退職を決意したものの、上司に本当の理由を伝えづらいと感じていませんか。実は、退職時に本当の理由を伝えない方は決して少なくありません。エン・ジャパン「退職理由のホンネとタテマエに関する調査」(2024年12月実施、回答者3,700名)によると、退職報告時に本当の理由を「伝えなかった」と回答した方は約半数に上ることがわかっています。
さらに、退職理由の建前として「家庭の事情」を選ぶ方も多く見られます。しかし、嘘の退職理由を伝えることにはメリットだけでなくリスクも存在します。
この記事では、退職理由で「家庭の事情」と伝えることの法的な問題の有無、実際にバレた事例、そして円満退職を実現するための具体的な伝え方について、調査データと実例をもとに詳しく解説します。
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。
- 退職理由で「家庭の事情」と嘘をつくことの法的問題の有無とバレるリスク
- 親の介護・配偶者の転勤・子どもの教育など状況別の具体的な伝え方と例文
- しつこく退職理由を聞かれたときの上手なかわし方と対処法
- 離職票との整合性や転職面接で一貫性を保つための注意点
- 実際に嘘がバレた事例と不利益を避けるための円満退職の方法

退職理由で「家庭の事情」と嘘をつくのは法的に問題ない?

嘘の退職理由を伝えても違法にはならない理由
退職理由について嘘をつくことは、結論から言えば法律上の罰則はありません。なぜなら、日本の民法第627条では「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」と定められており、退職の自由が保障されているからです。つまり、退職理由の内容によって退職の権利が制限されることはなく、会社側も退職を拒否する権利は原則としてありません。
ただし、法的に問題がないからといって、嘘の退職理由がリスクフリーというわけではないことを理解しておく必要があります。転職Hacksが実施した1,162名への調査では、約5人に2人(41.74%)が嘘の退職理由を伝えた経験があると回答しており、多くの方が何らかの建前を使って退職していることがわかります。
ただし離職票との整合性には注意が必要
退職理由で嘘をつく際に特に注意が必要なのが、離職票との整合性です。なぜなら、離職票には会社がハローワークに申告した退職理由が記載されるため、口頭で伝えた内容と矛盾が生じる可能性があるからです。
具体的には、「転職先が決まっている」と伝えたにもかかわらず離職票の発行を依頼した場合、会社から不審に思われる可能性があります。また、ハローワークで失業給付の手続きを行う際に窓口で本当の理由を伝えてしまうと、会社が申告した理由との相違が明らかになり、後から嘘がバレるケースもあります。このように、離職票に関する手続きは慎重に進める必要があります。
本音と建前の退職理由|調査データが示す実態
エン・ジャパンが5,168名を対象に実施した調査(2024年)によると、会社に伝えた退職理由の第1位は「別の職種にチャレンジしたい」(22%)、第2位は「家庭の事情」(21%)でしたが、本当の退職理由の第1位は「人間関係が悪い」(46%)でした。
さらに転職Hacksの調査では、嘘の退職理由として最も多く使われたのが「家族の病気や介護」という結果が出ています。なぜ「家庭の事情」が建前として選ばれるのかというと、本人ではどうしようもない理由であるため、会社側も引き止めづらく、また深く追及されにくいという特徴があるからです。
つまり、多くの方が円満退職を目指して、ネガティブな本音をポジティブまたは中立的な建前に置き換えている実態があります。

