突然の解雇通知、しかも理由が「無断欠勤」となれば、「失業保険はもらえるのか」「自己都合扱いにされてしまうのか」という不安が頭をよぎるのは当然のことです。
結論から言うと、無断欠勤による解雇であっても、その背景や状況によっては「会社都合」として扱われる可能性があります。ただし、すべてのケースが同じではなく、個別の事情をしっかり確認することが大切です。
この記事では、失業保険の受給可否に影響する判断基準から、離職票の見方・異議申立ての手順まで、知っておくべきポイントを順を追ってお伝えします。
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。
- 無断欠勤の解雇が会社都合扱いとなる可能性がある5つのケース
- 「特定受給資格者」「特定理由離職者」「重責解雇」の違い
- 離職票に「自己都合」と書かれていた場合の異議申立て手順
- 失業保険の受給開始時期と受給額の目安
- 受給条件を満たさない場合に活用できる支援制度
無断欠勤による解雇が「会社都合」になるかは原因と状況で変わる
一般的には自己都合扱いだが、状況により会社都合となるケースがある
無断欠勤による解雇は、一般的には「労働者側に原因がある退職」として自己都合退職に近い扱いとなることが多いのが実情です。しかしながら、これはあくまでも表面的な分類であり、無断欠勤に至った背景にどのような事情があったのかが、制度上の判断において非常に重要な意味を持ちます。
たとえば、職場でのハラスメントが原因で出勤できなくなったケースや、業務上の過重労働でメンタルが追い詰められた結果として連絡すら取れなくなったケースでは、ハローワークが「会社都合」に近い扱い——すなわち「特定受給資格者」や「特定理由離職者」——と判断することがあります。
つまり、「無断欠勤だから自己都合」と一律に決まるわけではなく、状況の全体像を踏まえた確認が必要です。
失業保険の扱いを左右する「特定受給資格者」「特定理由離職者」とは
失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)の受給条件や給付日数を大きく左右するのが、「特定受給資格者」と「特定理由離職者」という区分です。厚生労働省の定めでは、以下のように分類されています。
| 区分 | 該当する離職理由 | 被保険者期間の要件 |
|---|---|---|
| 特定受給資格者 | 倒産・解雇など会社側の事情による離職 | 離職前1年間に通算6か月以上 |
| 特定理由離職者 | 正当な理由がある自己都合退職(傷病・家族の介護など) | 離職前1年間に通算6か月以上 |
| 一般離職者 | 自己都合退職など | 離職前2年間に通算12か月以上 |
これらに該当する場合、一般の自己都合退職に比べて条件が緩和されます。さらに、給付日数も一般離職者より多く設定されているため、自分がどちらの区分に当てはまるかによって、受け取れる総額が大きく変わってくる可能性があります。
参照:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要|ハローワーク
「重責解雇」と判断された場合の失業保険への影響
一方で、無断欠勤が長期にわたり、会社から「懲戒解雇」と判断された場合には、「重責解雇」として扱われる可能性があります。厚生労働省の基準では、「正当な理由なく2週間以上の無断欠勤をして出勤の督促にも応じない場合」などが重責解雇に該当するケースとして示されています。
- 被保険者期間の要件が「離職前2年間で12か月以上」となる
- 7日間の待期期間に加えて3か月の給付制限期間が発生する
- 受給開始が大きく遅れてしまう
ただし、懲戒解雇・重責解雇に該当したとしても、要件を満たしていれば失業保険をまったく受け取れなくなるわけではありません。あきらめずに、まずは自分の状況を整理することが大切です。
参照:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要|ハローワーク
無断欠勤の解雇でも会社都合扱いとなる可能性がある5つのケース

