「退職したいけど、診断書って必要なの?」「会社から診断書を求められたけれど、どうすればいいかわからない…」そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。退職を考えている時期は心身ともに疲れている状態が多く、複雑な手続きに悩むこともあるでしょう。
この記事では、退職診断書の必要性から具体的なもらい方、退職後の失業保険や傷病手当金の受給条件まで、あなたが知りたい情報を分かりやすく整理してお伝えします。法的な根拠に基づいた正確な情報と、実際の手続きの流れを確認することで、あなたの不安が少しでも軽くなれば幸いです。
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。
- 退職診断書の必要性と法的な位置づけ
- 診断書のもらい方(費用・期間・医師への伝え方)
- 診断書を使った即日退職の可能性と交渉方法
- 失業保険の特定理由離職者として有利に受給する方法
- メンタル不調で退職する際の具体的な手続きの流れ

退職時に診断書は必要?法的な位置づけと提出するケース
退職を決意したとき、まず気になるのが「診断書は絶対に必要なのか」という点です。結論から申し上げると、法律上、退職に診断書の提出は必須ではありません。
ただし、診断書があることで円滑に退職手続きが進んだり、退職後の経済的な支援を受けやすくなったりするケースもあります。それでは、具体的にどのような場合に診断書が役立つのか、詳しく見ていきましょう。
診断書がなくても退職は可能|民法627条で保障される退職の自由

民法第627条では、「期間の定めのない雇用契約の場合、労働者は退職の意思表示をしてから2週間が経過すれば退職できる」と定められています。つまり、退職は労働者の権利として保障されており、診断書の有無にかかわらず、原則として2週間前に申し出ることで退職が可能です。
会社の就業規則に「退職の1ヶ月前に申し出ること」と記載されている場合もありますが、民法は就業規則よりも優先される法律です。そのため、法的には2週間前の申し出で退職できる権利があることを覚えておいてください。ただし、円満退職や引き継ぎを考慮すると、できるだけ余裕を持った申し出が望ましいでしょう。
このように、退職そのものに診断書は必須ではありません。一方で、会社側が理由を尋ねてきたり、即日退職を希望したりする場合には、診断書があることで話がスムーズに進む可能性があります。
診断書があることで得られる3つのメリット
診断書の提出は義務ではありませんが、提出することで得られるメリットもあります。まず1つ目は、退職理由の正当性を客観的に示せることです。特に体調不良やメンタル不調で退職する場合、診断書は医師という第三者による証明となるため、会社側も状況を理解しやすくなります。
2つ目のメリットは、即日退職や早期退職の交渉材料になる可能性があることです。民法第628条には「やむを得ない事由がある場合は、直ちに契約を解除できる」との規定があり、医師が「労務不能」と判断した診断書があれば、この「やむを得ない事由」に該当する可能性があります。ただし、即日退職が認められるかどうかは会社との話し合い次第となる点にご注意ください。
3つ目は、退職後の失業保険で有利になる可能性があることです。体調不良やメンタル不調による退職の場合、診断書を提出することで「特定理由離職者」として認定される可能性があり、認定された場合は通常の自己都合退職よりも早く失業保険を受給できる場合があります。ただし、最終的な判断はハローワークが行います。このように、診断書は退職後の生活を支える経済的な支援にもつながる重要な書類となります。
会社が診断書の提出を求める理由と対応方法
会社が退職時に診断書の提出を求めるのには、いくつかの理由があります。まず、社会保険や労災の判断材料として必要なケースです。特に病気やケガが業務に関連している可能性がある場合、会社は適切な手続きを行うために診断書を求めることがあります。
また、退職理由を正確に把握し、社内の労働環境改善に役立てたいという意図もあるでしょう。メンタル不調による退職が続いている場合、会社としても職場環境の見直しを検討する必要があるためです。さらに、即日退職や有給休暇の消化を伴う退職の場合、診断書があることで会社側も対応の判断がしやすくなります。
診断書の提出を求められた場合の対応としては、まず提出義務がないことを理解した上で、ご自身の状況に応じて判断することが大切です。提出することで円滑に退職できるのであれば、医師に相談して診断書を取得するという選択肢もあります。一方、プライバシーの観点から提出したくない場合は、丁寧に事情を説明し、他の方法で退職理由を伝えることも可能です。どちらを選ぶかは、あなたの状況と会社との関係性を考慮して決めてください。

退職診断書のもらい方|受診から発行までの具体的な流れ
診断書が必要だと判断した場合、次に気になるのは「どうやってもらうのか」という点です。初めて診断書を取得する方にとっては、どの診療科を受診すればいいのか、費用はいくらかかるのか、どのくらいの期間で発行してもらえるのかなど、分からないことも多いでしょう。
ここでは、診断書取得の具体的な流れを、ステップごとに分かりやすくご説明します。
診断書を発行してもらえる診療科と選び方

