「休職するなら退職しろ」と言われた時の対処法|違法性とパワハラ該当性を解説

「休職するなら退職しろ」と言われた時の対処法|違法性とパワハラ該当性を解説

上司から「休職するなら退職しろ」と言われて、不安や困惑を感じていませんか?体調を崩して休職を相談したのに、このような発言をされると「従わなければいけないのか」「自分が悪いのか」と悩んでしまうのは当然のことです。

結論から言うと、こうした発言に従う法的義務はありません。なぜなら、就業規則に休職制度が定められている場合、要件を満たす労働者は休職を申請できる権利があり、退職を強要する行為は違法になる可能性があるからです。

この記事では、労働法および社会保険制度に関する一般的な情報として、あなたが取るべき適切な対処法と、休職・退職の判断基準について詳しく解説します。個別のケースについては、専門家への相談をお勧めします。

※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。

目次

「休職するなら退職しろ」は従う必要がある?

上司や人事から「休職するなら退職しろ」と言われても、その発言に従う法的義務は一切ありません。なぜなら、会社の就業規則に休職制度が定められている場合、労働者には休職を申請する正当な権利があり、これを拒否して退職を迫る行為は法律に違反する可能性が高いからです。

そもそも、会社は労働者の意思に反して一方的に退職させることはできません。労働契約法第16条では、「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」と定められています。

つまり、体調不良を理由に休職を申請した労働者に対して、正当な理由なく退職を強要することは、この法律に抵触する可能性があるということです。

休職する権利は法律で守られている

休職制度は、労働者が病気やケガで働けなくなった際に、雇用関係を維持しながら療養できる大切な制度です。会社の就業規則に休職制度が明記されている場合、それは労働契約の一部となり、条件を満たした労働者には休職を申請する権利があります。

厚生労働省の指針でも、労働者の健康管理は使用者の責任として位置づけられており、適切な療養機会を提供することが求められています。そのため、医師の診断書がある場合や、業務に起因する体調不良の場合には、会社は休職申請を適切に処理する義務があると解釈される場合があります。一方的に「休職するなら退職しろ」という選択を迫ることは、こうした労働者保護の理念に反する行為です。

上司の発言がパワハラに該当する可能性とは

「休職するなら退職しろ」という発言は、厚生労働省が定めるパワーハラスメントの定義に該当すると判断される場合があります。パワハラは、「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」「労働者の就業環境を害すること」という3つの要素を全て満たすものと定義されています。

上司という立場を利用して、本来認められるべき休職の権利を行使させず、退職を強要する行為は、明らかに業務上必要な範囲を超えており、労働者の就業環境を著しく害するものです。特に、体調不良で弱っている状態の労働者に対して、このような圧力をかける行為は、精神的苦痛を与えるパワハラと判断される可能性があります。

また、こうした発言が繰り返される場合や、大声で威圧的に伝えられる場合には、より悪質なパワハラとして法的責任を問われるケースもあります。

退職勧奨と退職強要の違いを知っておこう

「退職勧奨」と「退職強要」は似ているようで、法的には大きく異なります。退職勧奨とは、会社が労働者に対して任意に退職を促す行為であり、労働者が自由に断れる状態であれば違法ではありません。一方、退職強要は、労働者の意思に反して退職を迫る行為であり、違法なパワハラに該当する可能性があります。

退職強要とみなされる行為
  • 休職を認めない代わりに退職を求める
  • 退職しなければ解雇すると脅す
  • 何度も退職を迫り、断ることを許さない雰囲気を作る

過去の裁判例でも、労働者が明確に拒否しているにもかかわらず退職勧奨を続けた事案では、会社側に損害賠償が命じられています。重要なのは、あなたには退職を断る権利があり、会社はその意思を尊重しなければならないということです。

なぜ会社は「休職するなら退職しろ」と言うのか?

