健康保険組合等の審査で承認された場合、給与(標準報酬月額)の約3分の2相当額を、通算で最長1年6ヶ月まで受け取れる制度です。これにより、休職中の生活費の不安を軽減できる可能性があります。
具体的な支給額は、標準報酬月額を30日で割った日額の3分の2が1日あたりの支給額となります。例えば、標準報酬月額が30万円の方が全ての要件を満たし審査で承認された場合、1日あたり約6,667円程度が支給対象となる計算ですが、実際の支給可否・金額・期間は、加入する健康保険の審査結果により決定されます。申請しても不承認となるケースもあります。
主な受給要件は、健康保険加入、業務外の病気やケガでの療養、労務不能の状態、連続3日以上の休業後4日目以降も休んでいることなどです。詳細は加入している健康保険組合または協会けんぽにご相談ください。
失業保険 総額シミュレーター
正確な金額・給付日数とは異なる場合があります。
| 雇用保険の加入期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職・特定理由離職者の場合
| 雇用保険の加入期間 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
| 29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35~44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60~64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
傷病手当金の申請に必要な書類と手続きの流れ
傷病手当金を受給するためには、適切な手続きと書類の準備が必要です。申請には主に「傷病手当金支給申請書」を提出する必要があり、この申請書には本人が記入する欄、医師が記入する欄、そして事業主(会社)が記入する欄の3つがあります。つまり、医師の証明と会社の証明の両方が必要となるのです。
具体的な手続きの流れとしては、まず医療機関で診察を受け、休養が必要であるという診断を受けます。その後、医師に申請書の「療養担当者記入用」の欄に、傷病名や労務不能と認められる期間などを記入してもらいます。次に、会社の人事部門に申請書の「事業主記入用」の欄を記入してもらい、賃金の支払い状況などを証明してもらいます。
すべての記入が完了したら、加入している健康保険組合または協会けんぽに申請書を提出します。審査には通常2週間から1ヶ月程度かかることが一般的ですが、申請内容や保険者によって期間は異なります。申請が承認されると、指定した口座に傷病手当金が振り込まれる流れとなります。なお、支給は1ヶ月ごとなど定期的に申請が必要な場合もあるため、加入している健康保険に確認しておくと安心です。
健康保険の加入期間が1年未満の場合の支給額計算
傷病手当金の支給額は、原則として「標準報酬月額」をもとに計算されます。標準報酬月額とは、毎月の給与を一定の等級に当てはめた金額のことで、健康保険料の算定基準にもなっています。一般的には、直近12ヶ月間の標準報酬月額の平均値を用いて、1日あたりの支給額が算出されます。
しかし、健康保険の加入期間が1年未満の場合は計算方法が少し異なります。この場合、①加入している健康保険の全被保険者の標準報酬月額の平均値、または②自分の標準報酬月額のうち、いずれか低い方の金額を用いて計算されます。つまり、加入期間が短い場合は、やや支給額が低くなる可能性があるということです。
例えば、入社して半年で休職となった場合、全被保険者の平均値が28万円、自分の標準報酬月額が32万円だとすると、低い方である28万円をもとに計算されることになります。この点は、転職後すぐに体調を崩してしまった方や、新入社員の方にとって特に重要なポイントです。詳しい計算方法や自分の標準報酬月額については、加入している健康保険組合や協会けんぽに問い合わせることで確認できますので、不安な場合は早めに相談してみることをおすすめします。
休職中はどう過ごす?回復を優先した正しい過ごし方
休職期間をどう過ごすかは、回復の速度や復職の成否に大きく影響します。焦って無理に活動してしまうと、かえって回復が遅れたり、症状が悪化したりする可能性があります。
ここでは、休職中の正しい過ごし方について、回復を最優先にした3つのポイントをお伝えします。
休職初期は心身の休養を最優先│無理に活動しない
休職に入った直後は、まず心身をしっかりと休めることが最も重要です。なぜなら、休職が必要になるほどの状態は、心身が限界を迎えているサインだからです。この時期に「早く治さなければ」「何かしなければ」と焦ってしまうと、かえって回復が遅れてしまうことがあります。
休職初期の1~2週間は、特に何もせずゆっくり過ごすことを心がけてください。十分な睡眠をとり、好きなことをしたり、ぼんやり過ごしたりする時間を大切にしましょう。医師から運動や外出を控えるよう指示されている場合は、その指示に従うことが回復への近道です。
また、この時期は「何もできない自分」を責めてしまいがちですが、休養そのものが治療の一環であることを理解してください。症状が落ち着いてきたら、少しずつ散歩や軽い運動を取り入れるなど、段階的に活動量を増やしていくという考え方が大切です。焦らず、自分の体調と相談しながら過ごすことを意識してみてください。
睡眠と生活リズムを整えることから始める