退職診断書は、基本的にどの診療科でも発行してもらえますが、退職理由によって適した診療科が異なります。メンタル不調(うつ病・適応障害・パニック障害など)が理由の場合は、心療内科または精神科の受診が適しています。これらの診療科では、ストレスや心の不調に対する専門的な診断が可能です。
身体的な症状が主な理由の場合は、症状に応じた診療科を選ぶとよいでしょう。例えば、慢性的な腰痛や関節痛であれば整形外科、消化器系の不調であれば内科や消化器内科といった具合です。どの診療科を受診すればいいか迷う場合は、まずは内科やかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門科を紹介してもらう方法もあります。
診療科を選ぶ際のポイントとして、できれば継続的に通院できる医療機関を選ぶことをお勧めします。なぜなら、診断書は医師が実際の診察に基づいて発行するものであり、初診でも発行は可能ですが、複数回の診察実績がある方が詳細な診断書を書いてもらいやすいためです。また、退職後も治療が必要な場合、同じ医師に継続して診てもらえる利点もあります。
診断書の発行費用と期間|一般的な相場と有効期限
診断書の発行には費用がかかります。これは健康保険が適用されない自費診療となるため、全額自己負担となる点にご注意ください。一般的な相場としては、簡易的な診断書で2,000円から5,000円程度、詳細な記載が必要な診断書(傷病手当金申請用や障害年金申請用など)では5,000円から15,000円程度となることが多いようです。
医療機関によって料金設定は異なりますので、受診前に電話やウェブサイトで確認しておくと安心です。また、診断書の様式が指定されている場合(会社や保険会社の所定様式など)は、その旨を事前に伝えておくとスムーズに手続きが進みます。
発行期間については、当日発行が可能な医療機関もあれば、1週間から2週間程度かかる場合もあります。特に詳細な診断書や、過去のカルテを確認する必要がある場合は時間がかかることがあるため、余裕を持って依頼することをお勧めします。診断書の有効期限については法律で明確に定められているわけではありませんが、一般的には発行から1ヶ月から3ヶ月程度が目安とされています。退職手続きや失業保険の申請などで使用する場合は、できるだけ新しい日付の診断書を用意するとよいでしょう。
医師に診断書を書いてもらう際の伝え方とポイント
診断書を依頼する際は、医師に対して明確に目的と必要な内容を伝えることが大切です。まず、「退職のために診断書が必要です」とはっきり伝えましょう。そして、具体的な症状や困っている状況を正直に説明してください。例えば、「職場のストレスで眠れない日が続いている」「朝起きられず出勤できない日が増えた」「動悸や息苦しさを感じる」といった具体的な症状を伝えることで、医師も適切な診断書を作成しやすくなります。
また、診断書にどのような内容を記載してほしいかを伝えることも重要です。特に即日退職や早期退職を希望する場合は、「現在の業務を継続することが困難である」旨を記載してほしいと依頼するとよいでしょう。ただし、医師は実際の診察結果に基づいて診断書を作成するため、症状に見合わない内容は記載できない点はご理解ください。
会社や保険会社から指定された様式がある場合は、必ず持参しましょう。様式によって記載項目が異なるため、医師も参考にして作成できます。さらに、提出先(会社・ハローワーク・保険会社など)を明確に伝えることで、医師も適切な表現や記載内容を判断しやすくなります。このように、医師とのコミュニケーションを丁寧に行うことで、あなたの状況に合った診断書を取得できる可能性が高まります。
診断書に記載される内容と「労務不能」の意味
診断書には一般的に、患者の氏名、生年月日、診断名、症状、診察日、医師の所見などが記載されます。退職に関連する診断書の場合、特に重要なのが「労務不能」という記載です。労務不能とは、「現在の健康状態では通常の労働に従事することができない」という医師の判断を示すものです。
この労務不能の記載があることで、民法第628条に定める「やむを得ない事由」に該当する可能性が高まり、即日退職や早期退職の交渉がしやすくなります。また、失業保険の申請時に「特定理由離職者」として認定されやすくなったり、傷病手当金の申請に必要な「労務に服することができない」という要件を満たす証明となったりします。
診断書には療養期間の記載がされることもあります。例えば「向こう3ヶ月の療養を要する」といった記載があれば、退職後に十分な休養が必要であることの根拠となります。ただし、療養期間の長さによっては、会社側が休職を提案してくる可能性もある点は留意しておくとよいでしょう。診断書の内容は、あなたの退職後の手続きや給付金の受給に大きく影響する可能性があるため、受け取った際には記載内容をしっかりと確認することをお勧めします。

退職診断書のデメリットと注意すべきリスク
診断書の提出にはメリットがある一方で、いくつか注意すべき点やデメリットもあります。
診断書を提出するかどうかを判断する際には、これらのリスクも理解しておくことが大切です。ここでは、診断書提出に伴う可能性のあるリスクについて、正直にお伝えします。
プライバシー開示のリスク|会社に伝わる個人情報の範囲
診断書を会社に提出するということは、あなたの健康状態に関する個人情報を開示することを意味します。診断書には病名や症状が記載されているため、メンタル不調や持病などの情報が会社側に知られることになります。これは、プライバシーを重視する方にとっては大きな懸念点となるでしょう。
特にメンタルヘルスに関する情報は、本来であれば他者に知られたくないデリケートな内容です。会社によっては、情報管理が適切に行われず、上司や同僚に内容が漏れてしまう可能性もゼロではありません。また、退職後に再就職する際、前職の会社に問い合わせがあった場合、健康上の理由で退職したことが伝わる可能性も考えられます。
このようなリスクを避けたい場合は、診断書の提出は義務ではないことを踏まえ、口頭や簡単な書面で退職理由を伝える方法も検討してみてください。あるいは、医師に相談して、病名を具体的に記載せず「療養が必要な状態」といった表現にしてもらうことも、場合によっては可能です。プライバシーとスムーズな退職手続きのバランスを考えて、ご自身にとって最適な選択をすることが重要です。
診断書提出後の引き止めや配置転換の可能性
診断書を提出することで、会社側が「休職」や「配置転換」を提案してくる可能性があります。特に診断書に「療養が必要」との記載がある場合、会社としては「一時的に休んでまた戻ってきてほしい」と考えることもあるでしょう。これは会社の親切心から来る提案かもしれませんが、あなたが明確に退職を希望している場合は、意図しない方向に話が進んでしまうリスクがあります。
また、「今の部署は負担が大きいようだから、別の部署に異動してみないか」という配置転換の提案がされることもあります。環境を変えることで改善が見込める場合は選択肢の一つですが、職場そのものに問題がある場合や、既に退職の意思が固まっている場合は、話が複雑になってしまう可能性があります。
このような状況を避けるためには、診断書を提出する際に、退職の意思が固いことを明確に伝えることが大切です。「療養に専念したいため、退職を希望しています」と、はっきりと自分の意思を示すことで、余計な引き止めを避けられる可能性が高まります。もし会社側の引き止めが強く、ご自身で対応が難しい場合は、退職代行サービスの利用も一つの選択肢となります。
診断書の嘘・偽造は絶対NG|法的リスクと信用問題
「退職をスムーズに進めたいから」という理由で、虚偽の診断書を作成したり、実際の症状よりも大げさに伝えて診断書を取得したりすることは、絶対に避けてください。診断書は医師が発行する公的な文書であり、虚偽の記載や偽造は私文書偽造罪などの刑事罰の対象となる可能性があります。
また、虚偽の診断書で退職した場合、会社側が不正を発見すれば、退職後であっても損害賠償を請求される可能性があります。さらに、失業保険や傷病手当金を不正受給した場合、給付金の返還を求められるだけでなく、刑事罰や行政罰の対象となることもあります。このような法的リスクは、あなたの将来に大きな影響を及ぼす可能性があるため、決して軽視してはいけません。
信用問題も深刻です。一度不正が発覚すれば、社会的な信用を失い、再就職にも大きな影響が出る可能性があります。退職は人生の大きな転換点ですが、不正な手段で進めることは、結果的にあなた自身を苦しめることになりかねません。正直に、正当な手続きを踏んで退職することが、長い目で見れば最も安全で確実な方法です。どうしても退職が難しい状況であれば、労働基準監督署や弁護士、退職代行サービスなど、適切な支援を受けることを検討してみてください。