会社が「休職するなら退職しろ」と言う背景には、いくつかの経営上の事情が存在します。しかし、それはあくまで会社側の都合であり、労働者であるあなたが責任を感じる必要はまったくありません

ここでは、会社がこのような発言をする理由を客観的に理解し、適切に対処するための知識をお伝えします。

休職中の社会保険料負担が理由のケース

休職中であっても、雇用関係が継続している限り、会社は社会保険料の事業主負担分を支払い続ける必要があります。健康保険料や厚生年金保険料は、労働者と会社が折半で負担する仕組みになっており、休職中で給与が支払われていない場合でも、会社側の負担は継続します。

例えば、標準報酬月額が30万円の労働者の場合、会社が負担する社会保険料は月額約4.5万円~4.7万円程度になります(40歳未満の場合約4.5万円、40歳以上で介護保険料を含む場合約4.7万円)。休職期間が数ヶ月に及ぶと、会社にとっては一定の経済的負担となるため、これを避けたいという思惑から退職を促すケースがあります。

ただし、これは会社の経営判断の問題であり、法律で認められた休職制度を利用しようとする労働者に非はありません

復帰時期が不明確で業務調整が難しい事情

休職する労働者の復帰時期が明確でない場合、会社は代替要員の確保や業務の再配分に苦慮することがあります。特に、人員に余裕がない中小企業では、一人が長期間休むことで業務に支障が出る可能性があり、そのため早期に退職してもらい、新しい人材を採用したいと考えるケースがあります。

また、休職からの復帰後に、以前と同じ業務ができるかどうかが不透明な場合、会社は配置転換や業務調整を検討する必要があります。こうした手続きの煩雑さを避けるために、退職を促す発言につながることがあります。しかし、業務調整の困難さは会社が解決すべき課題であり、労働者に退職を強要する正当な理由にはなりません

会社の事情であり、あなたの責任ではない

ここまで説明してきた会社側の事情は、あくまで経営上の都合や管理の手間に関するものです。あなたが体調を崩したことや、休職制度を利用しようとすることは、労働者として当然の権利であり、決して会社に迷惑をかけている行為ではありません。

むしろ、労働者の健康を守り、適切な療養機会を提供することは、使用者の義務として法律でも求められているとされています。会社の都合を理由に、あなたの権利が侵害されることがあってはなりません。もし「会社に迷惑をかけている」と感じて自分を責めているのであれば、それは誤った考え方です。

あなたには休職する権利があり、会社はその権利を尊重する義務があるということを、しっかりと認識してください。

「休職するなら退職しろ」と言われたときの対処法

「休職するなら退職しろ」と言われた場合、冷静に、そして適切に対処することが重要です。感情的になったり、その場で判断を迫られて退職に同意してしまうと、後から取り消すことが難しくなる可能性があります。

ここでは、あなたの権利を守るための具体的な対処法を段階的にご紹介します。

まずは発言の記録を残すことが重要

「休職するなら退職しろ」という発言があった場合、まず最初に行うべきことは、その発言を正確に記録することです。なぜなら、後々パワハラや不当な退職強要として会社に責任を追及する際に、発言の証拠が非常に重要になるからです。

記録すべき内容
  • 発言があった日時
  • 場所
  • 発言者の氏名
  • 発言内容を詳細にメモ
  • 可能であれば録音

日本の裁判実務では、当事者の一方が録音した会話であっても、証拠として認められることが一般的です。また、メールやチャットで退職を促すメッセージが送られてきた場合は、必ずスクリーンショットを保存し、削除されないようにしてください。これらの記録は、労働基準監督署や弁護士に相談する際の重要な資料となります

人事部や労働基準監督署に相談する窓口

上司から不適切な発言があった場合、まずは会社の人事部や相談窓口に報告することを検討してください。会社によっては、ハラスメント相談窓口が設置されており、第三者的な立場で状況を調査してくれる場合があります。上司の発言が個人的な判断によるものであれば、人事部が適切に対処してくれる可能性があります。

  • 最寄りの労働基準監督署の労働相談コーナー(専門相談員が無料対応)
  • 都道府県労働局の総合労働相談コーナー(パワハラ・退職強要の相談受付)
  • 会社に対する指導や是正勧告を求めることも可能

もし社内での解決が難しい場合や、会社全体でこのような対応をしている場合には、外部の公的機関に相談することが有効です。

退職する意思がないことを明確に伝える方法

「休職するなら退職しろ」と言われた場合、あなたに退職の意思がないのであれば、そのことを明確に、そして記録に残る形で伝えることが重要です。なぜなら、曖昧な態度をとると、会社側が「退職に同意した」と解釈する可能性があるからです。