「家庭の事情」を退職理由にするメリットとは?
上司が深く追及しにくいプライベートな理由
「家庭の事情」を退職理由として伝える最大のメリットは、上司が詳細を聞きにくいという点にあります。なぜなら、家庭に関する事情は極めてプライベートな領域であり、会社側が過度に踏み込むことは適切ではないとされているからです。
親の介護、配偶者の転勤、子どもの教育環境といった家庭の事情は、いずれも個人や家族のプライバシーに深く関わる内容です。そのため、上司としても「具体的にどのような状況なのか」と根掘り葉掘り聞くことは憚られる雰囲気があります。
この結果、退職理由について長時間の説明や説得を求められるリスクが低くなり、比較的スムーズに退職の話を進められる可能性が高まります。
引き止められにくく円満退職につながりやすい
家庭の事情を理由にすることで、会社からの引き止めを受けにくくなる傾向があります。なぜなら、家庭の問題は本人の意思だけでは解決できない外的要因であるため、会社側も「給与を上げる」「部署を変える」といった条件交渉で対応することが難しいからです。
エン・ジャパンの2024年12月調査(3,700人)では、本当の理由を伝えなかった理由として「円満退社したかったから」が最多となっています。実際、職場の人間関係や待遇への不満を正直に伝えた場合、退職までの期間に気まずい雰囲気が生まれたり、場合によっては引き継ぎに支障が出たりする可能性があります。
一方、家庭の事情であれば「それなら仕方ない」と会社側も納得しやすく、最後まで良好な関係を保ちながら退職できる可能性が高まります。
転職面接でもネガティブな印象を与えにくい
転職活動における面接でも、「家庭の事情」は比較的受け入れられやすい退職理由の一つです。なぜなら、前職への不満や人間関係のトラブルを退職理由として伝えた場合、面接官から「また同じ理由で辞めるのではないか」と懸念される可能性があるからです。
一方、親の介護や配偶者の転勤といった家庭の事情は、本人のスキルや性格とは無関係な客観的な理由として受け止められやすい特徴があります。ただし、転職面接では前職に伝えた退職理由との一貫性を保つことが重要です。
家庭の事情を伝えた上で、「状況が落ち着いたため、改めてキャリアを築きたい」といった前向きな補足説明を加えることで、より説得力のある回答になります。

退職理由に矛盾が生じる可能性がある5つのケース

離職票の記載内容との矛盾で発覚するパターン
退職理由の嘘がバレる最も一般的なケースの一つが、離職票の記載内容との矛盾です。転職Hacksの調査では、「転職先が決まっていると伝えたのに、離職票の発行を依頼した」ことで嘘がバレたという事例が報告されています。
離職票は、次の就職先が決まっていない場合に失業給付を受けるために必要な書類です。そのため、退職時に「すでに転職先が決まっている」と伝えていたにもかかわらず離職票の発行を依頼すると、会社側から「話が違うのではないか」と疑われる可能性があります。
また、離職票には会社が申告した退職理由が記載されるため、ハローワークで本当の理由を伝えてしまった場合に矛盾が生じることもあります。
SNSの投稿や日常生活の様子から疑われる
近年増えているのが、SNSの投稿から嘘がバレるケースです。なぜなら、「親の介護のため地元に帰る」と伝えたにもかかわらず、退職後も同じ地域で遊んでいる様子や旅行を楽しんでいる写真をSNSに投稿してしまうと、前職の同僚や上司の目に留まる可能性があるからです。
転職Hacksの調査でも、「険悪なムードになったので見透かされた気がする」「『家族の介護=嘘』だと思われていると思う」といった回答がありました。特に介護を理由にした場合、実際には親が元気であることを知っている同僚がいたり、退職後の生活が明らかに自由である様子がSNSから伝わったりすると、嘘だったと推測されるリスクが高まります。
同じ地域や業界での転職でバレるリスク
同じ地域や同じ業界内で転職した場合、退職理由の嘘がバレる可能性は格段に高まります。なぜなら、業界内では意外なつながりがあることが多く、前職と転職先の間で情報が共有される機会があるからです。
転職Hacksの調査では、「転職先で前職の同僚に偶然鉢合わせしてしまった」「前の勤め先から転職先に電話がかかってきた」「転職先の同僚が前の勤め先に転職した」といった事例が報告されています。
特に「実家に戻る」「配偶者の転勤で引っ越す」と伝えたにもかかわらず、実際には同じ地域内で働いていることがわかった場合、前職の関係者と街中で偶然会ってしまうリスクもあります。
前職の同僚や取引先との偶然の接触
日常生活の中で前職の同僚や取引先と偶然接触する可能性も、嘘がバレる要因の一つです。転職Hacksの調査でも、「本音を話した会社の同僚から伝わってしまった」という回答がありました。
退職時に「この人になら本音を話しても大丈夫だろう」と信頼していた同僚に本当の理由を打ち明けたところ、その情報が意図せず他の社員や上司に伝わってしまうケースがあります。また、取引先との会食や業界のイベントなどで前職の関係者と顔を合わせた際に、近況を聞かれて嘘がバレることもあります。
このように、人づてに情報が広がるリスクは想像以上に高いことを認識しておく必要があります。
転職先での在籍確認や雇用保険の手続き時
転職先での手続きの過程で、前職での退職理由が明らかになることもあります。転職Hacksの調査では、「転職先が前の勤め先に在籍確認した」「前の勤め先から転職先に電話がかかってきた」といった事例が報告されています。
特に同じ業界内での転職の場合、転職先が前職に在籍確認や業務上の問い合わせを行う可能性があります。また、雇用保険の手続きの際に前職の離職票を提出する必要があるため、そこに記載された退職理由が転職先の人事担当者の目に触れることもあります。
こうした手続き上の接点から、口頭で伝えた退職理由と実際の理由に食い違いがあることが明らかになるケースもあるため、注意が必要です。