診断書があれば即日退職できる?民法628条との関係
「今すぐにでも会社を辞めたい」と切実に思っている方もいらっしゃるでしょう。診断書があれば即日退職できるのか、この疑問について法的な根拠とともに詳しく見ていきます。
原則は2週間前の申し出が必要|民法627条の基本ルール

前述の通り、民法第627条では「雇用期間の定めがない場合、退職の申し出から2週間が経過すれば退職できる」と定められています。これは法律で保障された労働者の権利であり、会社の承諾がなくても2週間が経過すれば法的に退職が成立します。
多くの会社の就業規則には「退職の1ヶ月前に申し出ること」などと記載されていますが、これはあくまで会社の内部規則です。民法という法律の方が就業規則よりも優先されるため、最終的には2週間前の申し出で退職できる権利があります。ただし、円満退職や業務の引き継ぎを考慮すると、できるだけ就業規則に従って余裕を持った申し出をすることが望ましいでしょう。
この2週間という期間は、会社側が後任者を探したり、業務の引き継ぎを行ったりするための最低限の期間として設定されています。つまり、原則として即日退職は法的に認められておらず、最低でも2週間の期間が必要だということです。では、診断書があれば即日退職が可能になるのでしょうか。次の項目で詳しく見ていきましょう。
「やむを得ない事由」で即日退職が認められる可能性
民法第628条には、「やむを得ない事由がある場合は、各当事者は直ちに契約を解除できる」との規定があります。この「やむを得ない事由」に該当する場合、2週間を待たずに即日退職できる可能性があるのです。では、どのような状況が「やむを得ない事由」に該当するのでしょうか。
一般的には、労働者の病気やケガにより業務の遂行が不可能になった場合が該当すると考えられています。具体的には、医師が「労務不能」と診断し、「直ちに現在の業務から離脱が必要」といった内容が診断書に記載されている場合、やむを得ない事由として認められる可能性が高まります。また、会社側のハラスメントや違法行為、著しい労働環境の悪化なども、やむを得ない事由に該当する可能性があります。
ただし、重要な点として、民法第628条の適用は最終的には会社との合意や、場合によっては裁判所の判断に委ねられます。診断書があれば自動的に即日退職できるわけではなく、あくまで「やむを得ない事由」を証明する材料の一つとして機能するということです。実際には、診断書を提示して会社と交渉し、会社側が状況を理解して即日退職に合意することで実現するケースが多いでしょう。
また、民法第628条の後段には「その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う」との記載もあります。これは、労働者側に過失があって即日退職する場合、会社に損害が発生すれば賠償責任を負う可能性があるということです。ですから、即日退職を検討する際は、慎重に状況を判断する必要があります。
診断書を使った退職交渉の進め方と会社への伝え方
診断書を活用して退職交渉を進める場合、まずは直属の上司または人事部に退職の意思を伝えることから始めます。その際、「体調不良のため、医師から療養が必要と診断されました。そのため、退職させていただきたいと考えています」と、明確に伝えることが大切です。
診断書は、この初回の面談時またはその直後に提出するとよいでしょう。診断書を見せることで、あなたの状況が深刻であることが客観的に伝わり、会社側も理解を示しやすくなります。もし即日退職を希望する場合は、「医師から直ちに業務から離れることを勧められています。できれば即日での退職をお願いできないでしょうか」と、丁寧にお願いする形で交渉してみてください。
会社側が即日退職に同意しない場合でも、有給休暇が残っていれば、退職日までの期間を有給消化に充てることで、実質的に即日退職と同じ効果を得られる可能性があります。例えば、退職の申し出をした日から2週間分の有給休暇を使用すれば、実際に出勤することなく退職できます。この方法は法的にも問題なく、円満に退職できる可能性が高い方法です。
もし会社側が退職を認めない、または交渉が難航する場合は、労働基準監督署への相談や、退職代行サービスの利用も検討してみてください。特にメンタル不調で直接交渉することが困難な場合、専門家のサポートを受けることは有効な選択肢となります。退職は労働者の権利ですから、適切な手続きを踏めば必ず退職できることを覚えておいてください。