心身の回復には、規則正しい生活リズムと質の良い睡眠が不可欠です。休職中は仕事のプレッシャーから解放される一方で、生活リズムが乱れやすくなります。しかし、不規則な生活は心身の回復を妨げ、復職を難しくする要因にもなりかねません。
まずは毎日同じ時間に起床し、同じ時間に就寝することを目標にしてみましょう。朝起きたらカーテンを開けて日光を浴び、体内時計をリセットすることも効果的です。また、1日3食を決まった時間に食べることで、生活リズムが整いやすくなります。
睡眠については、6~8時間程度を目安に、自分に合った睡眠時間を確保してください。寝つきが悪い場合は、就寝前にスマートフォンやパソコンの画面を見ないようにする、ぬるめのお風呂に入る、リラックスできる音楽を聴くなどの工夫も有効です。医師から睡眠薬が処方されている場合は、指示通りに服用することも大切です。生活リズムが整ってくると、心身の状態も安定しやすくなり、次のステップである復職準備へと進みやすくなります。
仕事の連絡を避けて治療に専念する環境づくり
休職中は、できる限り仕事に関する連絡を避け、治療に専念できる環境を整えることが重要です。なぜなら、仕事のメールや電話、SNSでの業務連絡などは、休んでいるはずの心身に再びストレスを与えてしまうからです。
まず、会社とは休職前にしっかりと連絡方法を取り決めておきましょう。例えば、「緊急時は人事部門から連絡する」「定期的な近況報告は月に1回程度とする」など、必要最低限のコミュニケーションルールを決めておくと安心です。そして休職中は、業務用のメールやチャットツールを極力見ないようにし、同僚からの個別連絡も丁重にお断りすることを検討してください。
また、SNSで会社関係のアカウントをフォローしている場合は、一時的にミュートにするなどの工夫も有効です。「みんなが働いている」「自分だけ休んでいる」という情報は、罪悪感や焦燥感を生みやすいため、情報を遮断することも回復のために必要な対策です。医師や産業医からも「仕事から完全に離れる」ようアドバイスされることが多いですので、思い切って仕事のことを考えない時間を作ることを優先してください。
リワークプログラムで復職準備│段階的な職場復帰をサポート
復職に向けて不安を感じている方には、「リワークプログラム」という専門的な支援制度があります。
これは、休職者が段階的に職場復帰できるよう、生活リズムの調整や業務シミュレーション、ストレス対処法の習得などを支援するプログラムです。ここでは、リワークプログラムの内容や活用方法について詳しく解説します。
リワークプログラムとは?復職に向けた訓練内容
リワークプログラムとは、精神疾患などで休職している方が、安全かつスムーズに職場復帰できるよう支援する専門プログラムのことです。主に精神科クリニックや医療機関、地域障害者職業センターなどで実施されており、医師や臨床心理士、作業療法士などの専門スタッフがサポートを行います。
プログラムの内容は施設によって異なりますが、一般的には以下のような訓練が含まれます。まず、生活リズムの安定化として、決まった時間に通所することで規則正しい生活習慣を身につけます。次に、集中力や作業能力の回復を目的とした軽作業やパソコン作業などの実践訓練があります。また、ストレスへの対処法やコミュニケーションスキルを学ぶグループワークやカウンセリングも重要な要素です。
さらに、復職後の再休職を防ぐため、自分のストレス要因を理解し、早期に対処する方法を学ぶ「再発予防プログラム」も実施されています。リワークプログラムの期間は個人の状態によって異なりますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度が目安とされています。復職への不安が大きい方は、主治医や産業医にリワークプログラムの利用を相談してみることをおすすめします。
通所型リワークで通勤や業務のシミュレーションを体験
通所型のリワークプログラムでは、実際の職場環境に近い状況を体験できることが大きなメリットです。なぜなら、自宅で休養するだけでは復職後の通勤や業務に対応できるかどうかが不安になるからです。通所型リワークでは、毎日決まった時間に施設へ通うことで、通勤のシミュレーションができます。
例えば、最初は週2~3日の通所から始め、体調に合わせて徐々に週5日のフルタイム通所へと移行していきます。このように段階的に負荷を上げることで、復職後の勤務にスムーズに適応できるよう準備が進められます。また、施設内では模擬的な業務を行うことで、「集中して作業できるか」「一定時間働き続けられるか」を確認できます。
通所中は、自分の体調や疲労度を記録し、専門スタッフと一緒に振り返る時間も設けられています。これにより、「どのような状況で疲れやすいのか」「どんなストレス対処法が自分に合っているのか」を客観的に理解できるようになります。こうした実践的な訓練を経ることで、復職への自信を取り戻す助けとなる可能性があります。ただし、リワークプログラムの効果は個人差があり、参加したからといって必ずしも再休職を防げるわけではありません。
ストレス対処法やコミュニケーションスキルの習得
リワークプログラムでは、ストレスへの対処法やコミュニケーションスキルを学ぶことも重要な要素です。なぜなら、復職後に同じようなストレス状況に直面したとき、適切な対処ができなければ再び体調を崩してしまう可能性があるからです。