具体的には、「私は退職する意思はありません。就業規則に基づいて休職制度を利用したいと考えています」という内容を、書面やメールで上司および人事部に伝えてください。口頭だけでなく、文書として残すことで、後々「言った・言わない」のトラブルを避けることができます。

もし上司が繰り返し退職を迫ってくる場合には、「これ以上の退職勧奨はパワハラに該当すると考えます」と明確に伝えることも、自分の意思を守るために有効な手段です。

弁護士への相談が必要になるケースとは

状況によっては、労働問題に詳しい弁護士に相談することを検討すべきケースもあります。

弁護士相談を検討すべきケース
  • 会社が休職を認めず退職を強要し続ける場合
  • 不当な退職勧奨が繰り返される場合
  • すでに退職届を提出してしまったが取り消したい場合

必要に応じて弁護士に依頼することで、法的観点からの助言を受けるなど、代理人として対応してもらうことも可能です。

多くの法律事務所では、初回相談を無料または低額で受け付けていますし、法テラス(日本司法支援センター)を利用すれば、経済的な余裕がない場合でも法的支援を受けられる制度があります。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも、あなたの権利を守るための重要な選択肢です。

休職と退職、どちらを選ぶべき?判断基準を解説

「休職するなら退職しろ」と言われた状況でなくても、休職と退職のどちらを選ぶべきか迷っている方は多いでしょう。どちらにもメリットとデメリットがあり、あなたの状況や将来の希望によって最適な選択は異なります

ここでは、客観的な判断材料を提供しますので、ご自身の状況と照らし合わせて検討してみてください。

休職を選んだ場合のメリットとデメリット

休職を選択する最大のメリットは、雇用関係を維持しながら療養に専念できることです。休職中は給与の支払いが停止または減額されることが一般的ですが、健康保険から傷病手当金を受給できる可能性があります。

傷病手当金は、全ての受給要件を満たし健康保険組合の審査を通過した場合、標準報酬月額の約3分の2を最長1年6ヶ月間受け取れる制度です。例えば、標準報酬月額が30万円の場合、1日あたり約6,667円(月額換算で約20万円相当)となります。※実際の支給額・支給可否は健康保険組合の審査により決定されます。

休職のメリット・デメリット

メリット

  • 雇用関係を維持しながら療養できる
  • 傷病手当金を受給できる可能性がある
  • 復職する選択肢が残されている

デメリット

  • 収入が傷病手当金のみとなり経済的に厳しくなる可能性
  • 復職時に以前と同じ業務ができるかという不安
  • 休職期間が長引くと職場復帰へのハードルが高くなる

また、休職後に復職する選択肢が残されているため、療養後に同じ職場に戻りたいと考えている場合には有効な選択肢です。

退職を選んだ場合のメリットとデメリット

退職を選択する最大のメリットは、ストレスの原因となっている職場環境から完全に離れることができ、心身の回復に専念できることです。特に、パワハラや長時間労働が原因で体調を崩した場合、その環境から離れることが療養の第一歩となります。

また、退職後は新しいキャリアを自由に選択できるため、これまでとは異なる業界や職種に挑戦する機会にもなります。

退職のメリット・デメリット

退職のメリット

  • ストレスの原因から完全に離れることができる
  • 心身の回復に専念できる
  • 新しいキャリアを自由に選択できる

退職のデメリット

  • 退職後すぐに収入が途絶える
  • 自己都合退職の場合、失業保険に原則1ヶ月の給付制限期間があります(ただし、過去5年以内に2回以上自己都合退職を繰り返している場合は3ヶ月)
  • 職歴に空白期間が生じることで次の転職活動に影響が出る可能性

失業保険(基本手当)を受給できる場合もありますが、自己都合退職の場合は、離職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上必要であり、さらに申請から原則1ヶ月の給付制限期間があります。

ただし、過去5年以内に2回以上自己都合退職を繰り返している場合は3ヶ月の給付制限期間となります。職歴に空白期間が生じることで、次の転職活動に影響が出る可能性も考慮する必要があります。

あなたの状況に合わせた判断チェックリスト

休職と退職のどちらを選ぶべきか、以下のチェックリストを参考に考えてみてください。

休職が適している可能性のあるケース

  • 体調不良が一時的なもので、療養すれば回復の見込みがある
  • 職場環境や人間関係に大きな問題はなく、復職後も働き続けたい
  • 経済的な理由で、傷病手当金を受給しながら療養したい
  • 会社の休職制度が整っており、復職支援体制がある