ここからは、無断欠勤による解雇でも「会社都合」として扱われる可能性がある具体的なケースを5つご紹介します。ご自身の状況に当てはまるものがないか確認してみてください。
パワハラやいじめにより精神的に追い詰められ、出勤できなくなった場合
うつ病等で連絡や出勤が困難になった場合
過重な労働により体調を崩した場合
会社の安全配慮義務違反が背景にある場合
連絡手段を奪われるなど物理的に欠勤連絡が難しかった場合
ハラスメント・いじめが原因で出勤できなかった場合
職場でのパワーハラスメントやいじめが原因で精神的に追い詰められ、出勤も連絡もできなくなってしまった——そのような状況に追い込まれた経験のある方は少なくありません。
こうしたケースでは、表面上の「無断欠勤」よりも、ハラスメントという会社側の問題行為が離職の根本原因と判断され、特定受給資格者として認定される可能性があります。
- ハラスメントの状況を記録したメッセージやチャット履歴
- 当時の状況を記した日記やメモ
- 同僚の証言(協力してくれる人がいる場合)
- 音声録音データ(会話の記録)
うつ病など精神疾患・メンタル不調で連絡や出勤が困難だった場合
うつ病をはじめとする精神疾患やメンタル不調は、「気力が出ない」「電話をかけることすら難しい」という状態を引き起こすことがあり、無断欠勤が続いた背景に疾患が関係していることがあります。
このような場合、医師の診断書や受診履歴があれば、「疾病によって就労困難であった」という事実をハローワークや関係機関に示すことができます。制度上は、傷病による離職が特定理由離職者として扱われる可能性があり、適切な書類を整えることで受給条件が変わる場合があります。
まずはかかりつけの医師に相談し、当時の状況を記録として残しておくことをおすすめします。
長時間労働・過重労働により体調を崩した場合
月100時間を超えるような過重な時間外労働が続き、体調を崩して出勤できなくなった場合も、会社側の安全配慮義務が問われる可能性があります。
厚生労働省は過労による健康障害防止について事業主に義務を課しており、会社の労務管理上の問題が離職の一因と認められれば、特定受給資格者として扱われることも考えられます。
- タイムカード・勤怠記録のコピー
- 残業時間を示すメールやチャットの履歴
- パソコンのログイン・ログオフ記録
- 業務日報やスケジュール表
会社の安全配慮義務違反が背景にある場合
労働契約法第5条では、「使用者は、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めており、これが「安全配慮義務」です。
たとえば、危険な作業環境の放置、精神的ストレスを引き起こす業務上の強制行為の継続、適切な産業医面談の機会の不提供といった状況が重なり、労働者が健康を害して欠勤に至った場合は、会社側の義務違反が問われることがあります。
このような背景がある場合は、後述する労災申請や不当解雇の主張と組み合わせた対応を、専門家に相談してみることをおすすめします。
連絡手段を奪われるなど物理的に欠勤連絡が難しかった場合
非常にまれなケースではありますが、以下のような特殊な状況でも、「無断欠勤」の実態が通常のそれとは大きく異なります。
- 会社貸与の携帯電話しか連絡手段がなく急な入院となった場合
- DVや家庭内トラブルで物理的に身動きが取れない状況
- 事故や災害により連絡が困難になった場合
こうした特殊な事情は、本人からハローワークの担当者に対して具体的に説明することが重要です。状況の特殊性を証明できる書類や第三者の証言があれば、審査においてプラスに働く可能性があります。
無断欠勤の解雇が自己都合・重責解雇となりやすいケースの判断軸
14日以上の連続無断欠勤と「自然退職」扱いの関係
就業規則の多くには「○日以上の無断欠勤が続いた場合は自動的に退職とみなす」という規定が設けられています。
しかし法律上、この「自然退職(みなし退職)」は自動的に有効となるわけではなく、あくまでも会社側が「解雇」の手続きを取ったのか、それとも「自己退職」の扱いにしたのかによって、失業保険の区分が変わってきます。