メンタル不調(うつ病・適応障害)で退職したい方へ
メンタル不調を理由に退職を考えている方は、心身ともに非常につらい状況にあることと思います。
「会社に行けない」「このままでは壊れてしまう」そんな切実な思いを抱えている方に、少しでも安心して次のステップに進んでいただけるよう、具体的な対処法をお伝えします。
会社に行けなくなった場合の対処法|無断欠勤は避けるべき
メンタル不調が深刻化すると、朝起きられない、家から出られないといった状況に陥ることがあります。そのような時、無断で会社を休んでしまいたくなる気持ちは理解できますが、無断欠勤は避けることをお勧めします。なぜなら、無断欠勤が続くと、会社側が「重責解雇(被保険者の責めに帰すべき重大な理由による解雇)」と判断し、退職後の失業保険受給に不利な影響が出る可能性があるためです。
もし会社に行けない状態になったら、まずは電話やメールで会社に連絡を入れましょう。「体調不良で出勤できません」と伝えるだけでも構いません。詳しい説明をする必要はなく、最低限の連絡をすることが大切です。直属の上司に連絡しづらい場合は、人事部や総務部に連絡する方法もあります。
その後、できるだけ早く医療機関を受診してください。心療内科や精神科の予約が取れない場合は、まずはかかりつけの内科でも構いません。医師に現在の状況を説明し、診断書を発行してもらうことで、会社への説明材料となります。診断書があれば、会社側も「本当に体調が悪いのだ」と理解しやすくなり、休職や退職の手続きがスムーズに進む可能性が高まります。
どうしても自分で連絡できない状態であれば、家族に代わりに連絡してもらう、または退職代行サービスを利用するという選択肢もあります。無断欠勤という状況を避け、何らかの形で会社に連絡を取ることが、あなた自身を守ることにつながります。
メンタル不調を理由とした退職の意思の伝え方
メンタル不調で退職する場合、退職理由をどこまで詳しく伝えるべきか悩む方も多いでしょう。結論から言えば、詳細を全て話す必要はなく、「体調不良のため、療養に専念したい」という説明で十分です。無理に病名を伝える必要はありませんし、プライバシーを守りたい場合は、最低限の情報だけを伝える方法で問題ありません。
退職を伝えるタイミングとしては、医師の診断を受けた後が適切でしょう。診断書があれば、退職理由の正当性を示す根拠となります。上司や人事担当者に面談を申し込み、「医師の診断により、療養が必要と判断されました。そのため、退職させていただきたいと考えています」と伝えてください。この時、診断書を提示することで、あなたの意思が固いことが伝わりやすくなります。
もし直接伝えることが精神的に難しい場合は、メールや書面で退職の意思を伝える方法もあります。法的には口頭でも書面でも退職の意思表示は有効ですので、あなたの体調に合わせた方法を選んでください。メールで伝える場合は、「退職届」という件名で、退職希望日と簡単な理由を記載し、後日診断書を郵送する旨を伝えるとよいでしょう。
大切なのは、あなた自身の健康と安全を最優先することです。会社や同僚への配慮も大切ですが、まずはご自身の心身を守ることを第一に考えてください。退職は逃げではなく、新しい一歩を踏み出すための大切な決断です。
退職と休職の違い|どちらを選ぶべきか判断するポイント
メンタル不調の場合、会社側から「退職ではなく、まずは休職してみないか」と提案されることがあります。退職と休職、どちらを選ぶべきか悩む方も多いでしょう。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、ご自身の状況に合わせて判断することが大切です。
休職のメリットは、在籍したまま療養に専念できることです。社会保険(健康保険・厚生年金)が継続されるため、傷病手当金を受給しながら治療に集中できます。また、復職の可能性を残せるため、「治ったらまた働きたい」と考えている場合は選択肢の一つとなります。一方デメリットとしては、休職期間中も社会保険料の支払いが発生することや、休職期間が満了しても復職できない場合は結局退職となる可能性があることです。
退職のメリットは、会社との関係を完全に断ち切り、心機一転できることです。職場環境そのものが原因でメンタル不調になった場合、退職することで精神的な負担から解放される可能性があります。また、退職後は失業保険や傷病手当金(条件を満たせば)を受給しながら、じっくりと療養や次のキャリアを考える時間を持てます。デメリットとしては、収入源が給付金のみとなることや、社会保険の切り替え手続きが必要になることが挙げられます。
判断のポイントとしては、まず「この会社に戻りたいと思うか」を考えてみてください。職場環境や人間関係が原因でメンタル不調になった場合、休職しても復職後に同じ問題に直面する可能性があります。一方、一時的な過労やプロジェクトの負担が原因であれば、休職して回復した後に復職という選択肢もあるでしょう。ご自身の気持ちと医師の意見を参考に、納得できる選択をすることが大切です。
退職代行サービスの活用|自分で伝えられない場合の選択肢
メンタル不調が深刻な場合、自分で退職の意思を伝えることが非常に困難なケースもあります。そのような時に検討していただきたいのが、退職代行サービスの利用です。退職代行サービスとは、あなたに代わって会社に退職の意思を伝え、退職手続きを進めてくれるサービスです。
退職代行サービスには、民間企業が運営するもの、労働組合が運営するもの、弁護士が提供するものの3種類があります。費用相場としては、民間企業運営のもので10,000円から50,000円程度、労働組合運営で25,000円から30,000円程度、弁護士によるものは50,000円から100,000円程度となっています。それぞれできることが異なり、民間企業は退職の意思伝達のみ、労働組合は意思伝達に加えて有給消化や退職日の交渉が可能、弁護士は交渉に加えて未払い賃金の請求や損害賠償の対応も可能です。
退職代行サービスを利用するメリットは、会社と直接やり取りする必要がないことです。精神的な負担が大きい時期に、上司や人事担当者と話す必要がなくなるため、心身への負担を大幅に軽減できます。また、退職の意思を伝えた後も、必要な手続きを代行してくれるため、スムーズに退職できる可能性が高まります。
一方、費用がかかることや、会社との関係が完全に断たれるため円満退職は難しくなる可能性があることはデメリットと言えるでしょう。しかし、既に精神的に追い詰められている状況であれば、円満退職よりもまずはご自身の健康と安全を守ることを優先すべきです。退職代行サービスは、自分では動けない状況の方にとって、有効な選択肢の一つとなります。