退職を検討した方がよいケース

  • パワハラや長時間労働など、職場環境に根本的な問題がある
  • 復職しても同じストレスが再発する可能性が高い
  • すでに退職を決意しており、新しい環境で再スタートしたい
  • 休職期間中も職場との関わりがストレスになる

最終的な判断は、あなた自身の心身の状態、経済状況、将来のキャリアプランを総合的に考慮して行う必要があります。一人で決断することが難しい場合は、家族や信頼できる友人、医師、キャリアカウンセラーなどに相談することも大切です。

休職を選んだ方がいい人の特徴

休職という選択肢は、すべての人に適しているわけではありませんが、特定の状況や条件下では非常に有効な手段となります。ここでは、休職を選択することで、より良い結果につながる可能性が高い人の特徴をご紹介します。

一時的な体調不良やストレスが原因の場合

体調不良の原因が過労や一時的なストレスによるものであり、適切な休養をとれば回復の見込みがある場合は、休職が適している可能性が高いです。例えば、繁忙期の長時間労働が続いて疲労が蓄積している場合や、特定のプロジェクトのストレスで一時的に体調を崩している場合などが該当します。

このような状況では、数週間から数ヶ月の休職期間を利用して心身を休めることで、本来の健康状態を取り戻し、職場に復帰できる可能性があります。医師からも「休養が必要」という診断が出ている場合は、無理に働き続けるよりも、休職制度を活用して適切に療養することが、長期的なキャリアにとってもプラスになります。

職場環境の改善が期待できる場合

現在の職場環境に問題があっても、それが改善される見込みがある場合は、休職して様子を見るという選択肢も考えられます。例えば、パワハラの原因となっていた上司が異動になる予定がある、会社が労働環境の改善に取り組み始めている、人員補充が予定されているなどの状況です。

休職期間中に会社の状況が変わり、復職後の環境が改善されていれば、同じ職場で働き続けることも可能です。人事部や産業医と相談しながら、復職に向けた環境調整を依頼することもできますので、完全に退職を決断する前に、改善の可能性を探ることも一つの方法です。

傷病手当金を受給しながら療養したい場合

経済的な理由から、収入を完全に失うことなく療養したいと考えている場合、休職して傷病手当金を受給するという選択肢があります。傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けない場合に、健康保険から支給される給付金で、条件を満たせば標準報酬月額の約3分の2を最長1年6ヶ月間受け取ることができます。

傷病手当金の受給条件
  • 連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいること
  • 療養のために労務不能であること
  • 給与の支払いがないこと

退職してしまうと、この制度を利用できなくなる可能性があるため、経済的な安定を保ちながら療養したい場合は、休職という選択が有利になります。

退職を選んだ方がいい人の特徴

一方で、休職よりも退職を選択した方が、長期的に見て心身の健康やキャリアにとってプラスになるケースもあります。ここでは、退職という決断が適している可能性が高い人の特徴を解説します。

パワハラや長時間労働が日常的な職場の場合

職場でパワハラや長時間労働が日常的に行われており、それが構造的な問題として定着している場合は、休職よりも退職を選択した方が賢明かもしれません。なぜなら、こうした環境では、一時的に休職して療養しても、復職後に再び同じストレスにさらされる可能性が高いからです。

特に、会社全体の文化として長時間労働が当たり前になっている場合や、経営層がハラスメント対策に消極的な場合は、環境改善を期待することが難しいといえます。このような状況では、自分の健康を守るために早めに退職を決断し、より健全な職場環境を求めて転職活動をすることが、長期的なキャリアと健康にとって最善の選択となる可能性があります。

復職してもストレスが再発する可能性が高い場合

休職して一時的に体調が回復したとしても、復職すれば再びストレスにさらされ、体調を崩す可能性が高いと感じている場合は、退職を検討する価値があります。特に、職場の人間関係や業務内容そのものがストレスの原因である場合、環境を変えない限り根本的な解決は難しいでしょう。