ストレス対処法としては、認知行動療法をベースにした考え方の見直しや、リラクゼーション技法、マインドフルネスなどが教えられます。例えば、「完璧にやらなければならない」という思い込みを「できる範囲で取り組めばいい」と柔軟に考え直す練習や、深呼吸や筋弛緩法を使って心身の緊張をほぐす方法などを学びます。これらの技法は、復職後の日常業務でも活用できる実践的なスキルです。
また、コミュニケーションスキルの訓練では、職場での報告・連絡・相談の仕方や、困ったときに助けを求める方法、自分の体調や限界を適切に伝える方法などを練習します。グループワークを通じて、他の参加者と意見交換をしたり、ロールプレイで実際の場面を想定した練習をしたりすることで、自信を持って職場でコミュニケーションを取れるようになります。こうしたスキルの習得は、復職後の職場適応と再発防止に大きく役立つでしょう。
復職のタイミングはいつ?判断基準と段階的な復帰方法
復職のタイミングを見極めることは、再休職を防ぐために非常に重要です。早すぎる復職は再発のリスクを高め、遅すぎると職場への復帰が難しくなる可能性があります。
ここでは、復職可能と判断できるサインや、段階的な復帰方法、そして医師との連携について解説します。
復職を検討する際の参考となる5つの目安
復職のタイミングを判断する際には、いくつかの客観的なサインを参考にすることが大切です。まず第一に、基本的な生活リズムが安定していることが挙げられます。毎日同じ時間に起床し、規則正しく食事を取り、夜は十分な睡眠を確保できている状態が2週間以上続いているかどうかが目安となります。
第二に、日常生活の動作が無理なくできることも重要です。例えば、家事や買い物、軽い運動などを疲労を感じすぎることなく行えるようであれば、体力が回復してきている証拠です。第三に、集中力や判断力が戻ってきていることも大切なサインです。読書や映画鑑賞などを一定時間集中して行える、あるいは日常的な判断を適切にできるようになっているかを確認してみてください。
第四に、通勤時間帯の外出に疲れを感じなくなることも重要な指標です。実際に朝のラッシュ時に電車に乗ってみて、過度なストレスや疲労を感じないかを試してみると良いでしょう。そして第五に、仕事への意欲が戻ってきていることも大切です。「また働きたい」「職場に戻りたい」という前向きな気持ちが自然に湧いてくるようであれば、心理的にも復職の準備が整いつつあると言えます。これらの5つのサインが揃い、2~4週間程度安定して継続できていれば、主治医や産業医に復職の相談をするタイミングと考えられます。
時短勤務や業務調整を活用した段階的復職プラン
復職の際は、いきなりフルタイム勤務に戻るのではなく、段階的に勤務時間や業務内容を調整していく方法が推奨されています。なぜなら、急に以前と同じ負荷をかけてしまうと、心身に過度なストレスがかかり、再休職のリスクが高まるからです。
多くの企業では、復職後の段階的な勤務プランとして、まず時短勤務から始めることが一般的です。例えば、最初の1~2週間は午前中のみの勤務(4時間程度)、その後1~2週間は6時間勤務、そして体調が安定してきたらフルタイム(8時間)へと移行するといった流れです。通勤のみで疲労する場合は、最初は通勤練習だけを行う「試し出社」という制度を活用できる場合もあります。
また、業務内容の調整も重要です。復職直後は負荷の軽い業務から始め、納期のプレッシャーが少ない仕事や、一人で黙々と進められる作業などを担当させてもらうよう、上司や人事部門に相談してみてください。残業や休日出勤は当面避けることも大切です。こうした段階的な復帰プランは、産業医や主治医と相談しながら、会社と協議して決めていくことが一般的です。焦らず自分のペースで復職を進めることが、長期的に働き続けるための鍵となります。
産業医や主治医との連携で適切なタイミングを見極める
復職のタイミングを判断する際には、産業医や主治医との密な連携が不可欠です。なぜなら、本人の主観だけでは「もう大丈夫」と思っていても、客観的にはまだ回復が不十分な場合があるからです。専門家の視点から適切なアドバイスを受けることで、再休職のリスクを減らすことができます。
まず、主治医との関係では、定期的な診察の中で体調の変化や生活リズムの状態を報告し、復職の時期について相談してください。主治医は「復職可能」という診断書を発行しますが、これは医学的な見地からの判断です。そのため、復職の意思や準備状況についても率直に伝え、不安な点があれば遠慮せずに相談することが大切です。
一方、産業医は職場の状況を理解した上で、復職の可否や勤務条件について判断します。産業医面談では、現在の体調、生活リズム、通勤の可否、業務遂行能力などについて詳しく聞かれることが一般的です。この面談を通じて、段階的復職プランが作成されたり、職場環境の調整が検討されたりします。主治医と産業医の両方の意見を参考にしながら、自分自身の体調とも相談して、最適な復職のタイミングを見極めていくことが重要です。
休職後の復帰が気まずい?職場での人間関係への対処法
復職時に多くの方が不安に感じるのが、職場での人間関係です。「迷惑をかけてしまった」「どう接すればいいのか分からない」といった気まずさを感じるのは自然なことです。
ここでは、復職後の人間関係をスムーズにするための具体的な対処法をお伝えします。
復職時に感じる気まずさは自然な感情│焦らず少しずつ