嘘の退職理由がバレたときに起こりうるトラブル

前職との信頼関係が崩壊し業界内での評判に影響
退職理由の嘘がバレた場合、前職との信頼関係が大きく損なわれる可能性があります。転職Hacksの調査によると、嘘がバレて不利益を被った人のうち、「退職日までにいじめを受けたり、居心地が悪かった」と回答した方がいることがわかっています。
嘘が発覚すると、それまで良好だった関係が一変し、退職までの期間が非常に気まずいものになる可能性があります。特に業界内でのつながりが強い職種の場合、「あの人は嘘をついて辞めた」という評判が広まり、将来的なキャリアに悪影響を及ぼすリスクもあります。
業界内での信用は一度失うと取り戻すことが難しいため、嘘をつく際はこうした長期的なリスクも考慮する必要があります。
転職先で発覚した場合の採用取り消しや信用低下
転職先で前職の退職理由の嘘が明らかになった場合、さらに深刻なトラブルに発展する可能性があります。転職Hacksの調査では、「転職先に嘘をついたことをバラされた」という不利益を被った方がいることが報告されています。
転職先で嘘が発覚した場合、入社時の経歴申告に虚偽があったとみなされる可能性があり、最悪の場合は採用取り消しや懲戒処分の対象となることも考えられます。また、採用取り消しにまで至らなくても、入社早々に「嘘をつく人」というレッテルを貼られてしまい、上司や同僚からの信用を失ってしまうリスクがあります。
新しい職場でのスタートを良好なものにするためにも、前職での退職理由との整合性には十分な注意が必要です。
実際にバレて後悔した事例から学ぶ教訓
転職Hacksの調査では、約7人に1人(15.38%)が嘘の退職理由がバレたと回答しており、その中にはさまざまな不利益を被った事例が報告されています。
- 退職日を早められた(16票)
- 退職まで給与やボーナスを減給された
- 地元に帰ると言って同じ地域で転職してバレた
- 介護を理由にしたが実際は元気でバレた
これらの事例から学べる教訓は、完全な嘘よりも「半分本当」の理由を選ぶことの重要性です。たとえば、本当は人間関係が理由でも、「キャリアアップを考える中で、家庭環境も変化したため」といった形で、複数の要素を組み合わせた説明にすることで、後から矛盾が生じるリスクを減らすことができます。

