残業が月45時間超の状態が連続3か月以上続き、その状況を理由に離職した場合、一定要件のもとでハローワークにより特定受給資格者と判断される可能性があります。自己都合退職に課される給付制限は原則かかりませんが、待期期間(7日間)および失業認定手続は必要です。また、所定給付日数が延長される場合があります。
「証拠がなくても申請できるの?」「自分から辞めたら自己都合になってしまう?」「離職票の記載内容を確認するには?」この記事では、そんな疑問にお答えしながら、認定の要件・証拠の集め方・ハローワークでの手続きの流れをわかりやすく解説します。
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。
- 残業45時間3ヶ月連続で「会社都合相当」と認定される制度の仕組みと根拠
- 会社都合と認定されると失業保険の給付制限・受給日数がどう変わるか
- 45時間ちょうどや2ヶ月連続など「惜しいケース」が認められるかの境界線
- 特定受給資格者として認定されるために今日から始める証拠の集め方
- 離職票に「自己都合」と書かれた場合のハローワークへの対処手順
残業45時間が3ヶ月連続すると「会社都合退職」になる制度の仕組み
36協定が定める月45時間上限と「3ヶ月連続超過」が問題になる理由

まず押さえておきたいのは、月45時間という残業時間の上限が、単なる会社のルールではなく法律に根拠を持つ基準だということです。労働基準法第36条に基づき、会社が時間外労働を命じるには労使間で「36(サブロク)協定」を締結・届け出る必要があります。
厚生労働省の定める限度基準では、この36協定では原則として月45時間・年360時間が上限です。臨時的な特別の事情がある場合には特別条項により例外が認められることがありますが、その場合も法定上限があります。
この月45時間という水準は、健康被害リスクの観点からも国が「長時間労働の警戒ライン」として位置づけているものです。そのため、この基準を継続的に超えた状態で働き続けることを余儀なくされた労働者については、たとえ労働者自身が退職の申し出をした形であっても、実質的には会社側の責任による離職と評価される場合があります
。厚生労働省が定める「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」において、過度な時間外労働を理由とする離職は特定受給資格者に該当し得ると明示されています。
制度上「特定受給資格者」と判断される根拠と法的な位置づけ
特定受給資格者とは、倒産・解雇などのように再就職の準備をする時間的余裕もなく離職を余儀なくされた方を指し、雇用保険法の仕組みのなかで通常の自己都合退職よりも手厚い給付を受けられるよう設計されています。
長時間残業による離職がこの範囲に含まれる根拠は、厚生労働省の「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」に具体的に定められており、「離職直前の6ヶ月のうち、いずれか連続する3ヶ月以上で月45時間を超える時間外労働が行われたことにより離職した者」が対象として挙げられています。
つまり、この要件を満たした状態で退職した場合、ハローワークの判断を経て特定受給資格者と認定される可能性があります。重要なのは、これが「会社が会社都合と認めた」かどうかに左右されるものではないという点です。
あくまでもハローワークが事実関係を確認したうえで判断するものであり、労働者側が適切に事実を示すことができれば、一定の要件のもとで認定を受けられる可能性があります。
45時間ちょうど・2ヶ月連続では認められない?境界線の考え方
制度上の要件を正確に理解しておくことは、自身の状況を正しく評価するうえでとても重要です。「月45時間超」という表現が示すとおり、45時間ちょうどでは要件を満たさず、45時間を1分でも超えていることが条件となります。
また、「いずれか連続する3ヶ月以上」という要件も厳格で、連続した3ヶ月にわたって月45時間超の残業が続いていることが必要です。2ヶ月連続で超えていても間の月に45時間以下となった場合は、その時点で連続性がリセットされる考え方が一般的です。
一方で、「月45時間超・3ヶ月連続」以外にも特定受給資格者に該当する長時間労働の基準があります。以下の基準も合わせて確認してみてください。