復職時に気まずさや居心地の悪さを感じることは、決して特別なことではありません。実際、復職者の90.9%が復職時に不安を感じているというデータもあり、多くの方が同じような感情を抱いていることが分かります。「自分だけがこんな風に感じているのではないか」と思わず、まずはこの感情を受け入れることから始めましょう。
職場に戻った最初の数日間は、特に緊張や疲労を感じやすい時期です。久しぶりの通勤や職場の雰囲気、同僚とのコミュニケーションなど、全てが新鮮であると同時に、心身に負担をかける要素でもあります。この時期は無理をせず、「少しずつ慣れていけばいい」という気持ちで過ごすことが大切です。
また、周囲の同僚も「どう接すればいいのか」「触れない方がいいのか」と戸惑っている可能性があります。そのため、最初のうちはお互いに遠慮がちになることもありますが、時間が経つにつれて自然な関係性が戻ってくるものです。焦らず、一日一日を丁寧に過ごすことで、徐々に職場での居場所を取り戻していくことができるでしょう。
上司や同僚への報告・連絡・相談のバランス
復職後のコミュニケーションで悩むのが、上司や同僚への報告・連絡・相談のバランスです。体調について細かく報告すべきか、それとも触れない方がいいのか、判断に迷う方も多いでしょう。基本的には、業務に影響する可能性がある体調の変化については、適度に共有することが望ましいと言えます。
例えば、上司に対しては定期的な面談の機会を設けてもらい、「今週はこのくらいの業務量で問題なくこなせました」「少し疲れが溜まってきているので、来週は調整させてください」といった形で、率直に状況を伝えることをおすすめします。こうした報告により、上司も適切に業務配分を調整しやすくなり、無理のない復職を進めることができます。
一方、同僚に対しては、あまり詳しく説明する必要はありませんが、「ご迷惑をおかけしました」という一言と、「少しずつペースを取り戻していきます」という前向きなメッセージを伝えると良いでしょう。また、体調が優れないときは無理をせず、「今日は少し早めに帰らせてもらいます」と遠慮なく伝えることも大切です。適度な距離感を保ちながら、必要なコミュニケーションは確実に行うというバランスを意識してみてください。
再発防止のために職場環境の調整を相談する
復職後の再休職を防ぐためには、職場環境の調整が重要なポイントとなります。なぜなら、休職の原因が職場のストレスや業務負荷にあった場合、同じ環境に戻ると再び体調を崩すリスクが高いからです。そのため、復職前や復職直後に、産業医や人事部門を通じて環境調整を相談することをおすすめします。
具体的な調整内容としては、まず業務量の見直しが挙げられます。以前と同じ量の仕事を任されるのではなく、段階的に増やしていくよう依頼することができます。また、残業の免除や、定時退社を優先してもらうといった配慮も検討してもらえる可能性があります。
さらに、休職の原因が特定の業務や人間関係にあった場合は、部署異動や担当業務の変更も選択肢の一つです。「同じ環境では再発が心配」という不安があれば、遠慮せずに産業医や人事部門に相談してみてください。企業には安全配慮義務があり、労働者の健康を守る責任がありますので、合理的な範囲での環境調整は認められるケースが多いです。自分の健康を守るために、必要な調整は積極的に求めていく姿勢が大切です。
休職するなら退職しろと言われた時の対処法
休職を申し出た際に、上司や会社から「休職するなら退職しろ」と言われるケースがあります。
このような発言に直面すると、不安や恐怖を感じるのは当然です。しかし、こうした発言には法的な問題がある可能性があり、適切な対処法を知っておくことが大切です。
パワハラに該当する可能性がある発言への対応
「休職するなら退職しろ」という発言は、状況によってはパワーハラスメント(パワハラ)に該当する可能性があります。なぜなら、労働者が正当な権利として休職制度を利用しようとしているにもかかわらず、それを妨害し、退職を強要するような言動は、精神的な攻撃や不当な要求に当たる可能性があるからです。
厚生労働省が示すパワハラの定義には、「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、労働者の就業環境が害されるもの」とあります。休職の権利を持つ労働者に対して、退職を迫る発言は、この定義に該当する可能性が高いと考えられます。また、体調不良で休養が必要な状態にある労働者に対して、さらにプレッシャーをかける行為は、安全配慮義務の観点からも問題があります。
このような発言を受けた場合は、まず冷静になることが大切です。その場で感情的に反応するのではなく、「検討させてください」と一旦保留にし、証拠を残すためにメールや録音で記録を取っておくことをおすすめします。そして、産業医、人事部門、労働組合、または外部の労働相談窓口に速やかに相談することが重要です。
業務上の原因による休職は法律で保護されている
休職の原因が業務に起因する場合、労働者は法律によって特別に保護されています。労働基準法第19条では、「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない」と定められています。つまり、業務が原因で病気やケガをした場合、その療養期間中および療養後30日間は、会社は労働者を解雇できないのです。