退職診断書とハローワーク|失業保険の特定理由離職者について
退職後の生活を支える重要な制度が失業保険(雇用保険の基本手当)です。診断書があることで、失業保険の受給条件が有利になる可能性があります。
ここでは、特定理由離職者という制度と、診断書との関係について詳しく見ていきましょう。
診断書があると失業保険の受給条件が有利になるケース
通常、自己都合で退職した場合、失業保険には給付制限期間が設けられます。2025年4月以降の制度では、一般的な自己都合退職の場合、給付制限期間は1ヶ月(ただし、今回の退職を含む直近5年以内に合計3回以上の自己都合退職がある場合は3ヶ月)となっており、この期間は失業保険を受給できません。
しかし、病気やケガなどのやむを得ない理由で退職した場合、「特定理由離職者」として認定される可能性があります。特定理由離職者に認定されると、給付制限期間がなく、7日間の待期期間が終了すれば失業保険を受給できるようになります。これは経済的に非常に大きなメリットです。
診断書は、この特定理由離職者の認定を受けるための重要な証明書類となります。体調不良やメンタル不調により退職した場合、診断書を提出することで、「正当な理由による離職」であることをハローワークに証明できるのです。ただし、診断書があれば自動的に特定理由離職者に認定されるわけではなく、ハローワークが総合的に判断します。診断書の内容、退職に至る経緯、会社とのやり取りなどを踏まえて、最終的な判定が行われる点は理解しておきましょう。
失業保険 総額シミュレーター
正確な金額・給付日数とは異なる場合があります。
下記の表で給付日数を確認したら、上記のシミュレーターに「年収」「年齢」「給付日数」を入力してください。失業保険の基本手当日額と受給総額が自動でシミュレーションできます。
| 雇用保険の加入期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職・特定理由離職者の場合
| 雇用保険の加入期間 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
| 29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35~44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60~64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。
特定理由離職者の認定に必要な書類と申請手順
特定理由離職者の認定を受けるためには、ハローワークで失業保険の手続きを行う際に、適切な書類を提出する必要があります。基本的な必要書類は、離職票、マイナンバーカード(または通知カード+身分証明書)、証明写真、印鑑、本人名義の預金通帳などです。
これらの基本書類に加えて、特定理由離職者の認定を受けるためには、退職理由を証明する書類が必要となります。病気やメンタル不調による退職の場合は、医師の診断書がこれに該当します。診断書には、病名、症状、療養の必要性などが記載されていることが望ましいでしょう。また、診断書以外にも、通院の記録(診察券や領収書)、処方箋や薬の記録なども補助的な証明資料として役立つ場合があります。
離職票には退職理由が記載されていますが、この時点で「自己都合」と記載されていても問題ありません。
求職申込みと失業保険の受給手続きを行います。この時、窓口で「体調不良により退職した」旨を説明し、診断書を提出してください。
ハローワークの担当者が状況を確認し、必要に応じて追加の質問や書類提出を求められることがあります。退職に至る経緯を正直に説明することで、特定理由離職者としての認定を受けやすくなります。
認定されれば、給付制限なしで失業保険を受給できるようになります。
給付制限期間なしで受給できる条件と被保険者期間の要件
特定理由離職者として認定されると、給付制限期間なし(7日間の待期期間のみ)で失業保険を受給できる大きなメリットがあります。さらに、通常の自己都合退職では「離職前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間」が必要なのに対し、特定理由離職者の場合は「離職前1年間に6ヶ月以上の被保険者期間」があれば受給資格を得られます。
この被保険者期間とは、雇用保険に加入していた期間のことで、週20時間以上の労働で雇用保険の対象となります。つまり、勤務期間が比較的短くても、特定理由離職者に認定されれば失業保険を受給できる可能性があるということです。これは、体調不良で長く働けなかった方にとって、非常に助かる制度と言えるでしょう。
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷などにより離職した場合
- 妊娠、出産、育児により離職した場合
- 父母の扶養や介護のため離職した場合
- 通勤が困難または不可能になった場合
- 雇用契約の更新がなされなかった場合(いわゆる雇い止め)
診断書があることで、特に「心身の障害、疾病により離職した」という条件を満たしやすくなります。ただし、ハローワークは総合的に判断するため、診断書だけでなく、退職に至る経緯や会社側の対応なども考慮されます。例えば、会社に配置転換や業務軽減を相談したが対応してもらえなかった、医師から療養を勧められたなどの事情があれば、より認定されやすくなるでしょう。
ハローワークへの診断書提出タイミングと注意点
ハローワークに診断書を提出するタイミングは、失業保険の初回手続き時が最も適しています。求職申込みを行い、離職票を提出する際に、一緒に診断書も提出することで、スムーズに特定理由離職者の審査を進めてもらえます。もし初回手続き時に診断書を持参できなかった場合でも、後日提出することは可能ですので、まずはハローワークの窓口で相談してみてください。
診断書を提出する際の注意点として、診断書の日付が退職前または退職直後のものであることが望ましいです。退職から数ヶ月経過した後に取得した診断書では、退職時の状況を証明する書類としての効力が弱くなる可能性があります。できれば退職前に受診し、退職に至った経緯を医師に説明した上で診断書を取得しておくことをお勧めします。
また、診断書の記載内容も重要です。単に病名が記載されているだけでなく、「労務不能」「就労困難」「療養が必要」といった表現が含まれていると、特定理由離職者の認定を受けやすくなります。医師に診断書を依頼する際は、「ハローワークでの失業保険申請に使用する」旨を伝えると、適切な内容で作成してもらえる可能性が高まります。
ハローワークでは、診断書の内容に加えて、あなた自身から退職に至る経緯を聞き取ります。この時、正直に状況を説明することが大切です。例えば、「いつ頃から体調不良を感じていたか」「会社に相談したか」「休職や配置転換の提案はあったか」「なぜ退職を選択したか」といった質問に対して、具体的に答えられるよう準備しておくとよいでしょう。あなたの真摯な説明が、認定の判断材料となります。

退職後の経済的支援|傷病手当金との関係を理解する

退職後の経済的な支援として、失業保険のほかに「傷病手当金」という制度もあります。傷病手当金は健康保険から支給されるもので、条件を満たせば退職後も継続して受給できる可能性があります。
ここでは、傷病手当金の仕組みと、失業保険との関係について詳しく見ていきましょう。
傷病手当金の受給条件と申請方法
傷病手当金とは、病気やケガで働けなくなった時に、健康保険から支給される給付金です。在職中から受給している方もいらっしゃるでしょうが、実は条件を満たせば退職後も継続して受給できる制度があります。これを「資格喪失後の継続給付」と言います。
- 業務外の病気やケガで療養中であること
- 療養のために労務に服することができないこと
- 連続する3日間を含む4日以上仕事を休んでいること(最初の連続3日間が「待期期間」となり、4日目以降の休業日から支給の対象となります)
- 休んだ期間について給与の支払いがないこと、または給与が傷病手当金の額より少ないこと
支給額は、標準報酬日額の3分の2に相当する額で、支給期間は支給開始日から通算して1年6ヶ月間です。例えば、月給30万円の方であれば、おおよそ日額6,000円から7,000円程度が支給されることになります。(ただし、個人の標準報酬月額により異なりますので、あくまで一般的な例としてご理解ください)
申請方法としては、加入している健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に「傷病手当金支給申請書」を提出します。この申請書には、あなた自身が記入する部分、事業主(会社)が記入する部分、医師が記入する部分があります。つまり、医師の証明が必要となるため、継続的に通院していることが前提となります。申請は1ヶ月ごとなど定期的に行うのが一般的で、医師の証明を受けた申請書を健康保険に提出することで支給されます。
退職後も傷病手当金を継続受給するための4つの条件
退職後も傷病手当金を継続して受給するためには、以下の4つの条件を全て満たす必要があります。一つでも欠けると、退職後の継続給付は受けられませんので、注意が必要です。
資格喪失日(退職日の翌日)の前日まで、継続して1年以上の健康保険被保険者期間があること。短期間の勤務で退職した場合は、この条件を満たさないため継続給付は受けられません。
資格喪失時(退職日の翌日)に、傷病手当金を受給中または受給できる状態であること。退職後に初めて病気になった場合は対象外となります。
退職日に少しでも出勤してしまうと、「労務可能」と判断され、継続給付の対象から外れてしまう可能性があります。退職日の挨拶回りなどで短時間でも出社することは避けた方が安全です。
退職後に回復して就労可能になった場合は、その時点で支給が停止されます。継続給付を受けるためには、退職後も医師の診察を受け、労務不能の状態であることを証明し続ける必要があります。
これらの条件を満たせば、退職前から受給していた傷病手当金を、支給開始から通算1年6ヶ月間まで継続して受け取ることができます。退職後は会社の協力が得られないため、医師の証明と自身での申請手続きが必要となる点は留意しておきましょう。
失業保険と傷病手当金は同時受給できない