行政通達では「原則として2週間以上の正当な理由なき無断欠勤で出勤督促に応じない場合」に解雇予告なしの即時解雇が認められる場合があるとされていますが、これが直ちに重責解雇を意味するものではありません。離職票に記載された離職区分を必ず確認し、内容に疑問がある場合はハローワークで相談することが大切です。
普通解雇と懲戒解雇で失業保険の扱いはどう違うのか
解雇には「普通解雇」と「懲戒解雇」という種類があり、失業保険の扱いが異なります。
| 解雇の種類 | 失業保険の扱い | 給付制限 |
|---|---|---|
| 普通解雇 | 原則として会社都合解雇(特定受給資格者) | なし(待期7日のみ) |
| 懲戒解雇(重責解雇に該当) | 自己都合退職と同等の扱い | 3か月の給付制限 |
| 懲戒解雇(重責解雇に該当しない) | 通常の会社都合解雇と同様 | なし(待期7日のみ) |
「懲戒解雇=失業保険が不利になる」と一概には言えないため、自分のケースがどの扱いになるかを丁寧に確認することが重要です。
参照:
・特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要|ハローワーク
・Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~|厚生労働省
重責解雇に該当する場合に発生する制限内容
厚生労働省の基準において、重責解雇に該当すると判断された場合、失業保険の受給においていくつかの制限が発生します。
- 被保険者期間の要件が「離職前2年間で12か月以上」となる(特定受給資格者は1年間で6か月以上)
- 7日間の待期期間に加えて3か月の給付制限が設けられる
- 所定給付日数は最大90〜150日(特定受給資格者は最大90〜330日)
なお令和7年4月1日以降の制度改正により、一般的な自己都合退職の給付制限は原則1か月に短縮されましたが、重責解雇については引き続き3か月の給付制限が維持されています。なお、退職日から遡って5年間のうちに2回以上、正当な理由のない自己都合退職を行い受給資格決定を受けている場合も、給付制限は3か月となります。
参照:
・Q&A〜労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)|厚生労働省
・ 基本手当の所定給付日数|ハローワーク
自分のケースがどこに該当するかを見極める3つの確認項目
自分の離職がどの区分に当たるかを判断するために、まず以下の3点を確認してみてください。
ハラスメント・過重労働・安全配慮義務違反などの事情を整理する
普通解雇か懲戒解雇か、離職区分コードが何番かを確認する
離職前1年間で6か月、または2年間で12か月に達しているかを確認する
これらを整理した上でハローワークに相談すれば、自分に適用される区分をより具体的に確認できます。判断に迷う場合は、専門家や公的機関への相談も一つの選択肢です。
失業保険はクビになった場合いつから・いくらもらえるのか
会社都合と自己都合での所定給付日数の違い
離職理由によって、受け取れる失業保険の日数(所定給付日数)は大きく異なります。
| 離職区分 | 所定給付日数 | 給付制限 |
|---|---|---|
| 会社都合解雇(特定受給資格者) | 90日〜最大330日 | なし |
| 正当な理由のある自己都合(特定理由離職者) | Ⅰ類型(雇い止め等)は90日〜最大330日(特定受給資格者と同日数・2027年3月31日まで)、Ⅱ類型(正当な理由のある自己都合退職)は90日〜最大150日 | なし |
| 自己都合退職(一般離職者) | 90日〜最大150日 | 原則1か月(令和7年4月以降) |
| 重責解雇 | 90日〜最大150日 | 3か月 |
同じ「失業」という状況でも、離職区分の違いが受け取れる総額に大きな差を生む可能性があるため、離職票の記載内容は必ず確認しておくことが重要です。
参照:基本手当の所定給付日数|ハローワーク
待期期間(7日)と給付制限期間の仕組み
失業保険の受給にあたっては、まずハローワークで求職申し込みを行い、受給資格決定日から原則7日間の「待期期間」があります。この待期期間中は給付が発生しません。