医師からも「現在の職場環境では再発のリスクが高い」と指摘されている場合や、過去に休職と復職を繰り返している場合は、思い切って環境を変えることを検討してください。

休職を繰り返すことは、心身への負担が大きいだけでなく、キャリア上も停滞を招く可能性があります。新しい環境で心機一転、再スタートを切ることが、あなたの将来にとってより良い選択になるかもしれません。

新しい環境で再スタートしたい気持ちが強い場合

すでに現在の職場への未練がなく、新しい環境で再スタートしたいという気持ちが強い場合は、退職という選択が自然です。休職期間中も、職場との関わりが続くことがストレスになる人もいますし、復職を前提とした休職では心から療養に専念できないこともあります。

退職することで、職場との関係を完全に断ち切り、精神的な負担から解放されることができます。療養後には、これまでの経験を活かして新しいキャリアに挑戦することも、全く異なる業界で新たなスタートを切ることも可能です。あなたの気持ちが明確に退職に傾いているのであれば、その直感を信じて前に進むことも大切な選択です。

休職したほうがいいサインとは?見逃さないでほしい症状

体調不良を感じていても、「このくらいなら大丈夫」「休むほどではない」と我慢してしまう人は少なくありません。

しかし、心身が発するサインを無視して働き続けると、症状が悪化し、回復に長い時間がかかってしまう可能性があります。ここでは、休職を検討すべき重要なサインをご紹介します。

朝起きられない・涙が止まらないなどの身体症状

朝、目覚ましが鳴っても起き上がれない、ベッドから出られないという状態が続いている場合は、心身が限界を迎えているサインかもしれません。また、特に悲しい出来事がないのに涙が止まらない、感情のコントロールが難しくなっているという症状も、精神的な疲労が深刻化している証拠です。

注意すべき身体症状
  • 常に疲労感がある
  • 食欲がない
  • 夜眠れないまたは過度に眠ってしまう
  • 頭痛やめまいが続く

これらの症状は、うつ病や適応障害などの精神疾患の初期症状である可能性もあり、放置すると症状が悪化する恐れがあります。早めに医療機関を受診することをお勧めします。

仕事のことを考えると動悸や吐き気がする

出勤前や休日明けに、仕事のことを考えただけで動悸や吐き気、冷や汗などの身体反応が出る場合は、職場がストレスの原因となっている可能性が高いです。また、職場に向かう電車やバスの中で気分が悪くなる、会社の建物が見えると足が動かなくなるといった症状も、心身がストレスに耐えられなくなっているサインです。

このような状態は、「出勤困難症」とも呼ばれ、適応障害やうつ病の症状の一つとして認識されています。無理に出勤を続けると、症状がさらに悪化し、長期的な療養が必要になる可能性があります。自分の心身が発するサインを真剣に受け止め、早めに休養を取ることが、回復への近道です。

医師から診断書が出ている場合は休職を検討

心療内科や精神科を受診し、医師から「休養が必要」という診断書が出ている場合は、その助言に従って休職を検討することを強くお勧めします。診断書は、医学的な見地からあなたの状態が労務不能であることを証明する重要な書類です。

診断書には、病名や症状、必要な休養期間などが記載されており、これを会社に提出することで休職手続きを進めることができます。多くの会社では、病気による休職には医師の診断書が必須とされており、診断書があれば会社も休職を認めざるを得ません。

また、診断書があることで、傷病手当金の申請もスムーズに進められます。自分の体調を最優先に考え、医師の助言に従って適切な休養を取ることが大切です。

休職中にそのまま退職することは可能?手続きの流れ

休職期間中に「やはり退職したい」と考えが変わることもあるでしょう。療養中に今後のキャリアについてじっくり考えた結果、退職という結論に至ることは自然なことです。

ここでは、休職中の退職が法律上可能かどうか、また具体的な手続きの流れについて解説します。

休職中の退職は法律上認められている

結論から言うと、休職中であっても退職することは法律上まったく問題ありません。民法第627条では、期間の定めのない雇用契約(正社員など)の場合、労働者はいつでも退職の申し出をすることができ、その申し出から2週間が経過すれば退職が成立すると定められています。

つまり、休職中であっても、退職の意思を会社に伝えれば、法律上は2週間後に雇用契約が終了するということです。会社の就業規則に「休職中は退職できない」と記載されていても、それが民法に反している場合は無効となります。