重要な注意点として、失業保険と傷病手当金は同時に受給することはできません。なぜなら、失業保険は「働く意思と能力があるが、就職先が見つからない人」を対象とした制度であるのに対し、傷病手当金は「病気やケガで働けない人」を対象とした制度だからです。つまり、両者の前提条件が矛盾しているため、同時受給は認められていないのです。
では、退職後にどちらを選ぶべきでしょうか。判断のポイントは、あなたの健康状態と今後の計画です。退職後もしばらく療養が必要で、すぐには就職活動ができない状態であれば、傷病手当金の継続給付を選択するとよいでしょう。一方、既に回復傾向にあり、就職活動を始められる状態であれば、失業保険を選択することになります。
なお、最初は傷病手当金を受給し、回復した後に失業保険に切り替えるという方法もあります。傷病手当金の受給中は、失業保険の受給期間を延長する手続きをハローワークで行うことができます。この延長手続きをしておけば、傷病手当金の受給が終了した後、または回復した後に、失業保険を受給することが可能です。
受給期間の延長手続きは、引き続き30日以上職業に就くことができない日の翌日以降から申請できます。2017年の制度改正により、延長後の受給期間の終了日まで申請可能となっていますが、早めの手続きを強くお勧めします。
どちらの制度を選ぶかは、ご自身の状況と医師の意見を参考に判断してください。ハローワークや健康保険の窓口で相談すれば、あなたの状況に応じた最適なアドバイスを受けられる可能性があります。経済的な不安は大きいかと思いますが、適切な制度を活用することで、療養に専念できる環境を整えることができます。