- いずれか1ヶ月の残業が100時間を超えた場合
- いずれか連続する2ヶ月以上の期間を平均して月80時間を超えていた場合
自身の状況が月45時間の基準に届かない場合でも、これらの別基準に該当する可能性がありますので、合わせて確認してみてください。
会社都合退職と自己都合退職で変わる3つのポイント
特定受給資格者と認定されるかどうかは、退職後の生活設計に大きな影響を与えます。具体的にどの点が変わるのかを整理しておきましょう。
給付制限なしで失業保険をすぐに受け取れる
通常、自己都合退職の場合はハローワークへの申請後に1ヶ月間(2025年4月1日施行の雇用保険法改正により、従来の2ヶ月から短縮。5年間で3回目以降の自己都合退職の場合は3ヶ月間)の給付制限期間が設けられており、その間は失業給付を受け取ることができません。
一方、特定受給資格者と認定された場合はこの給付制限が適用されず、待期期間(7日間)を経た後に給付が開始される仕組みとなっています。退職直後の収入が途絶えた時期に、早期の給付開始は生活の安定という観点から非常に重要です。
給付日数が最大で大幅に増える(条件により異なりますが90〜330日)
失業給付の受給日数は、離職理由・被保険者期間・年齢によって決まります。自己都合退職の場合の所定給付日数と、特定受給資格者に該当する場合の日数の違いは以下のとおりです。
- 被保険者期間10年未満:90日
- 被保険者期間10年以上20年未満:120日
- 被保険者期間20年以上:150日
これに対し、特定受給資格者に該当する場合は年齢・被保険者期間に応じてより多くの日数が設定されており、一般的なケースとして、例えば被保険者期間1年以上5年未満・30歳未満の方であれば90日、45歳以上60歳未満・20年以上の方であれば330日など、条件によって大幅に異なります。
個人の状況により受給日数は変わりますので、詳細はハローワークでご確認ください。
失業保険 総額シミュレーター
正確な金額・給付日数とは異なる場合があります。
下記の表で給付日数を確認したら、上記のシミュレーターに「年収」「年齢」「給付日数」を入力してください。失業保険の基本手当日額と受給総額が自動でシミュレーションできます。
| 雇用保険の加入期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職・特定理由離職者の場合
| 雇用保険の加入期間 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
| 29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35~44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60~64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。
解雇・退職勧奨が認められる場合に解雇予告手当が論点になることがある
解雇予告手当は正式な「解雇」に対して発生するものであり、自主退職の形をとった場合には原則として請求できません。長時間残業を理由とした退職であっても、自ら退職届を提出した場合は原則対象外となります。
ただし、会社から実質的な退職勧奨があったと認められる場合は、解雇予告手当の論点が生じることがあります。状況によって判断が大きく異なりますので、労働基準監督署または弁護士へのご相談をご検討ください。
残業45時間3ヶ月連続で会社都合退職が認められる4つの要件
特定受給資格者として認定されるには、以下の4つの要件を正しく理解しておくことが重要です。
それぞれの要件を、自身の状況に照らし合わせながら確認してみてください。
要件①「いずれか連続する3ヶ月以上・月45時間超」の具体的な確認方法
まず確認すべきは、離職直前の6ヶ月間のなかに「45時間超の残業が連続して3ヶ月以上続いた期間」があるかどうかです。ここでいう残業時間とは、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた時間外労働のことを指し、会社が定める所定労働時間ではありません。