離職票を持参し、受給資格の決定を受ける
すべての離職者に共通して発生する期間(給付なし)
自己都合退職は原則1か月、重責解雇は3か月の制限がある
会社都合の場合は待期期間満了後すぐに支給が開始される
令和7年4月1日以降の制度改正により、正当な理由のない自己都合退職の給付制限は原則1か月に短縮されましたが、重責解雇については引き続き3か月が適用されます。
基本手当日額の計算方法と早見の目安
基本手当日額は「賃金日額×給付率」で算出されます。賃金日額は、離職前6か月間に支払われた賃金の合計額を180で割った金額です。
- 給付率は離職前賃金に応じて約45~80%の範囲で決定(個人により異なります)
- 賃金が高くなるほど給付率は下がる(最低50%程度。ただし60〜64歳は最低45%)
- 基本手当日額には年齢別の上限額が設けられている
個人の状況により受給額は大きく異なりますので、より正確なシミュレーションはハローワーク窓口または厚生労働省が提供するツールでご確認ください。
失業保険 総額シミュレーター
正確な金額・給付日数とは異なる場合があります。
下記の表で給付日数を確認したら、上記のシミュレーターに「年収」「年齢」「給付日数」を入力してください。失業保険の基本手当日額と受給総額が自動でシミュレーションできます。
| 雇用保険の加入期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職・特定理由離職者の場合
| 雇用保険の加入期間 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
| 29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35~44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60~64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。
雇用保険の被保険者期間が条件に届かない場合の選択肢
試用期間中の解雇や短期就労の場合、雇用保険の被保険者期間が受給条件に満たないケースがあります。こうした状況では、失業保険に代わる制度として次のような選択肢を検討してみてください。
- 傷病手当金:健康保険加入中に業務外の傷病で働けない場合、支給開始日から通算して最長1年6か月間受給できる可能性があります
- 生活困窮者自立支援制度:生活費の確保が難しい場合、各市区町村の窓口に相談できます
- 求職者支援制度:雇用保険を受給できない方向けに、職業訓練を受けながら収入・資産等の要件を満たした場合に、月額10万円の職業訓練受講給付金を受け取れる可能性があります
- 社会保険の任意継続や国民健康保険への切り替え:医療費の不安を軽減するために、退職後の保険加入手続きも速やかに行うことをおすすめします
参照:厚生労働省
離職票に「自己都合」と書かれていた場合の異議申立て手順

離職票で必ず確認すべき2つの記載欄(離職理由・離職区分)
離職票には「雇用保険被保険者離職票-2」があり、その中に「離職理由」と「離職区分コード」の記載欄があります。
会社が記載した離職理由が実態と異なる場合、後の受給額・給付日数に大きく影響するため、受け取ったらすぐに内容を確認することが大切です。
- 離職理由欄:会社が記載した退職の理由
- 離職区分コード:失業保険の区分を決める番号
- 離職理由に対する異議の有無欄:実態と異なる場合は「異議あり」にチェック
実態と記載内容が異なると感じた場合は、「異議あり」にチェックを入れた上でハローワークに提出することができます。
ハローワークで離職理由を争うための具体的な流れ
離職理由に異議がある場合の手続きは、以下の順で進めることが一般的です。
離職票の「異議あり」欄にチェックを入れて署名・提出する
離職に至った経緯を詳しく説明し、実情を伝える
ハローワークが会社にも事情聴取を行い、双方の主張をもとに離職区分を判断する
判断結果によっては離職理由が訂正され、会社都合相当の扱いに変更されることがある