退職手続きの具体的な流れ|診断書取得から退職完了まで
退職を決意してから実際に退職が完了するまでには、いくつかのステップがあります。ここでは、診断書を活用した退職手続きの流れを、段階ごとに分かりやすくご説明します。
ステップ①診断書取得
退職を決意したら、まずは医療機関を受診しましょう。既に通院している場合は、担当医に退職を考えていることを伝え、診断書の発行を依頼してください。初めて受診する場合は、心療内科、精神科、または症状に応じた診療科を選び、現在の状況を正直に説明することが大切です。
診断書を依頼する際は、「退職のために必要です」と明確に伝えましょう。また、会社や保険会社から指定された様式がある場合は持参してください。診断書には、病名、症状、労務不能の旨、療養期間などが記載されます。発行までの期間は医療機関により異なりますが、通常は当日から2週間程度です。費用は2,000円から15,000円程度が一般的で、健康保険は適用されず自費となります。
診断書を受け取ったら、記載内容を確認しましょう。特に「労務不能」「就労困難」といった表現が含まれているか、療養期間が明記されているかを確認してください。もし内容に不明点があれば、医師に確認することをお勧めします。診断書はコピーを取っておくと、後々の手続きで役立つ場合があります。
ステップ②退職意思の伝達
診断書を取得したら、次は会社に退職の意思を伝えます。まずは直属の上司または人事部に面談を申し込みましょう。面談では、「医師の診断により、療養が必要と判断されました。そのため、退職させていただきたいと考えています」と明確に伝え、診断書を提示してください。
もし直接伝えることが困難な場合は、メールや書面で伝える方法もあります。メールの場合は、件名を「退職のご相談」とし、本文で退職の意思と理由を簡潔に記載します。後日、診断書を郵送する旨も伝えましょう。どうしても自分で伝えられない状況であれば、退職代行サービスの利用も検討してください。
退職の意思を伝える際は、できれば希望する退職日も伝えましょう。民法上は2週間前の申し出で退職できますが、引き継ぎや有給消化を考慮して、現実的な退職日を設定することが望ましいです。会社側から休職や配置転換の提案があるかもしれませんが、退職の意思が固い場合は、はっきりとその旨を伝えてください。
ステップ③退職日の確定
退職の意思を伝えた後、会社と退職日について協議します。この時、有給休暇が残っている場合は、退職日までの期間を有給消化に充てることを提案してみてください。有給休暇は労働者の権利ですので、会社側は原則として拒否できません。ただし、業務の引き継ぎが必要な場合は、ある程度の出勤日を確保することも検討しましょう。
退職日が確定したら、退職届(または退職願)を提出します。退職届には、退職日、退職理由(「一身上の都合により」で十分です)、提出日、氏名を記載し、捺印します。会社に所定の様式がある場合は、それに従ってください。退職届は会社の総務部や人事部に提出するのが一般的です。
この段階で、退職に伴う各種手続きについても確認しておきましょう。健康保険証の返却、社員証やIDカードの返却、会社からの貸与品(パソコン、携帯電話、制服など)の返却リストを作成し、退職日までに全て返却できるよう準備します。また、会社から受け取るべき書類(離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証、年金手帳など)についても確認し、受け取り方法を決めておきましょう。
ステップ④業務引き継ぎ
体調が許す範囲で、業務の引き継ぎを行いましょう。引き継ぎは、後任者や上司、チームメンバーに対して、あなたが担当していた業務の内容、進捗状況、今後の予定、注意点などを伝えるプロセスです。引き継ぎ資料を作成し、口頭での説明と合わせて行うと、より丁寧な引き継ぎとなります。
ただし、メンタル不調などで出勤が困難な場合は、無理に引き継ぎを行う必要はありません。診断書で労務不能と診断されている状態であれば、会社側もそれを理解すべきです。出勤が難しい場合は、メールや電話、オンライン会議などを使って、最低限の情報共有を行う方法もあります。あるいは、引き継ぎ資料を作成して郵送やメールで送付する方法も考えられます。
引き継ぎの範囲や方法については、あなたの体調を最優先に考えてください。会社側が過度な引き継ぎを求めてきた場合でも、医師の診断書があれば、それを根拠に対応の限界を伝えることができます。「医師から安静を指示されているため、できる範囲での引き継ぎとさせていただきます」と伝えることは、決して無責任なことではありません。
ステップ⑤必要書類の受け取り
退職日が近づいたら、会社から受け取るべき書類を確認しましょう。退職後の手続きに必要な重要書類がいくつかあります。まず、離職票(雇用保険被保険者離職票)は、ハローワークで失業保険を申請する際に必須の書類です。退職後10日程度で会社から郵送されるのが一般的ですが、もし2週間以上経っても届かない場合は、会社に確認してください。
- 離職票(雇用保険被保険者離職票):失業保険申請に必須
- 源泉徴収票:年末調整や確定申告に必要
- 雇用保険被保険者証:次の就職先に提出
- 年金手帳:会社が保管している場合は返却
- 健康保険資格喪失証明書:国民健康保険への加入手続きに必要
- 退職証明書:必要に応じて会社に発行を依頼
これらの書類は退職後の手続きに不可欠ですので、漏れなく受け取るようにしてください。もし体調不良で直接受け取りに行けない場合は、郵送してもらうよう依頼しましょう。会社側も退職者への書類郵送は一般的に対応してくれるはずです。受け取った書類は、紛失しないよう大切に保管してください。
ステップ⑥社会保険の切り替え
退職すると、会社で加入していた社会保険(健康保険・厚生年金)の資格を喪失します。そのため、退職後は自分で新たに保険に加入する手続きが必要です。健康保険については、主に3つの選択肢があります。
1つ目は、国民健康保険への加入です。お住まいの市区町村役場で手続きを行います。退職日の翌日から14日以内に手続きをする必要がありますので、早めに対応しましょう。必要書類は、健康保険資格喪失証明書(または離職票)、マイナンバーカード、印鑑などです。保険料は前年の所得に基づいて計算されます。
2つ目は、会社の健康保険の任意継続です。退職前に加入していた健康保険を、個人で継続加入できる制度です。ただし、退職日の翌日から20日以内に手続きが必要で、保険料は全額自己負担(在職中は会社が半額負担していた)となります。また、継続できる期間は最長2年間です。保険料と保障内容を比較して、国民健康保険とどちらが有利か検討しましょう。
3つ目は、家族の扶養に入る方法です。配偶者や親などが社会保険に加入している場合、その扶養家族として加入できる可能性があります。この場合、保険料の負担はありません。ただし、扶養に入るためには収入要件(年収130万円未満など)を満たす必要があります。
年金については、国民年金への切り替え手続きが必要です。これも市区町村役場で、健康保険の手続きと同時に行えます。退職後は国民年金の第1号被保険者となり、保険料は月額16,520円(2026年度)を自分で納付することになります。失業中で保険料の支払いが困難な場合は、免除や猶予の制度もありますので、窓口で相談してみてください。
退職後にやるべき手続き
退職後は様々な手続きが必要となります。以下に、主な手続きをまとめます。
- 健康保険の切り替え(国民健康保険加入、任意継続、または家族の扶養に入る)
- 国民年金への切り替え
- ハローワークで求職申込み・失業保険の手続き(離職票が届いたらすぐ)
- 診断書の提出(特定理由離職者の認定を希望する場合)
- 住民税の納付方法確認(退職月によって、自分で納付が必要)
- 確定申告の準備(年内に再就職しない場合、翌年2〜3月に確定申告が必要)
- 傷病手当金の継続申請(該当する場合)
- 失業保険受給期間の延長手続き(病気療養中で就職活動ができない場合)
- 自立支援医療の申請(精神科や心療内科に継続通院する場合、医療費が軽減される制度)
- 障害年金の相談(長期療養が必要な場合)
- 各種支払い方法の変更(クレジットカード、携帯電話など、給与天引きだったものの支払い方法変更)
これらの手続きは複雑で、体調が優れない中で対応するのは大変かもしれません。分からないことがあれば、市区町村役場、ハローワーク、年金事務所などの窓口で相談しながら進めることをお勧めします。一つずつ確実に対応していくことで、退職後の生活基盤を整えることができます。