例えば、長時間労働やパワハラが原因でうつ病を発症した場合、これは「業務上の疾病」に該当する可能性があります。この場合、会社は休職期間中に労働者を解雇することはできませんし、「退職しろ」という圧力をかけることも不当な行為となります。また、労働契約法第16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定されています。
もし業務が原因で休職する場合は、その経緯を記録し、医師の診断書にも業務との関連性を記載してもらうことが重要です。さらに、労働基準監督署に労災申請を行うことも検討してください。業務上の疾病として認定されれば、より強い法的保護を受けることができます。
産業医・人事部門・労働基準監督署への相談窓口
不当な退職勧奨やパワハラを受けた場合、一人で抱え込まずに適切な相談窓口を活用することが大切です。まず社内の窓口としては、産業医に相談する方法があります。産業医は労働者の健康管理を担当する立場にあり、不当な扱いがあれば会社に対して意見を述べることができます。産業医面談の中で、「休職を申し出たところ退職を迫られた」という事実を伝え、適切な対応を求めることができます。
次に、人事部門や社内のコンプライアンス窓口、ハラスメント相談窓口に相談する方法もあります。上司の発言が不適切であることを報告することで、会社として調査や是正措置が取られる可能性があります。労働組合がある場合は、組合にも相談してみてください。組合は労働者の権利を守るために交渉や支援を行ってくれます。
社内での解決が難しい場合は、外部の相談窓口を利用しましょう。労働基準監督署には総合労働相談コーナーがあり、無料で相談できます。また、都道府県労働局の「個別労働紛争解決制度」を利用すれば、あっせんや調停を申し込むことも可能です。さらに、弁護士に相談して法的措置を検討することも選択肢の一つです。自分の権利を守るために、遠慮せずにこれらの窓口を活用してください。
休職か退職か迷っている方へ│判断基準と考え方
休職と退職、どちらを選ぶべきか悩んでいる方も多いでしょう。どちらの選択にもメリットとデメリットがあり、正解は一つではありません。
ここでは、それぞれを選ぶべきケースや判断基準について、具体的にお伝えします。
休職を選ぶメリットがあるケース
休職を選ぶことが適している場合として、まず職場環境が改善可能であり、復職後も働き続けられる見込みがある場合が挙げられます。例えば、特定の部署での業務負荷が原因であれば、部署異動や業務調整により環境が改善される可能性があります。また、会社の休職制度や復職支援が充実している場合も、休職を選ぶメリットがあります。
次に、現在の会社に対して愛着があり、復職への意欲がある場合も休職が適しています。長年勤めてきた職場であれば、人間関係が築けていたり、業務内容に習熟していたりするため、環境に慣れている分、復職後の負担が少ない可能性があります。さらに、経済的な安定性を重視する場合も休職が有利です。休職であれば雇用関係が継続し、傷病手当金を受給しながら回復に専念できます。
また、転職市場での年齢や条件が不利になる可能性がある場合も、休職を選ぶ理由になります。40代以降や専門性の高い職種の場合、転職が難しいケースもあるため、まずは休職して復職を目指すという選択肢も現実的です。休職期間中に冷静に状況を見極め、それでも退職が必要だと判断した場合に転職を考えるという段階的なアプローチも有効です。
退職を検討した方が良いケース
一方、退職を検討した方が良いケースもあります。まず、職場環境そのものが改善不可能であり、復職しても同じ問題が繰り返される可能性が高い場合です。例えば、経営層や上司のマネジメントに根本的な問題があり、パワハラや長時間労働が常態化している場合、環境調整だけでは解決が難しいでしょう。
次に、会社にいること自体が大きなストレスになっており、回復の妨げになっている場合も退職を検討すべきです。会社のことを考えるだけで動悸がしたり、不安が強くなったりする状態では、休職期間中も十分に回復できない可能性があります。このような場合は、思い切って環境を変えることが、根本的な回復につながることもあります。
また、新しい環境で再スタートしたいという強い意志がある場合も、退職という選択肢は前向きなものとなります。休職をきっかけに自分のキャリアや働き方を見つめ直し、「これまでとは違う仕事をしたい」「もっと自分に合った職場で働きたい」と感じるのであれば、退職して転職活動を行うことも有意義な選択です。ただし、退職は慎重に検討すべき決断ですので、信頼できる人や専門家に相談しながら判断することをおすすめします。
復職後に転職を考える場合の準備期間の目安
休職後にすぐ転職するのではなく、一度復職してから転職を考えるという選択肢もあります。この方法のメリットは、「休職期間中に退職した」という履歴を避けられることと、復職して実績を積むことで転職時の評価が高まる可能性があることです。
復職後に転職を考える場合、一般的には最低でも半年から1年程度は現職で働き、安定した勤務実績を作ることが望ましいとされています。なぜなら、復職直後に転職活動を始めると、面接で「すぐに辞めるのではないか」という懸念を持たれる可能性があるからです。一定期間働いてから転職することで、「休職から回復し、問題なく働けるようになった」という証明にもなります。
また、復職後の期間は、転職の準備に充てることもできます。例えば、資格取得やスキルアップの勉強をしたり、転職市場の動向を調べたり、自己分析を深めたりする時間として活用できます。焦らずじっくりと準備を整えることで、より良い条件での転職が実現しやすくなるでしょう。ただし、復職後も同じ問題が続き、再び体調を崩しそうな場合は、無理をせず早めに転職を決断することも必要です。自分の健康を第一に考えながら、柔軟に判断していくことが大切です。