この手続きに費用はかかりませんが、会社側の主張と照らし合わせて判断が行われるため、実情を裏付ける証拠の準備が重要です。
異議申立てに有効な証拠(診断書・勤怠記録・メール・録音)
ハローワークで離職理由を争う際に有効な証拠の例を挙げます。
- 医師の診断書・受診記録: 精神疾患・体調不良による欠勤だった場合に有効
- 勤怠記録・タイムカードのコピー:過重労働を示す客観的な証拠になる
- ハラスメントに関するメール・チャット・録音データ:会社側に問題があったことを示す証拠
- 解雇通知書・解雇理由証明書:解雇の事実と理由を公式に記録した書類
- 同僚や上司とのやり取りのメモや日記:補完的な資料として役立つ
証拠はできるだけ退職前・退職時に収集しておくと、後の手続きがスムーズになります。
解雇理由証明書を会社に請求する方法と請求書の書き方
労働基準法第22条により、解雇予告された労働者が「解雇理由証明書」の交付を請求した場合、会社は遅滞なく交付する義務を負っています。口頭で解雇を告げられた場合でも、書面での証明を求めることが可能です。
私は○年○月○日に解雇の通告を受けましたが、労働基準法第22条第1項に基づき、解雇理由証明書の交付をお願いします。
請求書には上記のような旨を記載し、内容証明郵便や書面で会社の人事部門に送付することが一般的な方法です。取得した証明書は、不当解雇の主張や離職票の異議申立てにおいて重要な根拠となります。
不当解雇を主張する場合の「仮給付」制度の活用
不当解雇として争っている場合、解雇が有効か無効かの判断が確定するまで時間がかかることがあります。このような場合、失業保険の受給申請自体は争いと並行して行うことができます。
具体的には、労働審判や仮処分手続きを進めながら、同時にハローワークへ失業給付の申請を行い、生活の確保と法的対応を並行して進める方法があります。
- 失業給付の申請と法的対応は並行して進められる
- 生活の確保を最優先に考えて行動する
- 弁護士や社会保険労務士など専門家への早期相談がおすすめ
病気・体調不良が原因の無断欠勤で解雇された場合の判断ポイント
私傷病と業務起因の傷病で解雇の有効性が変わる理由
病気によって欠勤が続き解雇された場合、その病気が「私傷病(業務外の病気)」か「業務起因の傷病(労災)」かによって、解雇の有効性の判断が大きく変わります。
| 傷病の種類 | 解雇の扱い | 判断基準 |
|---|---|---|
| 業務起因の傷病(労災) | 原則として解雇禁止(労基法第19条) | 休業中の解雇は認められない |
| 私傷病(業務外の病気) | 休職制度を経た上での解雇が認められる場合あり | 就業規則の内容が重要 |
自分の病気が業務に関係している可能性がある場合は、まず労働基準監督署や産業医に相談してみることをおすすめします。
労災認定が認められる可能性がある場合のサイン
次のような状況に心当たりがある場合、業務が原因の傷病として労災申請を検討してみる価値があります。
- 月80時間以上の時間外労働が続いていた
- 上司からの継続的なパワーハラスメントがあった
- 業務の内容・量・責任が急激に増加した時期に症状が悪化した
- 会社の安全衛生管理が著しく不十分だった
これらに該当する場合、医師の診断書をもとに労働基準監督署へ労災申請を行うことができます。なお、労災認定の可否は個別の審査によって決定されるものであり、申請結果を保証するものではありません。
傷病手当金(健康保険)と失業保険の関係
健康保険に加入していた方が、業務外の傷病で働けない状態にある場合、傷病手当金を受給できる可能性があります。
- 連続して3日間仕事を休んだ後(待期期間)、4日目以降の休業日が対象
- 支給額は標準報酬日額の3分の2相当
- 傷病手当金と失業保険(基本手当)は原則として同時受給ができない
傷病手当金を受給している間は失業保険の受給申請を延期し、回復後に求職活動が再開できる状態になってから失業保険の手続きを行う流れが一般的です。
解雇前に休職制度を使えなかった場合に確認すべきこと