ただし、会社の就業規則で「退職の1ヶ月前に申し出る」といった規定がある場合は、円満退職のためにもそのルールに従うことが望ましいでしょう。

退職の意思を伝えるタイミングと方法

休職中に退職を決意した場合、できるだけ早めに会社に意思を伝えることが、その後の手続きをスムーズに進めるポイントです。伝え方としては、まず直属の上司または人事部に連絡を取り、退職の意思があることを伝えてください。体調によっては直接会って伝えることが難しい場合もあるため、電話やメールで伝えることも可能です。

STEP
上司または人事部に連絡

電話、メール、または直接面談で退職の意思を伝える

STEP
退職日を明示

「○月○日をもって退職させていただきたい」と具体的な日付を伝える

STEP
退職届を書面で提出

退職日、退職理由(「一身上の都合により」)、提出日、氏名を記載し、郵送も可能

退職の意思を伝える際は、具体的な日付を明示し、書面で記録に残すことが重要です。

必要な書類と健康保険・年金の手続き

退職が決まったら、会社から受け取る必要がある書類がいくつかあります。

会社から受け取る必要書類
  • 離職票
  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票
  • 年金手帳(会社に預けている場合)

これらの書類は、失業保険の申請や次の転職先での手続きに必要となるため、確実に受け取るようにしてください。

また、健康保険については、退職後は会社の健康保険から脱退することになります。その後の選択肢としては、国民健康保険に加入する、家族の扶養に入る、または会社の健康保険を任意継続する(退職後2年間まで可能)という方法があります。

それぞれメリット・デメリットがあるため、ご自身の状況に応じて選択してください。年金については、厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必要になりますので、退職後14日以内に市区町村の窓口で手続きを行ってください。

適応障害やうつ病で休職する場合に知っておきたいこと

近年、適応障害やうつ病などのメンタルヘルス不調で休職する人が増えています。これらの疾患で休職を考えている場合、知っておくべき重要なポイントがいくつかあります。ここでは、診断書の取得から傷病手当金の受給、復職判断まで、具体的な情報をお伝えします。

診断書があれば業務上の理由として扱われる可能性

適応障害やうつ病の診断書がある場合、それは医学的に労務不能であることを証明する公的な書類となります。診断書には、病名、症状、必要な休養期間(例:「3ヶ月程度の休養を要する」など)が記載されており、これを会社に提出することで休職手続きを進めることができます。

特に、職場のストレスやパワハラが原因で適応障害やうつ病を発症した場合、診断書に「業務上のストレスが原因」と記載してもらうことで、会社側の責任を明確にすることも可能です。診断書を取得する際は、心療内科や精神科を受診し、現在の症状や職場での状況を医師に正直に伝えてください

診断書の発行には数千円程度の費用がかかりますが、休職手続きや傷病手当金の申請には必須の書類です。

休職期間中に受給できる傷病手当金の条件

適応障害やうつ病で休職している場合、条件を満たせば健康保険から傷病手当金を受給できます。傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けない場合に、生活を支えるための給付金です。

傷病手当金の受給条件(全て満たす必要あり)
  1. 病気やケガで療養中であること
  2. 療養のため労務不能であること
  3. 連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいること
  4. 給与の支払いがないこと

支給額は、支給開始日から遡って12ヶ月間の各標準報酬月額の平均額を30日で割り、その3分の2となります。例えば、標準報酬月額が30万円の場合、1日あたり約6,667円、月額で約20万円の支給を受けられる計算です。支給期間は、支給開始日から最長1年6ヶ月間です。

申請には、医師の意見書、会社の証明、本人の申請書などが必要となるため、会社の人事部や健康保険組合に手続き方法を確認してください。

復職判断は医師と相談しながら慎重に

休職期間が終わりに近づくと、復職するかどうかの判断を迫られます。この判断は非常に重要であり、焦って復職して再び体調を崩すことがないよう、医師と十分に相談しながら慎重に行うことが大切です。医師は、あなたの症状の改善具合、睡眠や食欲の状態、日常生活の活動レベルなどを総合的に評価して、復職可能かどうかを判断します。