休職後の転職活動で不利にならないための方法
休職後に転職を考える場合、「休職歴は不利になるのではないか」と不安に感じる方も多いでしょう。確かに、休職について適切に説明できないと、採用担当者に懸念を持たれる可能性があります。
しかし、正しい伝え方と準備をすれば、不利になることを最小限に抑えることができます。
休職を履歴書に書く必要性と書き方のポイント
休職について履歴書に書くべきかどうかは、多くの方が悩むポイントです。結論としては、休職期間が数ヶ月以上の長期にわたる場合や、職歴の空白期間として目立つ場合は、記載することが望ましいと言えます。なぜなら、記載せずに面接で質問された際に説明が困難になったり、入社後に発覚して信頼を損なったりするリスクがあるからです。
履歴書への記載方法としては、職歴欄に「○年○月~○年○月 休職(療養のため)」と簡潔に記載するのが一般的です。詳しい病名や休職理由を履歴書に書く必要はありません。また、職務経歴書には、休職前の業務実績や復職後の成果を具体的に記載し、「現在は完全に回復し、通常通り業務を遂行できる状態」であることを示すことが重要です。
休職期間中にスキルアップや資格取得などの前向きな活動をしていた場合は、それも記載すると良い印象を与えられます。例えば、「休職期間中にオンライン講座で○○を学習」「資格○○を取得」といった記載があれば、自己研鑽に励んでいたことが伝わります。休職を隠すのではなく、適切に開示しながら、現在は問題なく働ける状態であることを示す書き方を心がけてください。
面接で休職理由を聞かれた時の答え方
面接で休職について質問された場合、正直かつ前向きに答えることが重要です。まず、休職の事実を認めた上で、簡潔に理由を説明します。その際、具体的な病名を詳しく話す必要はありませんが、「業務過多による体調不良」「心身の不調」といった抽象的な表現で伝えることができます。
次に、休職中にどのように過ごし、どう回復したかを説明することが大切です。例えば、「医師の指導のもと治療に専念し、現在は完全に回復しました」「生活リズムを整え、リワークプログラムにも参加して復職準備を行いました」といった説明により、真摯に向き合ったことが伝わります。
さらに、再発防止のために何を学んだかを伝えることも効果的です。「ストレス管理の方法を学びました」「自分の限界を認識し、適切に助けを求めることの大切さを理解しました」といった前向きなメッセージは、採用担当者に好印象を与えます。最も重要なのは、「現在は健康で、業務に支障はない」ということを自信を持って伝えることです。不安そうな態度ではなく、落ち着いて説明することで、信頼性が増します。
復職後に実績を積んでから転職する選択肢
休職後すぐに転職するのではなく、一度復職して実績を積んでから転職活動を始めるという方法も有効です。なぜなら、復職後に一定期間働いた実績があれば、「休職から回復し、問題なく業務を遂行できる」という証明になるからです。面接でも、「復職後○ヶ月間、通常勤務を継続しています」と説明できれば、採用担当者の不安を軽減できます。
具体的には、復職後6ヶ月から1年程度は現職で働き、その間に成果を上げることを目指します。例えば、担当プロジェクトを成功させたり、新しいスキルを身につけたり、業務改善の提案をしたりするなど、具体的な実績を作ることで、転職時のアピールポイントになります。また、復職後の勤務を通じて、「自分はもう働ける」という自信を取り戻すこともできます。
ただし、復職後も職場環境が改善されず、再び体調を崩しそうな兆候がある場合は、無理に長く続ける必要はありません。健康を最優先に考え、状況に応じて柔軟に判断することが大切です。復職後の実績作りは、転職を有利に進めるための一つの戦略であり、必ずしもすべての人に当てはまるわけではありません。自分の状況や希望に合わせて、最適なタイミングを見極めてください。
休職期間満了後はどうなる?退職・解雇の法的な扱い
休職期間には上限があり、その期間が満了した場合にどうなるのか不安に感じる方も多いでしょう。
ここでは、休職期間満了時の法的な扱いや、退職・解雇に関する規定について詳しく解説します。
休職期間満了時の退職または解雇の規定を確認する
休職期間の上限は、会社の就業規則によって定められています。一般的には、3ヶ月から2年程度の範囲で設定されていることが多く、企業規模が大きいほど休職期間も長い傾向にあります。労働政策研究・研修機構の調査によると、病気休職制度の休職期間の上限は「6か月超から1年未満まで」が22.3%と最も多く、次いで「1年超から1年6ヶ月まで」が17.2%、「1年6ヶ月以上」の期間を設定している企業が26.1%となっています。企業規模が大きいほど休職期間も長い傾向にあります。
休職期間が満了した場合、就業規則の規定に基づいて、「自動退職」または「解雇」となるのが一般的です。自動退職とは、休職期間満了をもって労働契約が終了するという取り決めで、解雇とは会社が一方的に労働契約を終了させる行為です。どちらが適用されるかは、就業規則の記載内容によります。まずは自社の就業規則を確認し、休職制度の詳細を把握しておくことが重要です。