病気による欠勤が続いているにもかかわらず、会社から休職制度の案内がないまま解雇された場合、「解雇回避義務」の観点から解雇の有効性が問われる可能性があります。
多くの企業では就業規則に休職規定を設けており、特に精神疾患の場合は一定の休職期間を設けることが一般的な対応とされています。
- 休職を申し出たにもかかわらず認められなかった事実
- 休職制度があるにもかかわらず説明すら受けられなかった経緯
- 会社からの返答メール・チャット履歴
- 就業規則のコピー(休職規定の有無を確認)
こうした状況は、不当解雇を主張する際の根拠の一つとなり得ます。
正社員が無断欠勤で解雇された場合に会社へ請求できる可能性があるもの
解雇予告手当(30日分の平均賃金)が請求できる条件
労働基準法第20条では、会社が労働者を解雇する場合、原則として30日前に解雇予告を行うか、30日分以上の平均賃金を「解雇予告手当」として支払う義務があると定めています。
ただし、例外として「労働者の責めに帰すべき事由による解雇」で労働基準監督署長の認定を受けた場合は、この義務が免除される場合があります。
無断欠勤を理由とした解雇の場合でも、会社が監督署の除外認定を受けていない限りは解雇予告手当の請求が可能なケースがあります。予告なしに即日解雇された場合は、会社に対して書面で請求することを検討してみてください。
退職金の取り扱いと「不支給規定」の有効性の限界
懲戒解雇や重責解雇の場合、就業規則に「退職金不支給規定」が設けられていることがあります。ただし、法的にはこの不支給規定が常に有効とは限りません。
- 勤続年数の長さ
- 退職金の性格(賃金の後払い的性格の強いもの)
- 無断欠勤に至った経緯や個別事情
- 過去の同様事例における会社の対応
勤続年数や退職金の性格などを考慮した上で、裁判所が一定の退職金支払いを認めた事例も存在します。一概に「懲戒解雇なので退職金はゼロ」と諦める前に、就業規則の内容と自分の状況を照らし合わせた上で専門家に確認することをおすすめします。
特に長年勤続した場合は、全額不支給が権利の濫用と判断されるケースもあります。
未払い残業代・有給買取りの請求可能性
解雇された際には、残業代の未払いや有給休暇の未消化分についても確認しておきましょう。
- 未払い残業代の時効は原則3年(令和2年4月1日以降の賃金)
- 在職中に支払われていない残業代は退職後も請求できる可能性あり
- 有給休暇の買い取りは法的に義務付けられていないが、会社が任意で応じる場合もある
これらの請求を行う際は、給与明細・タイムカード・雇用契約書などを証拠として整理しておくことが重要です。
解雇に納得できない場合に検討すべき法的手段
解雇の有効性に疑問がある場合、次のような法的手段を検討することができます。
| 手段 | 特徴 | 適したケース |
|---|---|---|
| 労働基準監督署への申告 | 労基法違反を申告できる | 解雇予告手当の不払いなど |
| 都道府県労働局のあっせん制度 | 費用がかからない | 個別の労働紛争を簡易解決したい場合 |
| 労働審判手続き | 原則3回以内の期日で終結 | 簡易・迅速な解決を図りたい場合 |
| 民事訴訟(地位確認請求) | 解雇の無効を本格的に争う | 在籍または解決金を求める場合 |
どの手段が適切かは状況によって異なるため、まずは労働相談窓口や弁護士に相談することを検討してみてはいかがでしょうか。
試用期間中に無断欠勤でクビになった場合の失業保険の扱い
雇用保険の被保険者期間「6ヶ月の壁」と「12ヶ月の壁」
試用期間中に解雇された場合に最初にぶつかるのが、雇用保険の被保険者期間という条件です。
| 離職区分 | 必要な被保険者期間 |
|---|---|
| 一般離職者(自己都合退職) | 離職日以前2年間に通算12か月以上 |
| 特定受給資格者(会社都合解雇) | 離職日以前1年間に通算6か月以上 |
| 特定理由離職者(正当な理由ある自己都合) | 離職日以前1年間に通算6か月以上 |
試用期間の多くは3か月〜6か月程度に設定されているため、試用期間のみの勤務では「6か月の壁」にも届かないケースが多く、その場合は失業保険の受給が難しくなる可能性があります。