退職理由で「家庭の事情」と伝える際の具体的な例文
親の介護を理由にする場合の伝え方
親の介護を退職理由として伝える場合、プライバシーに配慮しながらも説得力のある説明を心がける必要があります。以下のような伝え方が考えられます。
「この度、家庭の事情により退職させていただきたくご相談に参りました。実は親の体調が思わしくなく、今後サポートが必要な状況になってまいりました。
仕事と両立できる方法も検討したのですが、現在の勤務体制では難しいと判断いたしました。これまで大変お世話になり、このような形でのご報告となり申し訳ございませんが、○月末での退職をお願いできればと考えております」
この例文では、具体的な病名や詳細な状況には触れずに、プライベートな事情であることを暗に示しています。また、「両立できる方法も検討した」という表現を加えることで、安易な決断ではないことを伝えられます。
配偶者の転勤や引っ越しを理由にする例
配偶者の転勤や引っ越しは、本人の意思だけでは変更できない外的要因として、会社側も理解しやすい退職理由の一つです。以下のような伝え方が効果的です。
「突然のご報告となり申し訳ございません。実は配偶者の転勤が決まり、家族で○○県に引っ越すことになりました。当初はこちらに残って働くことも検討したのですが、家庭の状況を考慮し、一緒に移ることを決断いたしました。
転勤の時期が○月となりますので、引き継ぎ期間を考慮し、○月末での退職をお願いしたいと考えております」
この例文では、「突然のご報告」という前置きで不可抗力であることを示しつつ、引き継ぎへの配慮も示すことで誠実な印象を与えることができます。ただし、実際には引っ越さない場合、前職の同僚と街中で偶然会うリスクがあることを認識しておく必要があります。
子どもの教育環境を考慮した退職理由
子どもの教育を理由にする場合、親としての責任を果たすための決断であることを伝えることがポイントです。以下のような例文が考えられます。
「今回、家庭の事情でご相談させていただきたいことがございます。子どもの教育環境について家族で話し合った結果、現在の居住地では希望する教育を受けさせることが難しいという結論に至りました。
そのため、○○地域への転居を決断し、それに伴い現在の通勤が困難になることから、退職させていただきたいと考えております」
この伝え方では、「家族で話し合った結果」という表現により、慎重に検討した上での決断であることを示しています。子どもの年齢や具体的な学校名などは、聞かれない限り詳しく説明する必要はありません。
健康上の理由を組み合わせた伝え方
家庭の事情に健康上の理由を組み合わせることで、より説得力のある退職理由になる場合があります。以下のような伝え方が効果的です。
「この度、個人的な事情でご相談させていただきたく参りました。実は最近、家庭の事情と自身の健康面について考える機会があり、現在の働き方を見直す必要があると感じております。
具体的には申し上げにくいのですが、家族のサポートが必要な状況と、自身の体調管理を両立させるため、○月末での退職をお願いできればと考えております」
この例文では、「具体的には申し上げにくい」という表現で、深く追及されにくい雰囲気を作っています。ただし、健康上の理由を伝えた場合、転職面接で「現在は問題ないのか」と確認される可能性があるため、面接での説明方法も事前に考えておく必要があります。