また、復職の可否を判断する際には、産業医の意見や主治医の診断書が重視されます。休職期間満了が近づいてきたら、主治医に「復職可能」の診断書を発行してもらい、産業医面談を受けて復職の許可を得る必要があります。復職が認められない場合でも、会社と交渉して休職期間の延長を認めてもらえる可能性もあるため、早めに相談することをおすすめします。
業務上の病気やケガの場合は解雇制限がある
休職の原因が業務に起因する病気やケガである場合、労働者は法律によって特別に保護されます。労働基準法第19条では、「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない」と定められています。つまり、業務災害による休職の場合、その療養期間中および療養後30日間は、会社は労働者を解雇できないのです。
この規定は、休職期間が満了した場合でも適用されます。例えば、長時間労働が原因でうつ病を発症し、労災認定を受けている場合、会社は休職期間満了を理由に解雇することができません。ただし、業務上の疾病であることを証明するためには、労働基準監督署に労災申請を行い、認定を受ける必要があります。
労災認定を受けるためには、業務と疾病の因果関係を示す証拠が必要です。例えば、長時間労働の記録、パワハラの証拠、業務内容の詳細などを準備し、労働基準監督署に申請します。認定されれば、療養費の全額補償や休業補償給付を受けられるほか、解雇制限により雇用も保護されます。業務が原因で休職した可能性がある場合は、早めに労働基準監督署や社会保険労務士に相談してみてください。
解雇予告や解雇予告手当の法的な要件
休職期間満了により解雇となる場合、会社は労働基準法に基づいた適正な手続きを行う必要があります。労働基準法第20条では、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と定められています。
つまり、解雇する場合は、少なくとも30日前に予告するか、または30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があるということです。ただし、休職期間満了による「自動退職」の場合は、この解雇予告の規定は適用されないのが一般的です。なぜなら、自動退職は就業規則に基づいて労働契約が自動的に終了する仕組みであり、会社が一方的に解雇するわけではないからです。
しかし、解雇予告が不要な場合でも、会社には誠実な対応が求められます。休職期間満了が近づいた時点で、復職の可否について労働者と十分に話し合い、復職が難しい場合は退職の手続きや失業保険の申請方法などについて丁寧に説明する義務があります。もし不当な扱いを受けたと感じた場合は、労働基準監督署や弁護士に相談することを検討してください。適正な手続きが取られていない場合は、解雇が無効となる可能性もあります。
よくある質問│休職に関する不安や疑問にお答えします

休職について多くの方が抱く疑問や不安について、よくある質問形式でお答えします。
具体的な数字や制度の詳細を知ることで、より適切な判断ができるようになるでしょう。
うつ病で休職した場合の復帰率はどのくらいですか?
うつ病など精神疾患で休職した場合の復職率については、いくつかの調査データがあります。労働政策研究・研修機構の調査によると、メンタルヘルス不調による休職者の復職率は約5割程度とされています。ただし、これは全体の平均値であり、個人の状況や職場環境、受けられるサポートによって大きく異なります。
また、復職できた方の中でも、再休職については注意が必要です。厚生労働省研究班の2017年調査によると、復職後1年以内に約3割(28.3%)の方が再休職しているというデータがあります。これは決して低い数字ではなく、復職後のケアや環境調整、無理のない復帰計画が極めて重要であることを示しています。一方で、リワークプログラムなど専門的な復職支援を受けた場合、復職率や定着率が改善される傾向も報告されています。
株式会社Rodinaが2025年6月に実施した調査では、メンタルヘルス不調から復職した方の58.3%が「ポジティブな変化があった」と回答しています。ただし、個人差が大きく、全ての方に当てはまるわけではありません。復職には適切なサポートと十分な準備期間、そしてご本人の回復状況に応じた慎重な判断が必要です。
休職期間が終了したらどうなりますか?
休職期間が終了した場合、主に3つの選択肢があります。第一に、体調が回復し復職可能と判断されれば、職場に復帰することになります。この場合、産業医や主治医の許可を得て、段階的に勤務を再開することが一般的です。時短勤務から始めて徐々にフルタイムに移行するなど、無理のない復帰プランが組まれることが多いでしょう。
第二に、休職期間内に回復が十分でなく、復職が難しいと判断された場合は、休職期間の延長を会社に申し出ることができます。ただし、延長が認められるかどうかは、会社の就業規則や個別の状況によります。延長が認められない場合は、次の選択肢に進むことになります。
第三に、休職期間満了時点で復職できない場合、就業規則に基づいて退職または解雇となります。多くの企業では「休職期間満了により自然退職」という規定があり、労働契約が終了します。この場合、失業保険の受給資格を得られる可能性がありますので、ハローワークで手続きを行ってください。休職期間満了が近づいてきたら、早めに会社や産業医と相談し、自分にとって最適な選択を検討することが大切です。
うつ病での休職期間はどのくらい必要ですか?