前職での被保険者期間も合算できる場合があるため、過去の雇用保険加入履歴も確認してみましょう。
試用期間14日以内の即時解雇と解雇予告手当の関係
労働基準法では、試用開始後14日以内であれば、解雇予告・解雇予告手当の支払いなしに即時解雇が可能と定めています。
しかし、これはあくまでも手続き上の例外規定であり、解雇の「理由の正当性」は別途必要です。試用期間であっても雇用保険に加入している場合、解雇の事実は残りますが、前述のとおり被保険者期間が短いため失業保険の受給要件を満たさないことが多くなります。
この場合でも、後述する求職者支援制度などの活用を検討することができます。
試用期間でも特定受給資格者として認定される可能性
被保険者期間の条件を満たしている場合(前職での期間が合算されるケースなど)、試用期間中の解雇であっても、解雇の実態が会社都合であれば特定受給資格者として認定される可能性があります。
試用期間中の解雇は、多くの場合「会社都合退職」として扱われ、給付制限なしで受給できる可能性があることを覚えておいてください。
- 前職での雇用保険加入期間と合算可能か
- 解雇の実態が会社都合に該当するか
- 無断欠勤が主な理由の場合は重責解雇と判断される可能性もある
- 個別の状況をハローワークで相談する
短期就労で失業保険を受けられない場合の生活支援制度
試用期間中に解雇され、失業保険の受給要件を満たさない場合でも、活用できる可能性のある制度があります。
- 求職者支援制度:職業訓練を受けながら、条件を満たす場合に月10万円の職業訓練受講給付金を受け取れる可能性がある
- 生活困窮者自立支援制度:市区町村の窓口で、就労支援・家賃補助などの支援を受けられる場合がある
- 国民年金の保険料免除・猶予制度:無収入・低収入の場合、保険料の支払いが免除・猶予される手続きがある
- 社会福祉協議会の緊急小口資金:緊急かつ一時的な生活費が必要な場合に無利子・低利息で借入できる制度
いずれも申請には条件があるため、最寄りのハローワークや市区町村窓口にご相談ください。
よくある質問|無断欠勤による解雇と失業保険の手続き
無断欠勤が14日続けば自動的に退職扱いになりますか?
就業規則に「14日以上の無断欠勤で自然退職」という規定がある会社は多くありますが、この規定が法的に有効かどうかは状況によって異なります。規定の存在は、会社が退職扱いとするための根拠にはなりますが、それが「解雇」として扱われるべき実態であれば、労働者側からの異議申立ての余地があります。
また、14日という日数に達していても、欠勤の背景に疾患・ハラスメントといった事情があれば、単純な「自己退職」とは異なる判断がなされる可能性があります。自動的に退職が確定するものではないため、状況に応じてハローワークや専門家に確認することをおすすめします。
連絡が取れないまま解雇された場合、離職票は受け取れますか?
会社は退職した従業員に対して離職票を交付する義務があります(雇用保険法施行規則第17条)。
会社から離職票が送られてこない場合は、まず会社の人事・総務部門に連絡して請求することが先決です。それでも対応がない場合は、ハローワークに事情を説明することで、会社を経由せずに離職票を発行してもらえる場合があります。連絡が取れない状況が続いている場合でも、ハローワークへ相談することで対応方法を一緒に考えてもらえることがあります。
懲戒解雇になると失業保険はまったくもらえないのですか?
懲戒解雇であっても、受給要件(被保険者期間など)を満たしていれば失業保険を受け取れる可能性があります。
懲戒解雇の内容が重責解雇に該当すると判断された場合、7日間の待期期間に加えて3か月の給付制限が発生し、受給開始が遅れますが、受給自体が不可能になるわけではありません。一方で、重責解雇に該当しないと判断された場合は、通常の会社都合解雇と同様に給付制限なしで受給できる可能性もあります。
「懲戒解雇だから失業保険はもらえない」と思い込んで申請をあきらめてしまうことは非常にもったいないため、まずはハローワークに相談することをおすすめします。
無断欠勤を理由に会社から損害賠償を請求されることはありますか?