退職理由をしつこく聞かれたときの対処法
プライバシーに配慮しながら丁寧に断る方法
退職理由について詳しく聞かれた場合、プライバシーを守りながらも失礼にならない対応が求められます。なぜなら、詳細を話したくない場合でも、上司の立場を考慮した丁寧な対応が円満退職につながるからです。
以下のような対応が効果的です。「ご心配いただきありがとうございます。ただ、家庭内の個人的な事情ですので、詳しくお話しすることは控えさせていただければと思います。ただ、この決断については家族でよく話し合った結果ですので、退職の意思は固まっております」
この対応では、上司の関心に感謝を示しつつも、プライバシーの範囲であることを丁寧に伝えています。また、「家族で話し合った結果」という表現により、個人の独断ではなく家族全体の決定であることを示すことで、説得力を持たせることができます。
退職の意思が固いことを明確に伝える言葉選び
しつこく引き止められる場合、退職の意思が変わらないことをはっきりと伝える必要があります。エン・ジャパンの調査に寄せられたアドバイスでも、「『辞めたいです/退職を考えています』などの交渉の余地があるような伝え方ではなく、『いつ辞めます』のように決定事項として伝えることで、引き留めを受けにくくなる」という意見がありました。
具体的には、以下のような伝え方が効果的です。「お引き止めいただきありがとうございます。しかしながら、家庭の状況を考慮した結果、退職という決断に至りました。○月末での退職に向けて、しっかりと引き継ぎを行わせていただきたいと考えております」
この表現では、「決断に至りました」という過去形を使うことで、すでに決定済みであることを示しています。また、引き継ぎへの言及により、責任を持って対応する姿勢を示すことができます。
具体的に答えられない場合の上手なかわし方
退職理由について具体的に答えることが難しい場合、以下のような対応が考えられます。「申し訳ございませんが、現時点では詳しくお話しできる段階ではないのですが、家族の今後を考えた結果、このタイミングでの決断が最善だという結論に至りました。もう少し詳しい状況が固まりましたら、改めてご報告させていただければと思います」
この対応では、「詳しくお話しできる段階ではない」という表現により、将来的には説明できる可能性を示唆しつつ、現時点では詳細を伏せる理由を作っています。ただし、実際には後から詳細を説明する必要が生じる可能性もあるため、完全な嘘よりも、ある程度事実に基づいた理由を選ぶことが望ましいでしょう。

円満退職につながる退職理由の選び方

キャリアアップやスキルアップを前向きな理由として活用
円満退職を実現するためには、ネガティブな理由よりもポジティブな理由を前面に出すことが効果的です。エン・ジャパンの調査では、会社に伝えた退職理由の第1位が「新しい職種にチャレンジしたいため」(31%)、第2位が「別の業界にチャレンジしたいため」(19%)となっており、キャリアアップを理由にする方が多いことがわかります。
このようなポジティブな理由は、前職への批判を含まないため、上司や同僚との関係を良好に保ちやすい特徴があります。さらに、転職面接でも前向きな印象を与えやすく、「成長意欲がある人材」として評価される可能性が高まります。ただし、キャリアアップを理由にする場合、実際に転職先で新しいスキルを身につけられる環境かどうかを確認しておくことが重要です。
「一身上の都合」は書面で、口頭では補足説明を
退職願や退職届には「一身上の都合により」という定型文を使用するのが一般的ですが、口頭では補足説明が必要になります。なぜなら、書面上は「一身上の都合」で問題ありませんが、上司との面談では何らかの具体的な理由を求められることが多いからです。
効果的な対応としては、書面では定型文を使用しつつ、口頭では「キャリアアップを目指したい」「家庭環境の変化があった」など、簡潔で受け入れられやすい理由を伝える方法があります。この使い分けにより、公式な記録としては標準的な表現を残しつつ、上司との人間関係にも配慮した対応が可能になります。
会社への感謝を伝えながら退職意思を示す
円満退職を実現するためには、退職理由を伝える際に会社への感謝の気持ちも併せて表現することが重要です。エン・ジャパンの調査に寄せられたアドバイスでも、「お世話になった方々に感謝の気持ちを込めて挨拶することも大切」という意見がありました。
具体的には、以下のような伝え方が効果的です。「これまで○年間、多くのことを学ばせていただき、本当にありがとうございました。今回、家庭の事情により退職という決断をすることになりましたが、ここで得た経験は今後も大切にしていきたいと考えております」
この表現では、退職理由を伝えつつも、会社での経験に対する感謝を示すことで、前向きな印象を残すことができます。最後まで良好な関係を維持することは、将来的な人脈やキャリアにもプラスに働く可能性があります。