たとえば所定労働時間が7時間の会社に勤める場合、1日1時間の時間外労働が発生しても、法定労働時間を超えるのは週1時間分のみとなるケースがある点に留意が必要です。
確認の手順としては、以下のステップで進めることをおすすめします。
給与明細・タイムカード・出退勤記録をもとに、各月の実際の労働時間を確認します。
法定労働時間(1日8時間・週40時間)を基準に、実際の法定時間外労働時間を月ごとに計算します。
3ヶ月以上連続して月45時間を超えていた期間が離職直前6ヶ月以内にあるかどうかを確認します。
要件②6回リセットの考え方と4ヶ月連続・2ヶ月おきの場合の扱い
36協定上、月45時間を超える時間外労働は年6回までしか認められていません。これは「年6回リセット」ではなく、同一の36協定期間(通常は1年間)のなかで月45時間超の月が6ヶ月を超えてはいけないという上限規制です。
特定受給資格者の判定においては、離職直前の6ヶ月間のなかで「連続する3ヶ月以上」の要件を満たすかどうかで判断されます。
- 4ヶ月連続で月45時間超→ 要件を満たす可能性あり
- 2ヶ月超過・1ヶ月45時間以下・2ヶ月超過(飛び石状態)→ 連続性の要件を満たさず、この基準では対象外となる可能性が高い
- 飛び石状態でも「連続2〜6ヶ月平均80時間超」の基準→ 別基準への該当を確認することを推奨
45時間・3ヶ月連続の基準に該当しない場合でも、別の基準に照らして確認することが大切です。
要件③管理職・みなし残業・裁量労働制の場合に注意すべき点
管理職(労働基準法上の「管理監督者」)は、原則として労働基準法の時間外・休日労働規制の適用外となるため、会社から残業代の支払い対象外とされているケースが多いです。
しかし、特定受給資格者の判定に必要な「実際の時間外労働時間」の算出においては、管理監督者であっても実態として長時間の労働が発生していたかどうかが問われます。名ばかり管理職と実態が伴わない形で管理職とされているケースでは、労働基準監督署への相談を通じて実態を争う余地がある場合もあります。
みなし残業(固定残業代制度)や裁量労働制の場合も、実際の労働時間が制度上みなされた時間を超えていた場合は、その差分が時間外労働として評価される可能性があります。
重要なのは、労働実態として月45時間を超える時間外労働が発生していたかどうかという点です。制度上の位置づけにかかわらず、出退勤の記録や業務日誌など実態を示す資料を揃えることが、申請の際には重要になります。
要件④自分から退職届を出した場合でも会社都合と認められるか
「退職届を自分で出してしまったら、もう会社都合にはなれない」と思い込んでいる方も多いのですが、これは正確ではありません。特定受給資格者の認定は、退職の申し出をどちらが行ったかではなく、離職の実態・背景・原因に基づいてハローワークが判断するものです。
月45時間超の残業が3ヶ月以上連続した環境のもとで、やむを得ず退職を決断した場合は、自ら退職届を提出していても特定受給資格者に該当する可能性があります。
ただし、退職の意思表示の経緯や書面の内容が判定に影響することもあります。退職届に「一身上の都合」と記載してしまった場合でも、その後の申し出やハローワークへの実態説明を通じて実態を伝えることは可能です。退職前に可能な限り実態を記録に残しておくことが、その後の手続きをスムーズに進める上でとても重要です。
会社都合退職として認められるために今日から始める証拠保全
証拠保全は、退職を考え始めた瞬間から始めることが最善の選択です。特定受給資格者として認定されるには、過度な時間外労働の事実をハローワークに対して示すことが必要になる場合があります。
どのような資料が有効で、どの順番で集めるべきかを事前に把握しておくことで、いざ手続きが必要になった際にスムーズに対応できます。
残業時間の証明として有効な資料と集める優先順位
証拠として有効とされる資料には優先順位があります。まず第一に「客観的な記録」を優先的に収集することをおすすめします。
- タイムカード・出退勤管理システムの記録(印刷またはスクリーンショット)
- 会社のPCや入退館システムのログ
- 給与明細(残業代の支払い実績が確認できるもの)
次に有効とされるのが、業務内容と労働時間の両方を示せる資料です。上司や同僚とのメール・チャットのやり取り(深夜・早朝の業務連絡が確認できるもの)は、実際の労働実態を補完するうえで特に効果的です。