理論上は、無断欠勤により会社が具体的な損害(業務の遂行不能・代替要員の確保費用など)を被った場合に損害賠償請求が行われる可能性はゼロではありません。
しかし実際には、損害の立証の難しさや訴訟費用との費用対効果といった事情から、無断欠勤のみを理由とした損害賠償請求の判断は個別事情によって異なります。
特定の業務上の重要案件を抱えた状態での長期無断欠勤など、具体的な損害が想定されるケースでは、弁護士や労働相談窓口にご相談されることをおすすめします。
会社都合での解雇は転職時にバレてしまうものですか?
一般的に、転職先の企業が以前の在籍企業に直接連絡して離職理由を確認する行為は個人情報保護の観点から慎重が必要であり、頻繁に行われるものではありません。
ただし、転職先が身元調査を行う場合や、採用面接での自己申告が求められる場面では、離職理由の説明が必要となることがあります。離職理由をどのように評価するかは企業ごとに異なるため、事実を誠実に伝えながら、その後の前向きな姿勢を示すことが、転職活動において重要です。
無断欠勤の解雇と失業保険の不安をひとりで抱えている方へ
解雇の通知を受けた後、失業保険の受給可否や今後の生活設計について、確認すべきことが多くあると感じている方もいらっしゃるかもしれません。
ここまでご説明してきたように、無断欠勤による解雇であっても、その背景や状況によって制度上の区分が異なる場合があり、利用できる可能性のある支援制度も複数存在します。
ご自身の状況に応じた制度をご検討いただくため、まずは正確な情報の整理から始めることをおすすめします。
退職リトリートでは個別の状況に応じた相談に対応しています
退職リトリートは、退職後の各種給付金制度に関する情報提供と手続きのご案内を提供しているサービスです。社労士を含む専門スタッフが在籍する体制で、お客様のご相談に対応しています。
給付金の申請手続きは制度ごとに必要書類や要件が異なるため、ご自身の状況に合った制度を整理することが大切です。
当サービスでは、個別の状況をヒアリングした上で、ご利用いただける可能性のある公的制度について中立的にご案内しています。(最終的な受給可否は、ハローワーク等の公的機関による審査で決定されます。)
- これまで見過ごされがちだった制度の活用方法を専門スタッフが丁寧に案内
- 雇用保険や退職制度に詳しい社労士・経験豊富なスタッフが在籍
- 公式LINEからいつでも相談でき、Zoomなどのオンラインサポートも実施
- 受給までのマニュアルも完備しており、手続きを一つひとつ丁寧に伴走
サポートの流れは以下の4ステップで進んでいきます。
まずはLINEで気軽にお問い合わせいただけます
制度の仕組みや進め方について専門スタッフが説明します
申請書類の記入方法に関する一般的な情報をご案内します。
ハローワークの審査により受給が認められた場合、制度に基づいて給付金が振り込まれます。
※受給可否は公的機関の審査によって決定されるものであり、当サービスが受給を保証するものではありません。
- ご相談のタイミングに決まりはありませんが、書類準備等のため早めのご相談を推奨
- 無料相談だけでもまずは気軽に
まずは無料相談だけでも、退職後の給付金について確認してみませんか。
失業保険 総額シミュレーター
正確な金額・給付日数とは異なる場合があります。
下記の表で給付日数を確認したら、上記のシミュレーターに「年収」「年齢」「給付日数」を入力してください。失業保険の基本手当日額と受給総額が自動でシミュレーションできます。
| 雇用保険の加入期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職・特定理由離職者の場合
| 雇用保険の加入期間 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
| 29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35~44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60~64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
※本記事内の各種受給例はあくまでも一例であり、実際は個人の状況により異なる可能性がございます。正確な金額はハローワークでご確認ください。
※実際の手続きはご本人様がハローワークで行っていただく必要があります。受給の可否及び金額は、ハローワークでの審査により決定されます。