うつ病での休職期間は、症状の重さや個人の回復ペースによって大きく異なるため、一概には言えません。一般的な目安としては、軽度のうつ病であれば1~3ヶ月程度、中等度であれば3~6ヶ月程度、重度の場合は6ヶ月から1年以上の休職が必要になることもあります。ただし、これはあくまで目安であり、必ず主治医の判断に従うことが重要です。
休職期間中は、焦らずしっかりと治療に専念することが大切です。症状が少し改善したからといって早期に復職すると、再発のリスクが高まります。厚生労働省の研究班の調査(2017年)によれば、うつ病で休職した社員のうち、5年以内に再発して再休職した人は47.1%に達するというデータがあります。さらに、復職後1年以内では28.3%、2年以内では37.7%が再休職しているという結果も報告されています。そのため、十分に回復するまで休職期間を確保することが、長期的には再発を防ぐことにつながります。
また、復職のタイミングは医師が判断しますが、本人が「仕事への意欲が戻ってきた」「生活リズムが安定している」「集中力が回復した」と感じることも重要な指標です。主治医との定期的な診察の中で、率直に状態を伝え、復職時期について相談しながら決めていくことが大切です。焦らず、自分のペースで回復を優先することが、結果的には早い社会復帰につながります。
診断書で休職したその後の流れを教えてください
診断書で休職した後の流れは、おおむね次のようになります。まず、医療機関で診察を受け、医師から「休養が必要」という内容の診断書を発行してもらいます。この診断書には、病名、休養が必要な期間、就労の可否などが記載されます。診断書を会社の人事部門や上司に提出することで、正式に休職の手続きが開始されます。
休職が承認されると、会社から休職期間や休職中の連絡方法、復職の条件などについて説明があります。この時点で、傷病手当金の申請についても案内されることが多いため、健康保険組合または協会けんぽに申請書を提出する準備を始めましょう。傷病手当金は、連続して3日以上休んだ後、4日目から支給対象となり、申請が承認されれば給与の約3分の2が最長1年6ヶ月にわたって支給されます。
休職中は、医師の指示に従って治療に専念し、定期的に診察を受けます。会社との連絡は最小限にとどめ、心身の回復に集中することが大切です。症状が改善してきたら、リワークプログラムに参加するなど、段階的に復職の準備を始めます。復職の目処が立ったら、主治医から「復職可能」という診断書を発行してもらい、産業医面談を受けて復職の許可を得ます。その後、会社と相談しながら復職日や勤務条件を決定し、段階的に職場復帰を果たすという流れになります。
休職中に副業はできますか?
休職中の副業については、慎重な判断が必要です。休職中の副業は、傷病手当金の受給要件や会社の就業規則により判断が異なるため、必ず事前に主治医・会社・健康保険組合に確認する必要があります。一般的には、療養目的の休職と副業は両立しないと判断されるケースが多いとされています。なぜなら、休職は「療養のために労務に服することができない」状態が前提であり、副業ができる状態であれば、療養が必要な状態とは言えないと判断される可能性があるからです。
特に、傷病手当金を受給している場合は注意が必要です。傷病手当金は「労務不能」であることが支給条件の一つであり、副業をして収入を得ている場合、労務能力があると判断され、支給が停止される可能性があります。また、会社の就業規則で副業が禁止されている場合、休職中に副業をしたことが発覚すると、懲戒処分の対象となるリスクもあります。
ただし、休職の原因や副業の内容によっては例外的に認められる場合もあります。例えば、身体的な怪我で特定の作業ができないがデスクワークは可能な場合や、趣味の延長のような軽い活動で少額の収入を得る場合などは、主治医や会社に相談した上で認められることもあります。いずれにしても、休職中に副業を考える場合は、必ず主治医、会社、健康保険組合に事前相談し、許可を得ることが重要です。自己判断での副業開始は避けてください。
休職や退職の相談なら退職リトリートへ

傷病手当金の申請には、本人・医師・事業主それぞれが記入する申請書のほか、状況に応じて複数の書類準備が必要となる場合があります。退職リトリートでは、社会保険労務士監修の制度説明資料に基づき、傷病手当金制度の一般的な仕組みや手続きの流れについて情報提供を行っています。
まず公式LINEより面談を予約し、オンライン面談で制度の仕組みや進め方をご説明します。その後、傷病手当金制度の一般的な仕組みや、公的機関が公開している申請手続きの流れについて情報提供を行います。実際の申請書類作成・提出はご本人様が行い、審査により受給が確定した場合、制度に基づいて給付金が振り込まれます。公式LINEではいつでも相談可能です。
傷病手当金の受給要件を事前に理解するため、退職を検討される際には早めの情報収集をおすすめします。なお、サービス利用は有料です。1年間の情報提供期間を通じて、公的制度に関する情報をお届けします。
※実際の手続きはご本人様がハローワークで行っていただく必要があります。受給の可否及び金額は、ハローワークでの審査により決定されます。