よくある質問|退職診断書に関する疑問を解決

退職診断書に関して、多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。あなたの不安や疑問の解消に役立てていただければ幸いです。
診断書があれば退職できますか?
診断書があれば自動的に退職できるというわけではありませんが、退職手続きをスムーズに進める助けとなる可能性があります。法律上、退職は労働者の権利として保障されており、民法第627条に基づいて、退職の意思表示から2週間が経過すれば、診断書の有無に関わらず退職することができます。
ただし、診断書があることで、退職理由の正当性を客観的に示すことができるため、会社側の理解を得やすくなります。特に即日退職や早期退職を希望する場合、診断書は民法第628条の「やむを得ない事由」を証明する材料となり、会社との交渉を有利に進められる可能性があります。
また、診断書は退職後の失業保険申請において、特定理由離職者として認定されるための重要な証明書類となります。つまり、診断書は「退職するための必須条件」ではありませんが、「円滑な退職と退職後の経済的支援を受けるための有力なツール」と言えるでしょう。
メンタル不調で退職したいのですが、どうしたらいいですか?
メンタル不調で退職を考えている場合、まずはご自身の健康を最優先に考えてください。最初のステップとして、心療内科や精神科を受診することをお勧めします。医師に現在の状況を正直に話し、診断と治療を受けることが大切です。診断の結果、退職が必要と判断されれば、診断書を発行してもらいましょう。
次に、診断書を持って会社に退職の意思を伝えます。直接伝えることが困難な場合は、メールや書面、または退職代行サービスを利用する方法もあります。「医師の診断により、療養が必要と判断されたため、退職させていただきたい」と明確に伝えてください。
退職後は、ハローワークで失業保険の手続きを行います。診断書を提出することで、特定理由離職者として認定され、給付制限なしで失業保険を受給できる可能性があります。また、条件を満たせば傷病手当金の継続受給も検討できます。経済的な不安は大きいかもしれませんが、適切な制度を活用することで、療養に専念できる環境を整えることができます。一人で悩まず、医師、ハローワーク、家族などに相談しながら、一歩ずつ進めていってください。
メンタル不調で即日退職したいのですが、認められますか?
メンタル不調で即日退職を希望する場合、法律上は民法第628条の「やむを得ない事由」に該当すれば可能性があります。医師が「労務不能」と診断し、「直ちに業務から離れる必要がある」との内容が診断書に記載されている場合、やむを得ない事由として認められやすくなります。
ただし、即日退職が認められるかどうかは、最終的には会社との話し合いによって決まります。診断書を提示して状況を説明し、会社側が理解を示せば、即日退職に合意してもらえる可能性があります。もし会社側が即日退職を認めない場合でも、有給休暇が残っていれば、退職日までの期間を有給消化に充てることで、実質的に即日退職と同じ効果を得られます。
どうしても会社と直接交渉することが困難な状態であれば、退職代行サービスの利用も検討してみてください。労働組合や弁護士が運営する退職代行サービスであれば、即日退職の交渉も代行してくれる可能性があります。メンタル不調で限界を感じている状況であれば、まずはご自身の安全と健康を守ることを最優先に考え、利用できる支援を積極的に活用してください。
会社に行けなくなったので退職したいのですが、できますか?
会社に行けなくなった状態でも、退職することは可能です。まず大切なのは、無断欠勤を避けることです。出勤できない場合でも、電話やメールで会社に連絡を入れ、「体調不良で出勤できません」と伝えてください。詳しい説明をする必要はなく、最低限の連絡をすることが重要です。
その後、できるだけ早く医療機関を受診してください。心療内科や精神科の予約が取れない場合は、まずはかかりつけの内科でも構いません。医師に現在の状況を説明し、診断書を発行してもらいましょう。診断書があれば、会社への説明材料となり、退職手続きをスムーズに進められる可能性が高まります。
退職の意思を伝える方法としては、直接面談が難しい場合、メールや書面で伝えることも可能です。「医師の診断により療養が必要と判断されたため、退職させていただきたい」という内容を記載し、後日診断書を郵送する旨を伝えましょう。どうしても自分で対応できない場合は、家族に代わりに連絡してもらう、または退職代行サービスを利用する方法もあります。
会社に行けない状態は非常につらいものですが、退職は労働者の権利として保障されていますので、適切な手続きを踏めば必ず退職できます。一人で抱え込まず、医師や専門家のサポートを受けながら進めていくことをお勧めします。
退職診断書の効力はどれくらい続きますか?
診断書の有効期限については、法律で明確に定められているわけではありません。しかし、一般的には発行から1ヶ月から3ヶ月程度が目安とされていますが、法律上の定めはなく医療機関や提出先の規定によって異なります。提出先に有効期限を事前に確認することをお勧めします。診断書は発行時点での医師の診断内容を記載したものであるため、時間が経過すると状況が変わっている可能性があり、古い診断書では証明力が弱くなってしまうためです。
退職手続きで使用する場合は、できるだけ退職日に近い日付の診断書を用意することが望ましいでしょう。例えば、退職の意思を伝える1週間前から1ヶ月前程度に取得した診断書であれば、十分な効力を持つと考えられます。逆に、半年前や1年前に取得した診断書では、「現在の状況を反映していない」と判断される可能性があります。
ハローワークで失業保険の申請に使用する場合も、退職前後の日付の診断書が望ましいです。退職から数ヶ月経過した後に取得した診断書では、退職時の状況を証明する書類としての効力が弱くなる可能性があります。もし診断書が古くなってしまった場合は、医師に再度診察を受けて、新しい診断書を発行してもらうことを検討してください。
なお、傷病手当金の申請など、継続的な療養が必要な場合は、定期的に診断書(または医師の証明)を提出する必要があります。この場合は、通常1ヶ月ごとなど定期的に医師の証明を受けることになります。診断書の使用目的に応じて、適切なタイミングで取得することが大切です。
退職の悩みをプロに相談|退職リトリート

退職手続きや給付金申請でお困りの方へ
退職リトリートは、退職や給付金制度に関する情報提供サービスです。社会保険労務士の監修のもと、雇用保険や退職制度に関する情報提供を行い、あなたの状況に合わせて丁寧にサポートします。
退職後の給付金制度は複雑で、必要書類も多岐にわたるため、手続きに不安を感じる方もいらっしゃいます。退職リトリートでは、制度の説明や必要書類のご案内など、情報提供を中心にサポートいたします。雇用保険制度の仕組みや申請方法について分かりやすくご説明しますが、受給の可否・金額はハローワークでの審査により決定されます。当サービスの利用により受給額が増えることを保証するものではありません。
退職前にご相談いただくことで、より余裕を持って準備を進められる場合があります。退職後のご相談も承っておりますので、退職を検討されている段階でも、お気軽にご相談ください。
退職は人生の大きな転換点です。一人で悩まず、正しい情報を得ながら、安心して次のステップに進んでいただければと思います。まずは無料相談で、退職後の給付金制度について確認してみませんか。
※実際の手続きはご本人様がハローワークで行っていただく必要があります。受給の可否及び金額は、ハローワークでの審査により決定されます。
失業保険 総額シミュレーター
正確な金額・給付日数とは異なる場合があります。
下記の表で給付日数を確認したら、上記のシミュレーターに「年収」「年齢」「給付日数」を入力してください。失業保険の基本手当日額と受給総額が自動でシミュレーションできます。
| 雇用保険の加入期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職・特定理由離職者の場合
| 雇用保険の加入期間 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
| 29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35~44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60~64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。