復職の際は、いきなりフルタイムで働くのではなく、短時間勤務や業務内容の調整などの配慮を会社に依頼することも検討してください。産業医がいる会社では、産業医面談を通じて復職プランを相談できます。もし、休職期間が満了しても復職が難しいと医師が判断した場合は、休職期間の延長を申し出るか、退職を検討することも必要になります。あなたの健康が最優先ですので、無理な復職は避けるようにしてください

休職中の過ごし方で気をつけたいポイント

休職期間をどのように過ごすかは、回復の速度や質に大きく影響します。休職中は自由な時間が増えますが、その使い方を間違えると、かえって罪悪感やストレスを感じてしまうこともあります。ここでは、休職中の適切な過ごし方についてアドバイスします。

「休職中に遊ぶ」ことへの誤解を解く

「休職中に遊んでいる」という言葉を耳にすることがあるかもしれませんが、これは大きな誤解です。休職は病気やケガを治療し、心身を回復させるための期間であり、単なる休暇ではありません。ただし、「療養=家でじっとしている」という考え方も必ずしも正しくありません。

医師の指導のもとで、散歩や軽い運動、趣味の活動などを取り入れることは、回復を促進するために有効な場合があります。例えば、うつ病の治療においては、適度な運動が症状改善に効果的であるという研究結果もあります。重要なのは、医師の助言に従い、自分の体調と相談しながら、無理のない範囲で活動することです。

周囲の目を気にして過度に自分を制限する必要はありませんが、SNSなどで派手な活動を公開することは、誤解を招く可能性があるため慎重に判断してください。

療養に専念することが最優先

休職期間中は、何よりもまず療養に専念することが最優先です。仕事のことを考えて不安になったり、復職を焦ったりすることは、回復を遅らせる原因になります。まずは、医師の指示に従って服薬を続け、定期的に通院し、十分な睡眠と栄養のある食事を心がけてください。

休職中に心がけたいこと
  • 医師の指示に従った服薬の継続
  • 定期的な通院
  • 十分な睡眠時間の確保
  • 栄養バランスの取れた食事
  • 規則正しい生活リズムの維持

また、生活リズムを整えることも重要です。休職中は朝起きる必要がないため、夜更かしや昼夜逆転の生活になりがちですが、これは回復を妨げる要因となります。毎日決まった時間に起きて、日光を浴び、軽い運動を取り入れるなど、規則正しい生活を維持することが、復職への準備にもつながります。焦らず、自分のペースで回復に向けて進んでいくことが大切です。

定期的な通院と回復状況の記録が大切

休職期間中は、医師の指示に従って定期的に通院し、症状の経過を報告することが重要です。自己判断で通院をやめたり、薬の服用を中断したりすることは、症状の悪化や再発のリスクを高めます。医師は、あなたの症状の変化を継続的に観察し、必要に応じて治療方針を調整してくれます。

また、自分自身で回復状況を記録しておくことも有効です。日記やメモに、その日の気分、睡眠時間、食欲、活動内容などを記録することで、回復の傾向を客観的に把握できます。

これらの記録は、医師に症状を説明する際にも役立ちますし、復職可否を判断する際の重要な材料にもなります。焦らず、着実に回復に向けて進んでいることを実感できれば、心の安定にもつながります

よくある質問|休職と退職に関する疑問にお答えします

休職や退職に関しては、多くの方が同じような疑問や不安を抱えています。ここでは、特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。あなたの疑問解決の参考にしてください。

休職中にそのまま退職してもいいですか?

はい、休職中であっても退職することは法律上まったく問題ありません。民法第627条により、期間の定めのない雇用契約では、退職の申し出から2週間が経過すれば退職が成立します。休職中であっても、この権利は変わりません。

ただし、円満に退職手続きを進めるためには、会社の就業規則で定められた退職の申し出期間(多くの場合、1ヶ月前)を守ることが望ましいでしょう。退職の意思を伝える際は、直属の上司または人事部に連絡し、書面で退職届を提出してください。体調が優れない場合は、郵送やメールでの連絡も可能です。

辞める前提で休職してもいいですか?

法律上は、退職を前提として休職することを禁止する規定はありません。しかし、休職制度は本来、療養後に復職することを前提とした制度です。そのため、最初から退職を決めているのであれば、休職ではなく直接退職の手続きを取る方が、会社との関係を円滑に保つことができます。

一方で、休職期間中にゆっくり考えた結果、退職を決意するというケースは十分にあり得ることです。休職を開始する時点では復職の意思があったものの、療養中に今後のキャリアについて考えた結果、退職という結論に至ることは自然なことであり、問題ありません。

休職と退職、どちらが経済的に得ですか?