業務日誌や週次報告書、クライアントへのメール送信時刻なども合わせて収集しておきましょう。これらを組み合わせることで、ハローワークに対して客観的な事実として残業の実態を示しやすくなります。
タイムカードや給与明細がない場合でもできる記録の残し方
会社がタイムカードを設置していない、あるいは記録へのアクセスが難しいというケースでも、諦める必要はありません。スマートフォンのメモアプリやカレンダーに毎日の出勤・退勤時刻を記録していくことは、証拠としての一定の信頼性を持ちます。
また、業務で使用するパソコンのシャットダウン・起動時刻は、会社支給のPCであれば社内のシステム管理ログに記録されている場合があるため、退職前に確認・取得を試みることをおすすめします。就業規則、守秘義務、個人情報保護、社内ルールに反しない範囲で、本人が適法に閲覧・保管できる記録のみ確認してください。顧客情報や営業秘密の持出しは避けてください。
- スマートフォンのメモ・カレンダーへの日々の出退勤時刻の記録
- 会社支給PCのシャットダウン・起動ログの取得
- 深夜・早朝に送受信した業務メールの履歴
- 業務に関するLINE・チャットツールへの返信履歴
- 社外からアクセスしたVPN・システムのログイン記録
こうした記録は退職後には取得できなくなるものも多いため、退職を考え始めた段階から早めに収集しておくことが重要です。
在職中に集めるべき理由——退職後では取れなくなる情報がある

退職してしまうと、会社のシステムや社内の書類へのアクセスが物理的に失われます。タイムカードの開示請求や労働時間の記録照会は退職後でも一定の手続きを通じて行うことができますが、スムーズに応じてもらえない場合もあります。
在職中であれば証拠となる情報に自分でアクセスしやすく、収集の選択肢も広いため、できる限り在職中に必要な資料を手元に確保しておくことが賢明です。特に、給与明細は毎月保管しておくことが基本です。
また、残業が常態化していた事実を示す上司とのメールのやり取りや、業務量の多さを示す資料なども、退職後に収集しようとしても難しい場合があります。「退職を考え始めた時点が、証拠収集を始める最善のタイミング」と考え、早めに行動に移してみてください。
失業保険を会社都合で受け取るためのハローワーク手続きの流れ
手続きの流れを事前に把握しておくことで、退職後の不安を大きく減らすことができます。退職後に失業給付を受けるためには、ハローワークへの「求職申込み」と「受給資格の決定」の手続きが必要です。
特定受給資格者としての申請においても、基本的な手続きの流れ自体は一般的な失業給付の手続きと同様ですが、長時間残業の実態を示す資料を準備しておくことが重要なポイントとなります。
特定受給資格者の申請に必要な書類と手続きの順序
ハローワークへの申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 離職票(1・2)
- 雇用保険被保険者証
- マイナンバーカードまたは個人番号確認書類
- 本人名義の銀行口座の通帳
- 証明写真(2枚)
- 残業時間の実態を示す資料(タイムカードのコピー・給与明細など)
手続きの順序は以下のステップで進めます。
退職後、会社から離職票が交付されるのを待ちます。通常は退職後10営業日程度が目安とされていますが、会社によって異なります。届かない場合は会社に催促するか、ハローワークに相談することもできます。
お住まいの管轄ハローワークに必要書類を持参して、求職申込みと受給資格の決定申請を行います。長時間残業の実態を示す資料もあわせて持参しましょう。
特定受給資格者と認定された場合、給付制限なしで待期期間(7日間)後から給付が開始されます。認定日ごとにハローワークへの来所と失業の認定手続きが必要です。
離職票の「離職理由」が自己都合になっていた場合の対応手順
会社が離職票に記載する離職理由が、実態と異なり自己都合扱いになっていることがあります。このような場合でも、ハローワークに申し出ることで実態調査が行われ、特定受給資格者として認定される可能性があります。
離職票の「離職者本人の判断」欄に異議を申し出る意思表示をすることも一つの手段です。
離職票を提出する際に「離職理由に異議がある」旨を担当者に伝え、実態を示す証拠資料(残業時間の記録等)を提出します。