転職面接で退職理由を聞かれたときの答え方
前職に伝えた理由と一貫性を保つ重要性
転職面接では、前職での退職理由について必ずと言っていいほど質問されます。この際、前職に伝えた理由と転職面接での説明に一貫性を保つことが非常に重要です。なぜなら、説明に矛盾があると面接官から「嘘をついているのではないか」と疑われ、信用を失う可能性があるからです。
特に同じ業界内での転職の場合、面接官が前職の関係者と接点を持っている可能性もあります。そのため、前職に「家庭の事情」と伝えた場合は、転職面接でも基本的には同じ理由を説明した上で、「現在は状況が落ち着いた」「新しい環境で改めてキャリアを築きたい」といった前向きな補足を加えることが効果的です。
ネガティブな理由をポジティブに言い換える技術
前職での退職理由が人間関係や待遇への不満であった場合でも、転職面接ではポジティブな表現に言い換える技術が求められます。エン・ジャパンの調査に寄せられたアドバイスでも、「ネガティブなことを並べるのではなく、ポジティブな内容を報告することが円満退社の秘訣」という意見がありました。
- 「上司と合わなかった」→「より専門性を高められる環境を求めた」
- 「残業が多すぎた」→「ワークライフバランスを見直し、効率的に成果を出せる働き方を目指したい」
- 「給与が低かった」→「自分のスキルをより適切に評価していただける環境で挑戦したい」
重要なのは、前職の批判にならず、かつ自分の成長意欲や前向きな姿勢を示す表現を選ぶことです。
面接官が納得する具体的な回答例
転職面接で退職理由を聞かれた際の具体的な回答例を以下に示します。
「前職では○年間、△△の業務に携わり、貴重な経験を積ませていただきました。退職を決意した理由は、家庭環境の変化により勤務条件を見直す必要が生じたためです。
現在は状況が整い、改めて自分のキャリアを見つめ直す機会となりました。御社では、前職で培った□□のスキルを活かしながら、さらに××の分野でも挑戦していきたいと考えております」
この回答例では、家庭の事情という退職理由を簡潔に述べつつ、現在は問題が解決していることを示しています。また、前職での経験と応募先での貢献可能性を結びつけることで、前向きな印象を与えることができます。

本当に家庭の事情で退職する場合の伝え方
正直に伝えるべき範囲とプライバシーの守り方
実際に家庭の事情で退職する場合、どこまで詳しく伝えるべきかは状況によって判断が必要です。なぜなら、プライバシーを守る権利がある一方で、上司との信頼関係や引き継ぎの都合を考えると、ある程度の説明が求められる場合もあるからです。
基本的には、「親の介護が必要になった」「配偶者の転勤に伴う引っ越し」「子どもの教育環境の変化」といった大枠の理由を伝えれば十分です。具体的な病名、家族の個人情報、詳細な経済状況などまで説明する必要はありません。上司から詳しく聞かれた場合でも、「プライベートな内容ですので、詳細は控えさせていただきたい」と丁寧に断ることは問題ありません。
介護や育児など具体的な状況別の説明方法
家庭の事情として最も多いのが介護や育児に関する理由です。それぞれの状況に応じた説明方法を以下に示します。
「親の介護が必要な状況になり、現在の勤務時間では対応が難しいと判断いたしました。在宅での介護サービスなども検討しましたが、家族で話し合った結果、私が主にサポートすることになりました」
「子どもの成長に伴い、現在の勤務体制では十分なサポートができない状況になってまいりました。保育園の送迎時間や学校行事への参加など、家庭での役割を見直す必要があると考えております」
これらの説明では、具体的な状況を簡潔に伝えつつ、家族での話し合いを経た決断であることを示しています。
会社から配慮やサポートを受けられる可能性
実際に家庭の事情がある場合、退職を決断する前に会社に相談することで、勤務時間の調整やリモートワークなどの配慮を受けられる可能性もあります。なぜなら、近年では育児・介護休業法の改正により、企業側も従業員のワークライフバランスに配慮する義務が強化されているからです。