経済的な観点では、一概にどちらが得とは言えず、個人の状況によって異なります。休職の場合、条件を満たせば傷病手当金を受給できるため、標準報酬月額の約3分の2を最長1年6ヶ月間受け取ることができます。

一方、退職した場合は、雇用保険の基本手当(失業保険)を受給できる可能性がありますが、自己都合退職の場合は原則1ヶ月の給付制限期間があり(過去5年以内に2回以上自己都合退職を繰り返している場合は3ヶ月)、すぐには受給できません。​

休職したほうがいいサインはありますか?

はい、いくつかの重要なサインがあります。朝起きられない、ベッドから出られないという状態が続いている場合、特に理由なく涙が止まらない、感情のコントロールが難しい場合は、早めに休職を検討すべきサインです。また、仕事のことを考えると動悸や吐き気がする、会社に向かう途中で気分が悪くなる、常に強い疲労感があるといった症状も危険信号です。

すぐに休職を検討すべき症状

  • 食欲がない、夜眠れない、または過度に眠ってしまう
  • 頭痛やめまいが続く
  • 出勤時に身体反応(動悸、吐き気など)が出る
  • 医師から診断書が出ている

このような症状がある場合は、まず医療機関(心療内科や精神科)を受診し、医師の診断を受けることをお勧めします。医師から診断書が出た場合は、その助言に従って休職を検討してください

休職を申請したら退職を迫られた場合は?

休職を申請したことに対して退職を迫られた場合、まずその発言に従う法的義務はないことを認識してください。あなたには休職する権利があり、退職を強要する行為はパワハラに該当する可能性があります。

対処
発言を記録する

日時、場所、発言者、具体的な内容をメモに残し、可能なら録音する

対処
退職の意思がないことを明確に伝える

「私は退職する意思はありません。就業規則に基づいて休職制度を利用したいと考えています」と書面やメールで伝える

対処
外部機関に相談する

労働基準監督署、総合労働相談コーナー、または弁護士に相談する

それでも退職を迫られる場合は、労働基準監督署や弁護士に相談することを検討してください。あなたの権利を守るために、適切な機関の力を借りることは非常に有効な手段です。

退職や休職で悩んでいる方へ|退職リトリート

雇用保険制度に関する情報提供サービス

退職や休職に関する悩みは、一人で抱え込むと不安が大きくなるばかりです。退職リトリートでは、社会保険労務士の監修のもと作成された情報に基づき、雇用保険制度や給付金に関する一般的な情報を提供しています。

特に、退職後に受給できる可能性のある給付金制度については、手続きが複雑で必要書類も多いため、多くの方が途中で諦めてしまうケースが見られます。退職リトリートでは、制度に関する情報提供と一般的な手続きの流れについてご案内いたします。

また、公式LINEから無料で相談を受け付けており、あなたのご状況をヒアリングした上で、活用できる可能性のある制度についてご案内しています。オンライン面談を通じて、給付金制度の仕組みや申請の流れについて詳しくご説明いたします。

※実際の手続きはご本人様がハローワークで行っていただく必要があります。受給の可否及び金額は、ハローワークでの審査により決定されます。

失業保険 総額シミュレーター

失業保険 総額シミュレーター

※計算は概算です。
正確な金額・給付日数とは異なる場合があります。

下記の表で給付日数を確認したら、上記のシミュレーターに「年収」「年齢」「給付日数」を入力してください。失業保険の基本手当日額と受給総額が自動でシミュレーションできます。

自己都合退職の場合
雇用保険の加入期間 給付日数
1年以上10年未満 90日
10年以上20年未満 120日
20年以上 150日
※表は横スクロールできます
会社都合退職・特定理由離職者の場合
雇用保険の加入期間
年齢 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
29歳以下 90日 90日 120日 180日
30~34歳 90日 120日 180日 210日 240日
35~44歳 90日 150日 180日 240日 270日
45~59歳 90日 180日 240日 270日 330日
60~64歳 90日 150日 180日 210日 240日
※表は横スクロールできます

※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。

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この記事を書いた人

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