ハローワークが会社側にも事実確認を行います。両者の主張を踏まえたうえで、客観的な証拠をもとに離職理由の最終判定が行われます。
特定受給資格者として認定された場合は、給付制限なしで給付が開始されます。認定されなかった場合でも、不服申し立て(審査請求)という手続きを取ることができます。
失業保険の受給中でも残業代請求は一般的に可能
失業給付を受給しながら未払い残業代の請求を行うことは、制度上一般的に可能です。失業給付は「就労していない期間の生活補償」であり、退職前の未払い賃金(残業代)の請求とは法的性質が異なります。
そのため、ハローワークで失業給付の手続きを進めながら、並行して残業代の未払い請求を行うことも検討してみてください。残業代の請求手段としては、以下の方法が挙げられます。状況に応じて適切な手段を選択することが重要です。
- 労働基準監督署への申告・相談
- 労働審判(裁判所での簡易な解決手続き)
- 弁護士を通じた内容証明郵便の送付・民事上の請求
制度上、賃金請求権は原則として3年間(2020年4月以降の賃金について)が時効とされていますので、退職後も早めに動き出すことが大切です。
会社都合退職に合わせて確認したい解雇予告手当と退職金

長時間残業による退職を検討する際は、失業給付の手続きだけでなく、解雇予告手当や退職金についても自身の状況を確認しておくことが重要です。
見落としがちなこれらの制度を事前に把握しておくことで、退職後の生活設計をより正確に立てることができます。
解雇予告手当が受け取れるケースと計算方法の考え方
解雇予告手当は、会社が労働者を即日解雇する場合に、30日分の平均賃金に相当する金額を支払わなければならないというものです(労働基準法第20条)。長時間残業を理由に自ら退職届を出したケースでは、原則として解雇予告手当の対象にはなりません。
ただし、実質的に会社から退職を強いられた(退職勧奨)と認められる状況では、解雇に準じた扱いが認められる可能性もあり、労働基準監督署や弁護士への相談が選択肢の一つとなります。
計算方法としては、「賃金締切日直前3ヶ月間の賃金総額 ÷ その期間の総暦日数」で算出した平均賃金に、即日解雇の場合は30日を乗じた金額が基本となります。解雇予告手当の額は、平均賃金の算定方法や賃金内訳により異なります。個別事情で大きく変わるため、具体額は労基署や弁護士等に確認してください。
退職金規程による自己都合・会社都合での支給額の違い
退職金の有無や金額は、各社の退職金規程によって定められており、法的な支払い義務は一律にはありません。ただし、退職金規程が存在する会社の多くでは、自己都合退職と会社都合退職とで支給率が異なる設定となっています。
一般的なケースとして、自己都合退職は会社都合退職に比べて支給率が低く設定されることが多く、たとえば勤続10年の場合に会社都合で100万円に相当する退職金が、自己都合では70万円程度になる規程を持つ企業もあります。
離職票の離職理由が自己都合とされてしまうと、退職金規程上も自己都合として計算されるリスクがあります。特定受給資格者として認定を受けることが退職金額に影響を与える可能性もあるため、退職金規程の内容を事前に確認し、必要であれば会社との交渉や専門家への相談を検討してみてください。
よくある質問|残業45時間3ヶ月連続と会社都合退職について

ここでは、残業45時間3ヶ月連続による会社都合退職について、読者の方からよく寄せられる疑問にお答えします。
「自分のケースは該当するのか」と不安に感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
残業の証拠がない状態でも会社都合退職として申請できますか?
証拠がまったくない状態では申請そのものはできても、特定受給資格者として認定されるのが難しくなる可能性があります。ただし、証拠が「ゼロ」かどうかは改めて確認することをおすすめします。
スマートフォンに残るメッセージ履歴、業務メールの送受信記録、SNSの投稿時刻なども状況によっては実態を示す資料として機能することがあります。まずはハローワークの窓口に相談し、どのような資料が有効かを確認することが現実的な第一歩です。
自分から退職を申し出た場合は自己都合扱いになってしまいますか?