退職を申し出る前に、人事部門や上司に「こういった事情があるのですが、勤務条件を調整できる制度はありますか」と相談してみることも一つの選択肢です。
どうしても自分で伝えられないときの選択肢
退職代行サービスを利用するメリット
上司との関係が悪化している、パワハラを受けている、精神的に追い詰められているなど、自分で退職を伝えることが難しい状況もあります。そのような場合、退職代行サービスを利用するという選択肢があります。
退職代行サービスのメリットとして、まず退職の意思を本人が直接伝える必要がないため、精神的な負担が大幅に軽減されます。また、即日対応が可能な場合も多く、「明日から会社に行きたくない」という状況でも退職手続きを進められる可能性があります。
さらに、退職に関する必要書類の請求も代行してもらえるため、会社との直接的なやり取りを最小限に抑えられます。
弁護士対応の退職代行で安心して退職する方法
退職代行サービスには、一般的な業者が提供するものと、弁護士や労働組合が提供するものがあります。特に弁護士対応の退職代行を選ぶことで、より安心して退職手続きを進められます。
なぜなら、弁護士であれば未払い給与の請求、有給休暇の消化交渉、退職金の請求、パワハラやセクハラへの対応など、法的な権利に関する交渉も行えるからです。一般的な退職代行業者では、これらの交渉行為は弁護士法に抵触する可能性があるため対応できません。
費用は一般的な退職代行より高くなる傾向がありますが、トラブルが予想される場合や、会社との間に金銭的な問題がある場合は、弁護士対応を選ぶことをお勧めします。
退職理由を詳しく説明する必要がなくなる利点
退職代行サービスを利用する大きな利点の一つが、退職理由を詳しく説明する必要がなくなることです。なぜなら、退職代行業者が会社に伝えるのは「退職の意思」のみであり、詳細な退職理由を説明する必要はないからです。
これは、「家庭の事情」という嘘をつくことに罪悪感がある方や、本当の理由を伝えると引き止められそうで困っている方にとって、大きなメリットとなります。
退職代行を通じて「一身上の都合により退職します」と伝えるだけで手続きが進むため、上司との気まずい面談や、詳しい事情を説明する場面を避けられます。ただし、サービスの選択や利用については、費用や対応範囲をよく確認した上で判断することが重要です。
よくある質問|退職理由で「家庭の事情」と伝えることについて