退職の申し出をどちらが行ったかだけで自動的に離職理由が決まるわけではありません。ハローワークは、離職の背景にある実態を重視して判定を行います。月45時間超の残業が3ヶ月以上連続していたという事実が客観的に示せる場合は、自ら退職を申し出た場合でも特定受給資格者として認定される可能性があります。
離職票の記載内容に納得がいかない場合は、ハローワーク窓口で実態を申し出ることを検討してみてください。
管理職でも残業45時間3ヶ月連続で会社都合退職は認められますか?
労働基準法上の「管理監督者」に該当する管理職は、時間外・休日労働規制の適用外とされているため、残業代の請求という観点では難しい面があります。ただし、特定受給資格者の認定においては、実態として過度な長時間労働が発生していたかどうかという観点から判断される余地があります。
名ばかり管理職(実態が管理監督者の要件を満たしていない場合)については、労働基準法上の管理監督者に該当しないとして争うことができる可能性もあるため、労働基準監督署や社労士への相談をおすすめします。
会社が離職票に自己都合と記載した場合はどうすればよいですか?
離職票に記載された離職理由に異議がある場合は、ハローワークに「異議申し出」を行うことができます。会社が自己都合と記載していても、それはハローワークの最終判定ではありません。
具体的には、ハローワークの窓口で離職票を提出する際に「会社の記載と実態が異なる」と申し出て、実態を示す資料(残業時間の記録、業務メールなど)を提出してください。その後、ハローワークが会社側にも事実確認を行い、両者の主張を比較したうえで最終的な離職理由の判定が行われます。
残業代未払いが続いている場合、会社都合退職と合わせて請求できますか?
失業給付の手続きと残業代の未払い請求は、それぞれ独立した手続きであり、一般的に同時並行で進めることが可能です。
未払い残業代があることは、特定受給資格者の認定においても「賃金の不払いがあった」という別の観点から考慮される可能性がありますので、あわせて専門家に状況を相談してみることをおすすめします。
残業代請求の手段としては、以下の方法が挙げられます。
労働基準監督署への申告・相談
無料で相談でき、会社への是正指導が行われる場合があります
労働審判
裁判所における簡易・迅速な解決手続きで、一般的に3回以内の期日で解決を目指します
弁護士を通じた民事上の請求
内容証明郵便の送付や訴訟による請求が可能です
制度上、賃金請求権は原則として3年間(2020年4月以降の賃金について)が時効とされていますので、退職後も早めに動き出すことが大切です。
残業が続いて退職を考えているが一人では判断できないと感じている方へ

毎日遅くまで働き続けて、体も心も限界に近づいているのに、「自分で退職を言い出したら損をするかもしれない」という不安から動けずにいる、そういった状況は決して珍しいことではありません。制度の複雑さや正しい情報を見つけにくい環境が、多くの方の行動の足かせになっているのが現実です。
まず知っていただきたいのは、「適切な手続きを経ることで、状況が変わる可能性がある」ということです。特定受給資格者の認定や残業代の請求は、一人で抱え込まず、専門知識を持った機関に相談することで、初めて正しい方向性が見えてくることが多いです。
労働基準監督署・ハローワーク・社会保険労務士・弁護士など、相談先は複数あります。まずは気軽に相談してみることを、ぜひ検討してみてください。
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※実際の手続きはご本人様がハローワークで行っていただく必要があります。受給の可否及び金額は、ハローワークでの審査により決定されます。
失業保険 総額シミュレーター
正確な金額・給付日数とは異なる場合があります。
下記の表で給付日数を確認したら、上記のシミュレーターに「年収」「年齢」「給付日数」を入力してください。失業保険の基本手当日額と受給総額が自動でシミュレーションできます。
| 雇用保険の加入期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職・特定理由離職者の場合
| 雇用保険の加入期間 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
| 29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35~44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60~64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。