退職理由を「家庭の事情」にしていいですか?
はい、退職理由として「家庭の事情」を伝えることは法的に問題ありません。実際、転職Hacksの調査では、嘘の退職理由として「家族の病気や介護」が最も多く選ばれており、多くの方が建前として使用している理由の一つです。
ただし、完全な嘘の場合は後からバレるリスクがあることを理解しておく必要があります。同じ地域で転職する場合や、SNSで日常生活を発信している場合、前職の関係者に嘘だと気づかれる可能性があります。
円満退職を目指すのであれば、完全な嘘よりも、ある程度事実に基づいた理由や、「家庭環境の変化を機に、キャリアを見直したい」といった複合的な理由を選ぶことをお勧めします。
退職理由を嘘でついたら違法ですか?
退職理由について嘘をついても、それ自体が違法になることはありません。なぜなら、日本の民法では退職の自由が認められており、退職理由の内容によって退職の権利が制限されることはないからです。
ただし、違法ではないからといってリスクがないわけではありません。転職Hacksの調査では、約7人に1人(15.38%)が嘘の退職理由がバレたと回答しており、バレた場合には「退職日を早められた」「転職先に嘘をついたことをバラされた」「給与やボーナスを減給された」といった不利益を被った方もいることが報告されています。
法的には問題なくても、人間関係や今後のキャリアに悪影響を及ぼす可能性があることは認識しておくべきでしょう。
退職理由に家族の介護は嘘だとバレますか?
家族の介護を理由にした場合、完全な嘘であればバレる可能性はあります。転職Hacksの調査では、嘘がバレたきっかけとして以下のような事例が報告されています。
- 本音を話した会社の同僚から伝わってしまった
- 転職先で前職の同僚に偶然鉢合わせしてしまった
- 前の勤め先から転職先に電話がかかってきた
- SNSでの投稿から疑われた
特に、「介護のため実家に帰る」と伝えたにもかかわらず、実際には同じ地域で働いている場合、偶然前職の関係者と街中で会ってしまうリスクがあります。また、SNSで旅行や遊びの様子を頻繁に投稿していると、「介護で忙しいはずなのにおかしい」と疑われる可能性もあります。
介護を理由にする場合は、こうしたリスクを理解した上で慎重に判断することをお勧めします。
退職理由を家庭の事情と言いたくないのですが、どうしたらいいですか?
退職理由を詳しく説明したくない場合、いくつかの対応方法があります。まず、「一身上の都合により」という定型的な表現を使用し、詳細は伏せる方法があります。これは退職願や退職届で一般的に使用される表現であり、特に問題はありません。
ただし、上司との面談では何らかの補足説明を求められる可能性が高いため、その場合は以下のような対応が効果的です。
- 「今後のキャリアについて考えた結果、新しい環境で挑戦したいと思いました」
- 「個人的な事情ですので詳しくはお話しできないのですが、この決断については慎重に検討いたしました」
- 「スキルアップのため、別の分野にチャレンジしたいと考えております」
プライバシーを守りつつも誠実な対応を心がけることが円満退職につながります。どうしても自分で伝えることが難しい場合は、退職代行サービスを利用するという選択肢もあります。
離職票には退職理由がどのように記載されますか?
離職票には、会社がハローワークに申告した退職理由が記載されます。具体的には、「自己都合」「会社都合」「契約期間満了」などの区分と、より詳細な理由が記載される形式になっています。
重要なのは、口頭で会社に伝えた退職理由と、離職票に記載される退職理由が必ずしも一致するわけではないという点です。たとえば、口頭では「家庭の事情」と伝えても、離職票上は「自己都合退職」という区分になることが一般的です。
また、離職票の退職理由は失業給付の受給条件や給付日数に影響するため、記載内容に誤りがある場合はハローワークで異議申し立てができます。退職時には、会社が作成する離職証明書の内容を確認し、自分の認識と相違がないかチェックすることをお勧めします。
退職の悩みを専門家に相談したい方へ|退職リトリート

退職手続きや給付金申請に関する情報提供サービス
退職を検討する際、退職理由をどう伝えるかだけでなく、退職後の手続きや失業保険制度について正確な情報を得たい方も多いのではないでしょうか。退職リトリートは、退職に関する制度や手続きについての情報提供を行っているサービスです。
退職に関する手続きは複雑で、必要書類も多岐にわたります。そのため、どこから手をつければいいのか分からないという声も少なくありません。退職リトリートでは、社労士監修のもと作成された情報を基に、専門の相談スタッフが一般的な制度や手続きについてご案内いたします。
ただし、実際の受給可否および受給額はハローワークの審査により決定されます。当サービスは情報提供のみを行うものであり、受給を保証するものではありません。また、個別具体的な労務相談や申請書類の作成代行は行っておりません。
※実際の手続きはご本人様がハローワークで行っていただく必要があります。受給の可否及び金額は、ハローワークでの審査により決定されます。正確な情報は必ずハローワークでご確認ください。
失業保険 総額シミュレーター
正確な金額・給付日数とは異なる場合があります。
下記の表で給付日数を確認したら、上記のシミュレーターに「年収」「年齢」「給付日数」を入力してください。失業保険の基本手当日額と受給総額が自動でシミュレーションできます。
| 雇用保険の加入期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職・特定理由離職者の場合
| 雇用保険の加入期間 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
| 29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35~44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60~64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。

